夜、嫌な気配がして飛び起きた楓花。それは狐たちも同じなようで雛稀が楓花の元に集まってくる。「地獄の亡者が逃げ出したみたいだね…」「えぇ。…でも黄泉の国の入り口は霊石でふさがれていたはずよね、それが何でこんなことになってるのよ」ここ数百年以上起きることのなかった大事件に思わず頭を抱えていると遅れて天音も入ってきた「あの鼠妖怪がやらかしたらしいわよ」「鼠…ねずみ男か」そして天音からこの件で鬼太郎も関わりねずみ男の代わりに無限地獄に落ちるかもしれないと聞かされた「これって私達も行かなきゃいけないの?」「そうね、もともとこの情報だって地獄から来たものだし」「閻魔様には逆らえない‥ってことね」しぶしぶと楓花はいつもの正装に着替え面を付ける。地獄とこの神社の繋がりは以外にも他よりも強く天音達がいれば地獄めぐりだって出来る。
そんな繋がりもある地獄の、それも閻魔様からの依頼というのなら断る事は出来ない。楓花は急いで亡者の溢れる場所へと向かった。
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地獄岩へと向かう途中幾人もの亡者を封じていく中地獄でしか感じたことの無い妖気に冷や汗が出る「邪魅…」亡者の次は邪魅、しかし邪魅はその身を地獄の牢に繋がれでてこれないはずだった。また昔のように対峙することになるとはと、楓花の気は重くなるばかり。
地獄岩へと着けばそこに鬼太郎はいなく、他の妖怪からの視線が楓花を指す。目玉親父から事情を聞いた楓花は横目にそのまま中へ入ろうとした時猫娘に止められた「私も行くわ」「…何も出来ないかもしれないわよ」「それでも何もしないよりマシよ!」「…私は止めたからね」楓花の言葉に頷くと猫娘は一反木綿に乗り彼女共に地獄岩の中へと入った。
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その道中一緒に落ちていくねずみ男を猫娘が捕まえそのまま共に鬼太郎と邪魅の元に向かう(居た)そのまま向かおうとするが邪魅の予測ができない動きと繋がった鎖に阻まれ上手く先に行くことが出来ない。その鎖は鬼太郎にも襲いかかるり、そして邪魅が鬼太郎を壁に押し付けその勢いのまま落下していく、その光景に猫娘達は思わず自分の手で目を覆い隠すが目玉親父は自分たちの横にある鎖を使って勢いを殺させるということ言う作戦に楓花ものり猫娘達と共に鎖を岩場のでっぱりへと引っ掛ける。その衝撃で邪魅の首輪は取れ邪魅はそれに片手でぶら下がるような形となる。そして鬼太郎はその隙を逃さず体内電気で相手の動きを封じながらちゃんちゃんこで邪魅の中から霊石を取り出し楓花達の方へと投げた。
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その霊石はそのまま一反木綿に乗った猫娘がキャッチしたが邪魅はまだ諦めておらずそのまま猫娘を襲いかかろうとした時だった。「ねずみ男、後はよろしく」「は!?俺一人かよ!」鎖は全てねずみ男に任せ猫娘と邪魅の間へと飛び出した。流石の彼女でもその一瞬であの邪魅の攻撃を防げるほどの結界は貼ることが出来ずその鋭い爪を正面から受けることになった。「楓花!」「楓花ちゃん!!」全て自分だけが受けるはずが邪魅の攻撃範囲は広く一反木綿にも攻撃がかする。「ッ…、あの時とは少し違うのよ邪魅」昔の弱かった自分とはね、肉のえぐれている感触もあるし痛みもあるけれど楓花はその全てを仮面の中に隠し袖の中から1枚の札を取り出すとそれを邪魅に投げる。その札は邪魅の額に触れた途端爆発を起こし邪魅と楓花達との差を広げる。飛ぶ力を失った楓花を猫娘は何とかキャッチするものの一反木綿自体がもう飛べる状態ではなく近くの岩へと落下する。その3人の元へねずみ男が鎖を投げつけ駆け寄る。鬼太郎はこれ以上邪魅を近づかせぬよう体内電気の威力を上げた。その痛みに邪魅は声を荒らげ地上へとよじ登っていく。「これ以上時間がないわ…この霊石を元に戻さないと」「ちょっと!無理しないで!!」今だ傷口が開きそこから血が流れるのにも関わらず巫女の仕事を優先しようとしている楓花を猫娘達は止める。そしてねずみ男は後は頼む、と鬼太郎に託され決意を固めると猫娘から霊石を奪い取り岩から身を投げ出した。
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楓花は静かに目を閉じ霊石の行方をおう。もしねずみ男が失敗したのなら私が…そう思っていたがどうやらねずみ男は彼女が思っていたよりもできる男だったらしい。霊界の入口が霊石によって閉じる感覚がしたのを確認すると楓花は目を開け、邪魅と亡者が吸い込まれていく様を見る。そしてそれが治まると同時に猫娘と目玉親父、一反木綿をそれぞれ両脇に抱えすぐさま上へと上がっていく。猫娘達から心配する声も聞こえてくるが全て無視して彼女は勢いよく地獄岩から抜け出した。
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岩の中から抜け出し、すぐに猫娘達を地面へと下ろす。そして傷の深さに多少フラ付きながらも彼女は魂を抜かれそうになっている鬼太郎を見たあと、面を外ししっかりとした目で五官王と空に浮かぶ閻魔大王を見た「霊石と亡者達は無事元に戻った鬼太郎とその仲間たちの活躍でな」「しかし!約束の刻限は!!」と五官王が行った時楓花が口を開いた「今回の事、私は閻魔大王から亡者のことしか聞いていませんでした。しかし来てみれば昔牢獄へと繋げることに手助けした邪魅もいるではありませんか、貴方様のせいでは無いにしろあの邪魅の脱走…この責任ははどうするおつもりですか」「そ、それはっ」楓花の言葉に五官王は彼女を睨む。そんな彼に楓花は昔よりも可愛げが無くなったとでも言いたそうね、とその意図を読み取る(…そう言えば宋帝王様は元気かしら)「今回の裁定に異存は無いな」「…は」「そして楓花」「…」「邪魅の件に関しては天音を通じて報告する」「分かりました」それだけを伝えると閻魔大王は空と同化し消えていった。そして五官王は運の良い奴だ、と鬼太郎を皮肉ると魂を肉体へと元に戻し消えていった。
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魂を戻された鬼太郎の元へ他の妖怪たちが駆け寄っていく。その中で1人楓花だけはその輪から外れた所でまた面をつける。そして自分の邪魅に付けられた傷をみて、その昔よりも治癒力の上がった自身の力に少し恐怖する。(大禍の力が上がってる…)いつかそれが暴走する前に誰かが私を殺してくれたら…そのまま神社に帰ろうとした時猫娘に止められた。「…なに?」「何じゃないわよ!その傷でどこに行くの!」「いや、神社に帰ろうと…」「帰る?!こっからその傷で!?絶対だめよ!!」「大袈裟よ」それにもう治りかかってるからと言っても猫娘は帰させてはくれない。さらには猫娘の声に鬼太郎もやってきて「大袈裟じゃないよ」と猫娘の味方をするが彼女的には自分よりも傷だらけな人に言われたくないと思ったがそんなこと言える雰囲気では無い。「せめて傷の手当を受けてからにしてくれないか」「別に人間じゃないのだからすぐ治るのに」「それとこれとは関係ない。妖だろうとなんだろうと心配なんだ、君の事が」「……」そう伝えられ楓花は言葉を無くす。真っ直ぐで優しくて暖かい目、あの子を、親友を見ているようで酷く泣きたくなる。(面をつけてて良かった)「…わかった」彼女がそう言うと鬼太郎も猫娘も何処かほっとしたような顔をする。「それじゃあ、一緒に行こう」そう鬼太郎に諭され、猫娘に腕をひかれ彼女は他の妖怪達に囲まれながら妖怪横丁へと向かった。ねずみ男を忘れて。
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ある程度の治療もうけ彼女は鬼太郎の住む家に居た。本当ならば周りにいた妖怪の優しさだったり好機の目だったりでもう帰ってしまいたかったのだが目玉親父に地獄との関係性について聞かれ、それをある程度説明するために来ていたのだ。
鬼太郎と目玉親父と楓花しかないその空間で口を開く「…私は私の事についてあまり人に言いたくないから関係のある部分しか話さないけど、それでもいい?」「…うん」その前置きを楓花は言うとなぜ自分が地獄の閻魔大王のことを知っているのか、霊永神社と地獄の繋がりなどを掻い摘んで話した。
そしてその帰り今度は鬼太郎が楓花を霊永神社まで送ってくれる事に。その道中鬼太郎が「…でも楓花ちゃんが僕達よりもずっと長く生きていただなんて少し以外だったよ」「そうかしら?」「だって僕達よりも外の世界に馴染んでいて、最初見た時は君の事人間だと思っていたから」「…そう思ってくれているのならよかった」まさか外の世界に馴染んでいるのも人間に思えたのも彼女が本当は神隠しに会う前はただの中学生だったなんてきっと夢にも思わないだろう。「私も好きで人間やめたわけじゃないんだけどな…」「…何か言った?」「いいえ、何も」そっか…と特に気にもせずに隣を歩く鬼太郎に楓花は親友と重ねまた小さくそれでも悲しみを隠しきれないような笑みで笑った
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「最近あの妖怪たちと仲がいいようね」カラカラと楽しそうに笑う天音に楓花は顔を顰めた。ここ最近、それこそ妖怪横丁に初めて行ったあの時から人間界やそれ以外で彼らに会えば向こうから話しかけてくるようなった。楓花からすれば何故こんなことになったのか全く持って理解できないがその1部の話を聞いていた雛稀や面白がっている天音には分かった気がした。
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すると天音はその笑みを突然止め真剣な顔つきへと変わる。そしてその顔を楓花に向けた「…最近大禍の力について探りを入れてる輩がいるわ」その言葉に楓花も微笑ましそうに見ていた雛稀も天音の話に表情を変える。「またか…そろそろ迷信ってことで終わってくれればよかったのに…」「楓花ちゃんの中にあるって言うのはバレてないの?」「それは平気よ。ただ、今以上の警戒は必要になりそうよ。最近西洋妖怪が活動の幅を広げているみだいだからね」西洋妖怪…最近感知したことの無い妖気があると思っていたらそういう事だったのか、と楓花は妙な納得をみせ、天音の言葉に頷いた。
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夜、何かの胸騒ぎを感じとった楓花は霊永神社の境内に立ち風を感じていた。そこに1匹のコウモリが彼女に向かって飛んできてそれに気づいた楓花が伸ばした腕へとまる。「…?伝書コウモリ?」足に括り付けられた紙を取りその内容を確認する。そこには妖怪横丁から鬼太郎を助けて欲しいというものだった。きっとこの内容は楓花以外にも多くの妖怪に届けられているだろう、だったら自分が行かなくてもきっと大丈夫だ。(でも、)あの時の目は、あの会いたいと焦がれる親友と同じような真っ直ぐな綺麗な…
突然、楓花の思考を止める声が夜の闇に響いた声がした方向へと目を向けるとそこに映っていたのは日本の大妖怪とも言われているぬらりひょん。本殿から何事だと、天音と雛稀が駆け寄ってくる。
(勝手なことばっか)
鬼太郎は妖怪の敵で、人間の味方ばかりする。そう話すぬらりひょんに楓花は関心もないような目で見る。それは天音も雛稀も同じようでぬらりひょんの演説には目もくれず楓花が持っていた手紙に興味を示していた。けれど楓花はその映像が鬼太郎に移り変わると微かに目を見開く(親父さんを、助けに…)自分の大切な、実の父親を助けに。自分が危険な目にあってもなお大切な家族を助けに行こうとする鬼太郎姿に楓花は無意識に小さく口を開き乾いた喉から言葉を出す「おとうさん…」私は、きっと、もう手に入らない、会えない、見れない、言葉を交わすことも出来ない。でも、彼は違う。まだ間に合う。楓花は自分の中にある嫉妬も切望も根深く侵食していく絶望も隠すように仮面を付ける。そんな楓花を見て2匹の狐も動き出した。「…貴方達も行くの?」「えぇ、たまには私達も動かないとね」「狐の恐ろしさをみせてやる!」「そう」楓花は面を着け空へと勢いよく飛び上がる、それを追うようにして残りの2人も宙へと飛び一瞬にしてその場には誰もいなくなった。
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片車輪の炎を纏った小型の乗り物が勢いよく街に飛ばされる。しかし今激しい炎にまかれ自身の身をちゃんちゃんこによって守るのが精一杯の鬼太郎はどうすることも出来ない。「やめろー!!!!」街が、人間の街が…自分ではどうすることも出来ないこの状況に、自分すらもう燃えてしまいそうなこの状況に彼は叫ぶことしか出来なかった。けれど次の瞬間海から水が噴水のように上がり、強い風が吹き、吹雪を呼び、稲妻のような強い光が放たれ、それぞれ威力も炎も無くし海へと落ちる。それは自分と同じ妖怪の力だった。それを理解すると共に彼の耳に優しくそれでいて凛とした声が聞こえた。「もう、大丈夫よ」安心出来る彼女の声と同時に鬼太郎の周りを覆っていた炎が消しさられる。楓花の能力で炎を操りどかしたのだ。「楓花ちゃん…みんな…」楓花はそっと面をずらし鬼太郎に笑ってみせる。「私も、天音達もあんたの其の姿を見てたら何か動かされてね。それにこの人間の街を守るのも役目だから」それだけを伝えると楓花は鬼太郎に背を向け周りの炎を消していく。そして天音達狐、天狗、雪女、カッパはそれぞれ鬼太郎に手を貸すため船の勢いを止めて炎を鎮火させる。その隙を見て鬼太郎はコックピットに閉じ込められた目玉親父を救出し自分の服の中へと非難させた。「本体はあんたのちゃんちゃんこでしか消せないわ。お願いね」楓花のその言葉に鬼太郎は力強く頷く「みんなが来てくれた、人間の町は絶対に守ってみせる!!」鬼太郎はちゃんちゃんこで片車輪を包み込み押さえつけるとそのまま海へと投げ捨てた。「さて、急いで逃げないとね」「えっ、ちょ、」動力をなくした飛行船は鉄の塊のなって落ちるだけ楓花は鬼太郎を手早く抱えるとそのまま有無も言わさず飛行船の上から飛び出した。
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天音達の元へ向かう途中烏天狗達が別の方向へ飛んでいくのが見えた。多分ぬらりひょん達を捕まえに行ったのだろう。
鬼太郎の生還を喜んでいる横丁の妖怪たちや雪女と共に話を聞いていれば今回の原因の1部とも思われるねずみ男がひょっこりと現れた。相変わらず勝手なことを、なんて呆れた目で猫娘に追いかけられる姿を見る。そしてふと目の前で笑っている鬼太郎の後ろ姿を見て楓花はその頭に手を伸ばすと無造作に頭を撫でる。その突然のことに鬼太郎は酷く驚き振り返る。その驚きは彼よりも少ないにしろ周りも同じだが、1匹だけ面白そうにその光景を見る「き、きゅうに、なにして、」「…いや、頑張ったねって思って…」仮面の下でどんな表情をしているか鬼太郎には一切わからない、けれどその手は暖かく優しく、あの時の気恥しさとは比べ程にならないものが込み上げてくる。「後は、身長的に頭の位置がちょうど良くて思わず」「絶対それが理由だよね??」雛稀のツッコミに周りは先程の驚きよりも笑いが勝つ。けれど当の本人達にはそれぞれ違う思いがあるようで、それに気づいたのはそれぞれの保護者だけであった。(…最近あの子と鬼太郎を重ねすぎね…全然違うのにな)そうわかっているはずなのにと片手を握りしめる楓花。そして(ちょうどいいって、それにさっきも子供扱いみたいな事して…、僕だってもう少し経てばきっと伸びて…。むしろ楓花ちゃんの事を…。……?どうしたいんだ?)とそれがなにか分からぬま鬼太郎は頭を悩ませるのであった。