ちょっと前、楓花はケーキ屋さんの箱を手に持った鬼太郎と会った。その時彼女はただの興味でその箱はどうしたのと言い、鬼太郎は目玉親父が大好物のとあるお店で買ったシュークリームだと話し沢山あるから良かったら食べてみる?と聞いた。甘いものは好きだったためじゃあお言葉に甘えて、と言えばたまたまそれを聞いていた天音、雛稀、そして神社で遊んでいた子供達が揃いも揃って「ごちそうさまです!」と言いシュークリームを奪っていった。楓花も勿論貰ったがその勢いと遠慮の無さに頭を抱えごめんなさいと鬼太郎に謝ったのだ。
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そんな記憶がまだ新しい中楓花は猫娘に呼ばれ街中を鬼太郎達3人で歩いていた。目的の場所へと向かいながら話を聞くとそのシュークリームを作るご主人を励ましたい、そしてそういうのは大勢の方が良いだろう。という事だった。「ご主人を励ましてやらんとな」「なら大勢の方が良いわよね!」「シュークリームが食べたいだけじゃないの…?」鬼太郎の言葉に楓花はこっそり同意するように頷く。けれど猫娘にただ呼ばれその時暇であったがために付いてきていた楓花は(…でも平和なようで良かった)と1人安心していた。
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店に入り鬼太郎が声をかけるが中には誰もいない。また居らんのか?と疑問を持つ目玉親父をよそに楓花は従業員入口の扉が空いてる事に気がつく「多分奥にいるんじゃないかしら」と3人はその中へと入っていく。そして厨房へと続く扉を楓花は開けた時、地面に倒れ込んでいる主人を見つけた「おじさん!」「しっかりしろ!」鬼太郎達は倒れていた主人を上へと運び布団へと寝かせた。主人の容態を見た目玉親父は過労だと判断し今日は休むようにと話す。しかし今日は幼稚園からおやつの注文が来ていて、子供達が自分のシュークリームを待っているため休めないと主人は返す。すると目玉親父は「そうじゃ!」と何かを思いつく「シンジくんに焼いてもらったらどうじゃ?」「え?」「シンジに…?でもダメ息子のあの腕じゃ…」「ダメ息子を信じなさい!こういう時こそ彼の真の力が開花するかもしれんぞ!」目玉親父の説得もあり鬼太郎達はシンジがいるであろう公園と向かう。(人はそんな簡単に変われるものじゃない無いのだけれど…)楓花の心配はまさに現実のものとなる。シンジは父親の説得によりシュークリームを焼くと燃え、鬼太郎達とそして巻き込まれた楓花はその手伝いをすることとなった。
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しかし結果は大失敗。シュークリームは焦げ、楓花達はオーブンの爆発により煤だらけになってしまった。電話越しで幼稚園に謝り込む主人に楓花は巻き込まれた立ち位置でありながらも申し訳なさが出る。「ご主人…」「…仕方ありませんよ」受話器を置き諦めたように話す主人、楓花はまた公園で猫に失敗したシュークリームを食べさせているであろう息子の姿にため息が出そうになった。次の日心配になった鬼太郎達3人はあのケーキ屋へと向かった。するとそこに居たのは昨日までとは打って変わって笑顔で働くシンジの姿だった。まるで人が変わったような彼に驚いていれば主人が話しかけてくる。「これは一体…」「シンジのやつついに目覚めてくれましてね!あ、これシンジが作ったものなんですけど試食どうぞ!」主人の差し出したシュークリームをそれぞれ手に取り食べてみる。それはとても美味しく楓花の隣で鬼太郎達はその美味しさのあまり自身の頬を抑え、楓花も「美味しい…」と思わず漏らす程であった。けれど楓花は自分の感じる違和感が拭えなく、機敏に動くシンジを見る。人が変わったような、と思ったがこれはどう見ても比喩表現では済まされないほどである。バリバリ!と口癖のように叫ぶ彼にこの違和感は一体何なのかと疑問に思った
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妖怪横丁の長屋の前で楓花は鬼太郎達と一緒にケンジの作ったシュークリームを食べる。親孝行な息子だと感動する目玉親父に猫娘は頬にクリームを付けながら大袈裟だと返す。「けどこれでめでたしめでたしだね」と言いながらシュークリームを頬張る鬼太郎の横で楓花は(それはどうかしら…)と一抹の不安を抱いていた。後日楓花は最近スポーツ界でもシンジと同じように人が変わったような選手達が気になりやはりシンジの事を鬼太郎達に話そうと彼の家へ赴いていた。簾を上げれば中で新聞を読んでいる鬼太郎たちの姿が目に入り、ラジオではその選手達がそれぞれ体調を崩し病院に運ばれたというニュースが流れていた鬼太郎、とかけた声は慌てた様に鬼太郎の名前を呼ぶ猫娘の声にかき消される。その内容は楓花が話そうとしていたシンジの事だった。
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鬼太郎達は急いでシンジ達の元へと向かう。その途中で楓花はもしかしたらシンジに妖怪が取り付いているかもしれない、と自分が話したかった情報を3人に話した。店へと入ると今まで感じなかった妖気に鬼太郎の妖怪アンテナが反応する。4人は主人とシンジがいるであろうキッチンへと向かうと、そこには普通ではない息子の姿に唖然とする主人の姿。「妖怪…シンジさんは妖怪に取り憑かれています」「鬼太郎さん!旦那!」「ご主人、シンジくんは何故こんなことに」目玉親父の問に主人は最初自分にも分からないと答えるが、何かを思い出したかのように目を見開くと言葉を漏らす。「あのバリバリって卵…!」「バリバリ…?」「やっぱり…、バリバリって言うのは人の体内に寄生してやる気をバリバリにする妖怪よ。けど寄生された人間は養分を吸い取られて…やがて死にいたる」「そんな!」楓花の説明に主人達は驚愕する。そんな中シュークリームを作り続けていたシンジがこちらへと顔を向ける、鬼太郎達を客だと認識した彼はその手に通常よりも大きいシュークリームを乗せた盆を持つと鬼太郎へと向かい走り、それを押し付けようとする。鬼太郎は直ぐにそれを受け止め押し返そうとするが人間では考えられない力にその勢いを止めるのがやっとだ。
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楓花と猫娘も鬼太郎からシンジを離そうとするが3人の力でもビクともしない。鬼太郎は目玉親父にバリバリを出す方法を聞くが、シンジを傷つけないようにバリバリを取り出す方法は分からないと返ってくる。そんな状況に主人はシンジに自分の夢を無理やり押し付けてしまったと謝り、どうか元のシンジに戻って欲しいと涙を流し叫ぶ。しかしその願いは今のシンジに届くことは無い。けれど目玉親父は一つの案を思いつくと鬼太郎から1本の毛針を借りるとその勢いのままシンジの口の中へと飛び込んでいく。慌てる鬼太郎に目玉親父は自分がシンジの体内へと入りバリバリをやっつけると話し、その中へと向かっていった。楓花は目玉親父が中に入ったとしても動かれたら溜まったものでは無いと思い、シンジの足を払う。バランスが取れなくなり後ろへと倒れそうになるシンジに向かって今度は鬼太郎がちゃんちゃんこを投げその動きを封じこめた。宙に舞った巨大なシュークリームは猫娘の頭をすっぽりと覆う。地面へと倒れ身動きが取れなくたってシンジを横目に楓花は前が見えなくなりフラフラと動く猫娘の元へと行きシュークリームを外しながら目玉親父の無事を祈った
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最初劣勢だった目玉親父は最終的に父親の底力とでも言うようにその気迫だけでバリバリから戦力を奪い勝利を納めた。バリバリが体内から居なくなり気を失ったように眠るシンジを布団に寝かせ、4人は外に出る。空はもうオレンジ色に染っていた。息子を助けてくれてありがとうと感謝を述べる主人に目玉親父は彼はまだ若いのだから長い目で見ればいいと話し、最後に猫娘はシンジの友達というていで猫から聞いた彼の気持ちを主人に伝えた。その後4人は鬼太郎の家へと集まり猫娘が見た親子の様子を聞く。それは前とは違い父親のプレッシャーが緩和された為か積極的にシュークリームを作ろうとするシンジの姿があったとか。「そうか、仲良くやっとるか」「バリバリは放浪の旅に出たんですって?」「うん、彼が協力してくれたおかげでバリバリ用の下剤も作れたよ」「これでほかの被害者も助かるわね」「一件落着ね」「あれ、何か忘れてる気が…」「そう言えば…」それを考えるふたりを他所に楓花はこの事件の犯人である妖怪の姿が思い浮かび一人呆れたように息を吐いた。
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境内を掃除していた手が止まる。かすかに感じたそれに楓花は目を細めた「…妖怪城」それは昔まだ彼女がこの世界に来て数周年ほどしか経っていなかった時、霊永永神社に訪れた僧が妖怪城を封印するための術を天音に教わりに来た。その後天音が教えたしめ縄の封印を妖怪城に施し封印した。…しかし今楓花が感じたそれは封印が何者かによって破られてしまったことを知らせるものだ。
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チー