鬼界島での戦いも終わったある日楓花は妖怪横丁にいた。その手にはハーブティーの茶袋がひとつ。目玉親父からの頼み事であった。いつもなら至る所にいる妖怪たちが何故か居なく、代わりに瓦版の前に彼等はいた。彼女はその中に鬼太郎を見つけると早足で近づきながら声をかける。町内旅行のチラシを手にしていた鬼太郎は自分が呼ばれたことに気づき手元からその声をけてくれた方へと顔を向ける。「楓花ちゃん?」なぜ彼女がここへ?あまり自ら妖怪横丁へと来ない楓花がこの場所にいる珍しさに周りの妖怪たちも思わず楓花に目を向ける。その視線の多さに嫌な顔をしながら楓花は「目玉親父さんは居る?」と聞くと目玉親父は鬼太郎の髪の中から出てくる「例のやつ持ってきたわよ」「おぉ!いやはやわざわざすまんのぉ」体が小さい目玉親父の代わりに楓花は鬼太郎へと渡す。例のものと話した楓花に鬼太郎の隣にいた猫娘が「何が入っているの?」と聞けば楓花代わりに目玉親父が答えるように自分が頼んだハーブティーが入っているのだと話した。
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嬉しそうにする目玉親父を横目に楓花は
この集まりは一体何なのかと問えば町内旅行があるのだとチラシを見せられる「町内旅行?ここってそんなのもあるのね。…楽しんできて」じゃあ私はこれで。と足早に帰ろうとした時「待って」という言葉に楓花は振り向く。そして振り向いてすぐ目に入ってきた例のチラシに楓花は目を瞬かせる。「あなたも行かない?町内旅行」「…私は妖怪横丁の住民じゃないわよ」妖怪でもないしという言葉は飲み込む。そんな彼女にカワウソは「俺は別にいいと思うんだけどな」と言う呟きを言えば周りの妖怪たちも同意するようにそう話す。それでもどこか渋るような様子を見せる彼女に鬼太郎は垂れ下がったままの楓花の手を取るとそのまま猫娘が差し出していたチラシを取らせた。「僕らは楓花ちゃんだから一緒に行きたいと思ってるんだ。だから少し考えておいて欲しいな」「…」「それにほら天音さん達も誘ってさ」そう話す鬼太郎に楓花は自分の手元にあるチラシを1度見ると小さく「…考えておくわ」とだけ答えると鬼太郎たちに背を向け妖怪横丁を出ていった
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楓花の姿が消えたあと目玉親父は先程自分の息子のどかこか強引とも取れる行動に不思議に思うと「鬼太郎、楓花ちゃんと何かあったのかい?」と聞いた。それにいち早く反応したのは隣にいる猫娘である。「…確かにさっきの鬼太郎なんか変だったわよ…まさか」そう怪しむ猫娘と不思議に感じている目玉親父に鬼太郎はすぐさま否定するように、そんな事は、と答えた。「彼女と何かあった訳じゃないんですが、ただ…」ただ?と怪しむように聞き返す猫娘に少し冷や汗を書きたがら彼女の消えた方を見る「ただ、最近の楓花ちゃんはどこか元気がないように思えて」その言葉に猫娘は思い当たる節があり鬼太郎を睨むことを止める「確かにいつもより口数も少ない気がする」「だから誘ったんです。少しでも楓花ちゃんの気が晴れるように」そう話す鬼太郎になるほどのぉと目玉親父は納得し来てくれるとええのぉという子泣きじじいの言葉に鬼太郎はそうですねと頷いた
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神社へと帰った楓花はチラシを天音に見せた「なぁに?行きたいの?」と面白そう問う天音に楓花は面を外しながら否定する。「違うわよ。渡されただけ」「温泉行くんだ〜」キラキラとした目でチラシを見る雛稀に楓花は自分は行かないから代わりにあんた達が行ってきなさいよ、と答えると楓花は行かないのかと聞かれる。「温泉入るって言うのにこの左腕はどうするのよ?…それに私はこういうの別にいいから」楓花の言葉に雛稀は納得する。いつもは服に隠れその下も包帯で巻かれているため見える事はないが温泉などでは別だ、それが分かり雛稀が残念そうな顔をすればその空気を割くように天音が声を出す。「そうだ、1つ方法があるわよ」「方法?」「楓花も知っているでしょう?狐は化かすことが上手いって」にっこり笑う天音に楓花はため息を雛稀ははてなを頭にうかべた。
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温泉当日楓花は妖怪達が乗るバスの座席に座っていた。その隣にはウキウキとした表情の雛稀。(本当にバレないんでしょうね…)そっと左腕を撫でる楓花は天音の言った言葉を思い出していた。狐は化かすことが特い。その言葉通り天音の力によって楓花は一日だけ左腕の刻印を消すことが出来た。正確には隠すと言ったところだが、それでもわざわざ見抜こうとしない限りその幻術が剥がされることは無いらしい。楓花は砂かけばばあのバスガイド姿を見て顔色を悪くする雛稀を見ながらバレないように願った。
温泉から出てどうせ妖怪横丁の妖怪しかいないし、と面を頭に被せ屋台を見回る楓花は本当に天音の術が誰にもバレなかったことにほっとしながら自身の首元でのぼせている狐に声をかける「雛稀そろそろ首が痛いんだけど」「まだクラクラする*…」「羽目を外しすぎよ」「ごめんなさい~」全く…と楓花は神社で留守番してる天音への土産を見る彼女にたまたま通りかかった鬼太郎達が声をかける「雛稀さんは大丈夫?」「…ただの逆上せだからそんなに気を使わなくても平気よ」呆れたように話す楓花に鬼太郎達は苦笑いしているとその中でカワウソは不思議な顔をする「狐の妖怪なのにしっぽがないんだなぁ」「雛稀は空狐だからね」「くうこ?」「3000年生きた善狐の事。ついでに言うと天狐っていう1000年生きた狐は4本ね」と狐の生態をカワウソに話す。そんな時砂かけばばあが楓花に一緒にハワイアンセンターに行かないかと誘う。「…別に構わないけどこいつがね」「私は平気だよ~」「だったら私の肩から降りてくれる?」「無理…」未だ逆上せて動けない雛稀に楓花は「雛稀が回復したら行くから先に行ってて」と鬼太郎達を見送った。
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しばらくして楓花はすっかり回復した雛稀と共にハワイアンセンターへと向かった。しかしその途中あの場にいなかった死神とねずみ男のの気配に眉を顰める。それを感じたのは雛稀も同じで楓花に早く鬼太郎達の所に行ってみようと言い、2人はハワイアンセンターの中へと入っていった。館内の電気は着いていなく薄暗い廊下を抜け広間へと続く扉を開ける。その中にいたのは氷ずけにされ魂を抜かれた人間と魂が体から離れたままの鬼太郎達。楓花達は周りの状況をすぐに飲み込むと雛稀はカワウソのいるプールの方へ楓花は鬼太郎達の元へと駆ける。(冷たい…このままだと魂を戻せないわ)「楓花ちゃん!ここのプール温水だから氷が溶かせるかも!」雛稀は足だけプールに浸かったままのカワウソを見て足だけが氷ってないことに気づいた。その言葉に楓花は能力で鬼太郎達を次々に温水プールの中へと落す。雛稀もそれに続いてカワウソを落とした。
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雛稀の言った通り鬼太郎達の氷は溶け魂が体の中へと戻った。鬼太郎達にお礼を言われた2人はそれよりも、と何があったのか事情を聞き全員でその現況である死神達の元へ向かった。
バスに乗り込もうとした死神とねずみ男、その二人に歯向かい魂を抜かれそうになっている骨太を見つけ鬼太郎はそれを止める。「き、鬼太郎!?なんで…」「楓花ちゃん達が溶かしてくれたんだ」死神は死んだ人間の魂を回収する仕事、生きた人間の魂を奪うのはご法度だ。人間の魂を返しなさい、と言う猫娘達に死神はそんなものは関係ないとあの火の玉を出現させる「あの火を見ちゃダメだ」という鬼太郎の声に全員目を閉じ視界から火の玉を消す。しかしそれだけではこちらから攻撃出来ないと悟った楓花は「私に任せて」と言いバスの後ろでこちらをうかがうねずみ男を蹴り飛ばしかけていたサングラスを奪い取ると鬼太郎に投げた。「ありがとう楓花ちゃん!」楓花からサングラスを受け取った鬼太郎は火の玉の影響を受けることなく髪の毛針と指鉄砲を相手に食らわす。けれど死神は自身の首にかけていたレイを外すとそれをふうかたちの方へと投げた。それは彼女たちに巻き付き身動きを取れなくする。更にはその周りであの火の玉が楓花達を焼きこがそうとするように距離を縮めながら周りを飛ぶ。(まずい…どうにかしないと)けれど流石の楓花でも魂を取る火の玉を見ることは見ることは出来ない。どうしたらいいから考えをめぐらせていた時雛稀はこっそり楓花の耳元で「私に任せて」と言うと神通力で火の玉のひとつを操り外側にいたカワウソのレイを燃やす。しかし雛稀自身も目を完全に開けられないため操作はミスりその火はカワウソの尻尾へも点火した。
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その熱さにカワウソは驚き炎で千切れそうになっていたレイから脱出すると自身に着いた火を消すため近くにあった川へと死神を巻き込んで飛び降りた。火の玉とレイが消えた楓花達はカワウソ達の行方を見るため川へと近ずいた。そして骨太は川の流れに逆らえず覚える死神を見てカワウソに助けてあげてと言い死神を岸へと上げた。水に濡れた死神と楓花に蹴り飛ばされ顔が赤く腫れたたネズミ男は彼女たちの前で正座させられ奪った魂は人間へとかえされた。
無事に人間達の魂が戻り鬼太郎達は宿へと戻る。その宿の前では骨太を心配し迎えに来た家族の姿があった。父親にあんたがしっかりしないからと怒る母親に骨太は、父ちゃんは優しいから人間の魂が取れなかった、ダメな死神なんかじゃない。僕はそんな父ちゃんが大好きだ、だからあまり叱らないでね。と庇うそのしっかりとした彼の姿に感動する母。そしてそれを見て良かったと感動する目玉親父達。そんな中雛稀はそっと楓花の様子を伺うその顔は斜め後ろからは分からない、けれど握りしめられた右手は震えていて…雛稀は周りにバレぬようそっとその手を自身のものと重ねた。楓花を見ていたのは鬼太郎も同じだった「家族の心が通じ合う、それが一番の幸せじゃよ」という自分の父親の言葉にそうですねと返しながらふと隣に立っていた楓花が視界に入る。周りが良かったと話感動している中1人彼女の表情は暗く闇と溶けるよう。まるで1人迷子になり困惑しているような悲しいような子供のように思えた
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宿に入り鬼太郎は部屋へと向かう楓花を呼び止めた。こちらに顔を向けた彼女の顔はいつも通りでそれがまた鬼太郎の不安を掻き立てた。「…なんか用?」自分を呼び止めたのになかなか言葉を発しない鬼太郎に楓花がそう訪ねると彼は何度か口を開けそして何かを言いかける。「…今日、楽しかった?」どこか違和感を感じる笑い方をする鬼太郎に少し気になるも楓花はその問に答えることを優先した。「楽しかったわよ」「そっか…それなら良かった」「大勢と出かけるのはとても久しぶりだったから意外と面白かったわ。誘ってくれてありがとう」小さく笑う楓花に鬼太郎はまたぎこちなく笑い返し「じゃあまた明日」と楓花が部屋に入るのを見送った。
1人になった鬼太郎は彼女の部屋から少し離れたところでよろりと壁に体重を預ける。楽しいと言って貰えて良かった、けれど鬼太郎が本当に聞きたかったのはそれでは無い。あの時本当は何かあったのか、と。もしそうなら自分を頼って欲しい、と。そう言いたかった。けれど言えなかった。これ以上聞けば彼女はもう自分の前に姿を現すことは無いと何処かで悟ってしまったから。あの時聞いていた話から藍坊主は彼女の何かを知っていて、彼女も自分の領域へ彼が踏み込む事を了承していた。その二人の関係に羨まらしさがこびり付く。だって本当は、本当は(僕が彼女を護りたい…)けれど自分は楓花のことを今だほとんど知らないままで、彼女の取る距離の長さに悔しく感じた。
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「黒鬼髮と白鬼髮ね…」黒鬼髮に取り憑かれた少女を助けるため鬼太郎達は楓花のいる神社に来た。「古今に封印の札を作ってもらったけど黒鬼髮はきっと簡単に切り裂く」「だから奥の手が欲しいから私のところにやってきた…と」「何か方法はないじゃろうか?」ない事は無い、と楓花は少し考えた素振りを見せたあと鬼太郎に古今に乗っている黒鬼髮の内容を見せて欲しいと話す。そして古今の黒鬼髮を封印する方法が乗っているページを見ながら彼女は一つの方法を思いつく。「簡単に切り裂かれなければいいのよね?」「何かアイデアがあるの?」「…鬼太郎が本当にその少女を救いたいのならね」楓花の言葉に鬼太郎は強く頷く。その姿に彼女は(鬼太郎らしい)と感じ一つ息を吐くと鬼太郎に顔を向けた「じゃあ服を脱いで」「…え、えぇ!?」なんてことの無い言葉のように発せられた彼女の言葉に鬼太郎と目玉親父は酷く驚き困惑する。「あぁ、ごめん。別にいやらしい意味で言ったんじゃないの。…なんて言えばいいのかしら…簡単に言えばあんたの体に直接この古今に乗ってる封印の呪文を書く。そうすれば裂かれることもこわされることも無いでしょう?」「た、確かに」未だ頬の赤みが消えることの無い鬼太郎は楓花の説明を聞き納得すると彼女にその封印の呪いを書いてもらえるように頼んだ。
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その次の日鬼太郎達と共に楓花は黒鬼髮と白鬼髮の祀られていた神社へと訪れていた。楓花は自分の手に持ったその2つの髪束を祭壇へと置きその身がまた悲しみと憎しみで溢れぬようそっと自身の言葉に呪いを乗せて彼女達にしか聞こえないであろう大きさで。言葉を放つ。(悲しみと憎しみ…)やはりどこも残るものは変わらないわね…と楓花は本殿の扉を閉めて最後に手を合わせ頭を下げながらそんなことを考える。楓花がその2人を奉納した後鬼太郎達とこっそり姉妹がこの神社にお参りする姿を眺める。ねずみ男がまたくだらない考えを巡らせていることに猫娘が怒り追いかけ回す姿に(懲りないわね)と呆れながらもう二度とあの二人を目覚めさせないようこっそりと印を結びあの扉が開かないようにした。「白鬼髮と黒鬼髮はどうなったんでしょう?」「悲しみも消えれば憎しみも消える。2人はようやく重い荷物から開放されたのじゃよ」「…えぇ、やっと2人で静かに眠れていると思うわ」「だといいですね」神社のお参りが終わりその場を去る姉妹を見ながら楓花と鬼太郎も猫娘達を追うようにしてその場をさった