頑張る(願望)女の子とサッカー部(無印とGO) 1部

以下書きたいところはしっかり書いてそれ以外は何となく書く的な流れ

とまぁこんな感じで赤ん坊の頃からお兄ちゃんが出来、お兄ちゃんが出来、お姉ちゃんが出来、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん.........って続いていき中学生になって携帯を持つようになりその電話張は不思議なことに八割くらいがサッカー関連のお兄さんお姉さん達になっちゃった。しかもこの中には現役プロもいる。これには願望ちゃんも冷静になって人数を数えた時に笑いしか出てこなかった。でもみんないい人だし、たまに向こうから連絡をくれるし、なんならあそびのサッカー(願望ちゃんから見たらガチ)にも誘ってくれるから後悔はないし嬉しい限り。
そんな願望ちゃんも中学に上がれば好きな人もできるもんで、しかもそれはなんという偶然か中学二年生現在まさかのサッカー部キャプテンの神童拓人であった。好きになったきっかけなんて覚えてはいないけれど多分1年生の頃から好きなんだから一目惚れなのかな...?そこはちょっと曖昧。でも好きなことには変わりない。だったら好きな人もいるし願望ちゃんもサッカー好きだし顧問と監督には願望ちゃんが昔から知っている春奈と久遠さんがいるんだからサッカー部に入ってマネージャーとかやるのが普通なんだと思うんだけど、願望ちゃんはサッカー関連の人が多いせいでフィフスセクター始め管理されたサッカーのお話を知っちゃって、願望ちゃん的にはずっと円堂達の傍にいたって言うのもあって楽しいからサッカーをするのであって管理されたものに楽しさなんてないし、楽しくないならする意味も見る意味も無い気がする...って感じで最終的に趣味で楽しむサッカーが1番だなぁという考えからサッカー部にはいってない。でもだからと言って他の部に入るってこともせずに帰宅部してる。

それでそんな願望ちゃんだったんだけど中学二年生に上がって初めて好きな人と同じクラスになったの。でもだからって願望ちゃんは積極的に話しかけたりしないし、それのせいか神童くんにとって願望ちゃんはふつうにクラスメイトの1人って認識。でも願望ちゃんはそれでいいって思っちゃってる。だって自分と神童くんとは頭の良さとか家柄とか自分には絶対に釣り合わないくらい凄い人だからまさかの中学二年生にして恋心は軽く諦めモードに突入してる。あと願望ちゃんは霧野くんとは2回連続同じクラスだから神童くんとの仲はクラスメイトって感じだけど霧野くんとは今のところこのクラスの中では1番話す...?かもしれない知り合い?って仲。ここはちょっと曖昧。願望ちゃん的には去年も含めて仲良くなったかな?って感じだし、実際教室が決められて入ろうとした時に霧野くんから声をかけられて「お、また今井と同じクラスだな。よろしくな」「こちらこそよろしく」って話したぐらいだからただのクラスメイトってよりは深い仲になったとは思うけどだからといって友達!って断言出来るほど仲がいいって自惚れしてるほどではない。そんな関係。
↑ここまで前置き
↓こっから原作
委員会の友達の手伝いのためにいつもよりも早く学校に登校した願望ちゃん。でもなんだかグラウンドの方がやけに騒がしく感じて友達とこっそり見に行くことに、そこに居たのはサッカー部一軍と知らないユニフォームを着た集団と新入生と思わしき2人の男の子(ただしひとりは改造制服)。それで途中からだったから細かい話はよく分からなかったんだけど久遠さんがあの改造制服男子含めた集団は恐らくフィフスセクターから送られてきたエージェントだって話しているのが聞こえたから、何が何だか理解出来ていない友達を差し置いて願望ちゃんはめちゃくちゃ驚いちゃう。だって雷門中は久遠監督以外は一応フィフスセクターにしたがって試合をしていたからあまり目をつけられていなかったから、フィフスセクターの手が回ることもないだろうって複雑ながらも安心してたから。でも残念ながら現状はこれ。現雷門イレブンを監督諸共お払い箱にして、その後釜に自分達が収まるって話す剣城に当然納得ができない神童と話を野次馬と同じポジで見ている願望ちゃん。んで剣城達的にはこのまま現雷門イレブンと戦ってその席に座りたいって算段なんだけども、神童はこの状況でもキャプテンとして理不尽な暴力に訴える剣城達と私闘をするつもりは無いって言い放つ。その言葉を受けた剣城は雷門サッカー部のシンボルである旧部室にサッカーボールを蹴りつけて、そこに飾ってあったサッカー部の看板を真っ二つにしちゃう。これには願望ちゃんも言葉を失う、だってこの看板は円堂の時代からずっとあったものでそれがどれほど大切なものか幼かった願望ちゃんでもわかってたから。だから思わず前に出そうになるんだけどそこは友達が願望ちゃんを抑えて落ち着かせる。この挑発に我慢の限界に達した神童は、雷門イレブンの座をかけて剣城達と勝負する事を決めるて、願望ちゃん達もそれを見に行こうって話になるんだけど、その前に願望ちゃんは旧部室の前まで移動して2つに割れちゃった看板をひろいあげる。剣城に対しての一時の怒りが落ち着けば今度はなんとも言い難い悲しさに襲われ、それでもサッカー部顧問でもある春菜の元へと持っていく。「先生……これ」「…今井さんありがとう」「……」「大丈夫、大丈夫よ。貴女の知っている雷門イレブンは無くなったりしないから…」「うん…」悄然として俯く願望ちゃんに春奈は優しく声をかける。自分と同じく、もしかしたらそれ以上に雷門イレブンを、円堂守を見てきた彼女にとってこの看板がどんな意味をなすかなんて簡単に想像できる。それが割れた悲しみも。大丈夫と自分自身にも言い聞かせるようにして春奈は自分の手に渡った看板を強く握りしめた。

看板が割れてから気分が落ち込んだままの願望ちゃんを友達が慰めつつ、雷門イレブンとシード達との試合が行われるサッカースタジアムに行く2人。友達的には願望ちゃんがなんでこんなに落ち込んでるのとか全く分からないけど願望ちゃんがサッカーが好きだったってことは知ってたからそれでかなって感じ。それで友達に引っ張られて席に着いて試合を観戦する事に。場所的には雷門イレブンのベンチがすぐそこってぐらい前の席。惚れてる身としては「神童くん頑張れーー!」って感じなんだけどシードってめちゃくちゃ強いっていうし、実際剣城の蹴りはすごい威力だったし、心のダメージクソデカだしで心配と落ち込みがごった煮だから友達と静かに観戦。審判を務める古株が相手チームの名前が分からずに言い淀んでいるとそこに怪しい
黒の山高帽を被った男が現れて「黒の騎士団」と名乗った。どうやらこの男が剣城達シードチームの監督を務めるらしい。サッカー部の騒ぎを聞き付けたのは願望ちゃん達だけではなかったらしくスタジアムの客席に生徒がちらほらと集まり始める。試合が始まってすぐに相手チームの先制点、願望ちゃんから見ても、素人の友達から見ても雷門中と黒騎士の実力は明らかで為す術もなく翻弄される雷門イレブン。そしてあっという間に10点差。しかも雷門イレブンはまだ0点。まさかシードがこんなにも強いとは思わなかった願望ちゃん。けどさらに畳み掛けるように驚くことになる。なんと久遠は選手交代で新入生を起用したのだ。これは流石に友達と一緒に「えぇ!?」ってなっちゃう。「なんで新入生と交代させるんだろ……あの子強いの?」「…さぁ……どうなんだろ…」「楓花ちゃんサッカー部の監督と知り合いなんでしょ?なんか考えてること分かんないの?」「超能力者じゃないんだから分かるわけないよ…!」当の本人もまさか自分が試合に出るなんて思ってなかったらしく驚きを隠せない声が願望ちゃんたちの所まで届いてくる。何となく、何となく反応から察するにこの子は多分初心者だ……。今の状況で天馬を起用するのはどう考えても良い作戦とは思えない。実際現雷門イレブンは納得がいかない様子だし、キャプテンの神童もその意図を図りかねている。けれど、そんな中「なんとかなるさ!」と自信ありげに言う天馬に思わず願望ちゃんは少し身を乗り出してその背中を見る。「?どうしたの?」「…ん?…いや、」歯切れの悪い返しをして願望ちゃんは乗り出した身を引っ込める。(守お兄ちゃん…)全くの別人だけれどその背中もサッカーに対する思いも願望ちゃんが敬愛している円堂と重なり、だから久遠監督は……って久遠が天馬を起用した理由を察する。そんで天馬が入った状態で試合が再開されるんだけどやっぱり状況は変わらないし、天馬が剣城からボールを奪おうとする度に軽々と避けられ、更にはほかのチームメイト達を次々と攻撃する。天馬以外の殆どの人が倒れる中前半終了。点数は0対10のまま。それは後半戦でも変わらず神童ですら剣城に蹴散らされてしまう。そしてシュートの嵐。圧倒される雷門イレブン。その力の差についに部員の1人がサッカー部を辞めるといいだしピッチを去る。サッカー部を潰すという剣城の言葉が着実に現実に変わろうとしていた。そんな中剣城が戯れで天馬にボール渡し、それが意外な展開を招く。なんと天馬がドリブルで黒の騎士団のスペースに切り込んだ、天馬からボールを奪おうと動くがそれをするりと交わす。天馬のドリブルの能力は、剣城の想像を超えていた。チームプレーも胸トラップすら満足にできない天馬だったがドリブルだけは人一倍練習したのかもしれない。その能力は願望ちゃんも叶わないだろう。ただ天馬がゴール前まで来てもシュートをすることなく折り返して、味方からのパス要請にも答えようとしない。ずっと自分でキープし続ける天馬。その姿に願望ちゃんはきっと彼は仲間がこれ以上傷つかないように、試合終了まで自分がキープし続けようとしているんだって気づくんだけどそれに気づいたのは剣城も一緒で、剣城の合図で他のチームメイトが天馬の周りを取り囲む。そして天馬を潰すよう指示された剣城はここに来て化身を発動させた。「な、何あれ……」「…化身」「けしん?」サッカー関連に疎い友達に願望ちゃんは化身がサッカー選手の間で都市伝説的に噂されている化身だって説明して試合の行方を見る。…………てな感じで試合を見る願望ちゃん剣城の化身に圧倒される天馬と雷門イレブンだったけど途中天馬が神童にサッカーを諦めないで欲しいと言われ、神童は自分の不甲斐なさに涙を流し、そしてチームメイトを守りたいと言う気持ちから神童も化身を発動させた。2体目……都市伝説とは何だったのかという友達の視線が願望ちゃんに刺さるがそれを自分に聞かれても何も分からないからやめて欲しい。そして化身と化身の闘いに誰も立入ることが出来ない。けれどその中で黒の騎士団の監督として居た人物だけはその姿に満足したらしくなんの気まぐれかその戦いを制し、潰そうと思えば可能だったサッカー部を見逃して去っていった。黒の騎士団が去っていくのと前後して、神童が叫び声を上げながら倒れる。きっと化身を使うのに必要だった気力と体力が底を尽きたのだ、願望ちゃんは好きな人が倒れてしまったことに心配が尽きないものの試合は終わり時間ももうギリギリだ。後ろ髪を引かれるようなきがしながらも願望ちゃんは友達に引っ張られるようにしてサッカーグラウンドを後にした。

始業式も入学式も終わっても神童と霧野が教室に戻ってくることはなくて願望ちゃんは尽きない心配にもそもそとご飯を食べる。「神童くん心配だね」「うん…」って会話してたら噂の本人たちがやっと教室に戻ってきた。学校で人気な2人はすぐに女の子に囲まれて大丈夫?心配したよ?なんて言葉に対して苦笑いしながら返していく。大丈夫と言っているがどこが大丈夫なんだろうか…そう思えるほど精神的にも消耗しているように願望ちゃんからすれば見えるのだがそれを追求できるほど仲がいい訳でもないのでそんな言葉はご飯と共に飲み込む。「いいの?声かけなくて」「…なんで?」「だって楓花ちゃん神童くんの事」「卵焼きあげるからお口チャック」「はーい」黄色い卵焼きを友達のお弁当箱に放り込んでそれより先は口に出さないようにしてもらう。危ない危ない小声でも本人に聞かれたらとんでもないことになってた……。願望ちゃんから渡された卵焼きを口にして今日も放課後は忙しいの?って聞く友達に願望ちゃんはうん、とひとつ頷く。実はこの学校で願望ちゃんがアルバイトもどきをしていると知っている唯一の子。「行ってもいい?」「部活あるでしょ」「…そうでした」途端にしょぼしょぼとする友達に願望ちゃんは頑張れとエールを送った。
そんで次の日、昨日の事があったからって言うのもあってやっぱり神童の様子はおかしいし、それを心配そうに見ている霧野の様子もおかしい。やっぱりフィフスセクターの事かな…ちょっと詳しそうなお兄ちゃん達に聞いてみようかな…とか考えるんだけど元々サッカー部となんの関わりもない願望ちゃんがフィフスセクターとかそれに反するレジスタンスとかを知ったのって円堂が願望ちゃんがいる空間でふつうに口を滑らせたっていう戦犯からだったから多分教えてはくれないんだろうなって分かりきった結末にため息。だってあの時みんなして円堂さんを叱ってたから。あと自分にも口酸っぱく他の人に喋らないこととか言われたから。そして放課後、今日も今日とて響の代わりに飛鷹が店主を務めるラーメン屋の手伝いをしに向かおうとしたが、その途中教室に忘れ物に気づいて引き返す。ノートをカバンにしまって「よし出よう!」とした時ふと窓から見えるグラウンドの景色が目に入った。サッカー部の入部試験だ。でもそれにしては人数が少なくて、願望ちゃんが1年生の時はもっと倍以上いたのになって思う。それでその流れを見ていたんだけどやっぱり内申点目的の人達は直ぐにミスを他人になすり付けて言い争ったりと目が当てられない。でもほか2人、天馬ともう1人は頑張ろうと励まして試験を続ける。けれど神童は昨日の事もあり誰も入部させまいとしているようで、天馬からボールを奪うと奪い返そうとする2人をプレーで翻弄する。でもその動きは苛立ちからか力任せ。きっと神童には神童の考えがあるのだろうけど願望ちゃんはなんだかこれ以上見続けるのが辛くなって外から顔を逸らすとそのまま廊下に出た。

願望ちゃんが友達から天馬と信介の2人がサッカー部に入部出来たらしいと話を聞いたのは休み時間の時。凄いね、私が見てた時は神童くんにボッコボコにされてたのに。と願望ちゃんからしたら笑えない擬音で話す友達にそうだねなんて返しながらやっぱり久遠おじさんが認めたからかななんて思う願望ちゃん。「そういえばサッカー部が練習試合するって聞いたんだけど楓花ちゃんは観に行くの?」「…どうしたの急に」「だって楓花ちゃんサッカー好きじゃん。だから観に行くのかなーって」楓花ちゃんが観に行くならなら私も行きたいって思ってると話す友達に願望ちゃんは今この教室に神童達がいないことを確認してから「行かないよ」とだけ返した。「そうなの?てっきり楓花ちゃんなら観に行くと思ってた」「…だってつまらないじゃん」「そうかな?見てるだけでも楽しめると思うんだけど」「そうじゃないよ。確かに観るのは楽しい、それは凄くわかる。でも……やっぱりなんでもない」「えー!……もしかして楓花ちゃん何か知ってる系?」「さてどうでしょう」これ以上の言葉はさすがに反感を買いそうで飲み込む。腐った果実のようにグチャりと落ちて潰れそうなサッカー界を願望ちゃんは好きじゃないから練習試合なんて見に行かない。どうせ八百長だ。特に昔から円堂達のサッカーを見続けていた願望ちゃんにとっては侮辱のようにも感じる程でブーブーと文句を垂れる友達に笑いつつ言葉を放つ「私が好きなのは純粋なサッカーだからさ」その一言を言い終わると同時に神童が教室に入ってくる。え、嘘、このタイミングで!?いやいやでも自分の席は神童くんが入ってきたドアから少し距離はあるはず。教室に人が少なかったからアレだけど大丈夫聞かれてない。……はず。はい!この話はこれでお終い。と無理やり話を終わらせて友達を自分の席へと戻す願望ちゃん、この時ばかりは好きな人だとしても目を向けられなかった。
サッカー部が練習試合をした日の夕方、願望ちゃんは母親に頼まれたお使いのためにふらふら歩いてたんだけどその時同じように歩く久遠を見つけて思わず声をかけちゃう「久遠おじさん!」って。その声に気づいて久遠は振り返って片手をあげる。それでそのまま2人で少し話した後に願望ちゃんがそういえば久遠おじさん荷物多くね?って今更なことに気づいてそれについて聞いてみれば向こうはさらりと「監督を更送されたんだ」って言うからびっくり仰天。どうして今更そんなことにと理由を聞けば今日の練習試合が最終的なきっかけだったって知っちゃう。願望ちゃんまじでサッカー部の練習試合を見に行ってなかったしその結果も分かりきってたから知りたくもなかったんだけど、久遠から話された今日の試合の内容に驚きが隠せない。だって神童が指示を破ってゴールを決めるなんて思ってもみなかったから。少しかもしれないけど、それでも松風天馬に影響されたのかもしれない。「やっぱり松風くんかぁ」「やけに腑に落ちてるみたいだな」「だってあの子何だか似てるんだもん。久遠おじさんだってそう感じたからあの時に出したんでしょう?」「……あぁ」少しの無言と肯定。やっぱりねって思う願望ちゃん。この調子で上手いことサッカー界をどうにか良い方向に変えてくれないものか、いや、でもその前に久遠おじさん監督辞任されられちゃったんだよな…。久遠の後釜は必然的にフィフスセクターから派遣されてくる人であろうか、そしたらもう雷門イレブンは完璧に腐り落ちてしまう。そんな心配を抱える願望ちゃんに久遠は気づいて2度3度ぽんぽんと願望ちゃんの頭に触れる。あぁ、この人がこんな事するなんて珍しいな。なんて他人事な願望ちゃん。「安心しろ俺の後任はもう決まっている」「…やけに自信ありげだね、何か確証があるの?」「あぁ。先に手は打っておいた」「おぉ……」流石頭の切れる久遠おじさん。断言しているからきっと心配いらないんだろうなって感じて誰が来るの?と聞けば明日には分かるとはぐらかされちゃう願望ちゃん。でも久遠に対しても信頼度100パーセントだからあまり深くは聞かずに「じゃあ誰が来るか楽しみにしておく」って笑うと久遠も分かりずらくはあるものの少し口元を上げて笑顔を作る。そんな感じで2人で話して(ほぼ一方的に願望ちゃんが喋ってたけど)お別れ。試合の内容の事で個人的な嬉しさはありつつもやっぱり他の人からしたらたまったもんじゃ無いんだろうな…特に内申点欲しい組はって冷静になりつつも家に帰る願望ちゃん。

翌日、いつもより早く登校した願望ちゃんがたまたま旧サッカー部室に目を向けると、春菜が何とか修復してまた掛け直したサッカー部の看板を見つめる男性の後ろ姿。その見なれた格好とトレードマークとも言えるオレンジ色のヘアバンドに歩いていた足は止まって、その向きを変えると走り出す。周りに人がいないことをいいことに楓花は「守お兄ちゃん!」と叫ぶ、その声は嬉しさが抑えられずにこぼれ落ちるほどで声に反応して振り返った円堂もその声の人物が誰だったのかすぐ分かったため笑顔で手を振る。「久しぶり守お兄ちゃん!」「久しぶりだな!元気だったか?」「うん!」久しぶりの再開に嬉しい楓花と同じく嬉しい円堂。その感情のままわしゃわしゃと両手で楓花の頭を撫でるためせっかく髪をセットしたのに全てが台無しへと変わるがこの際知ったこっちゃない。そんな事より会えたことの方が楓花は嬉しかった。そんな感じでちょっとの間キャッキャキャッキャしてる2人。「また一緒にサッカーやろうぜ!」「いいの?」「あぁ!風丸達も誘ってみような!」「やったー!」「あと久しぶりに家に遊びに来いよ!夏未も楓花が来るの楽しみにしてるはずだから!」「わ、わーい!行くー!」みたいな。多分これを鬼道さんとかが見たら大型犬と小型犬の戯れとか言われて微笑ましい光景だとかで笑う。でも実際そう。それでやっと2人落ち着いて楓花らボサボサになった髪を手ぐして直しながらなんでここにいるの?とか色々聞いちゃう。それで円堂が久遠の後釜として監督になるって知ってやっぱりそうなんだ!!ってこれまた嬉しくなる。久遠があんなにきっぱり言っていたのだから円堂達の誰かになるのではないか……なんて想像はしていたがまさかのご本人登場。春菜お姉ちゃんも喜ぶだろうな。楓花はここに来てサッカー部関連のことで初めてにっこにこ。そのままあーだねこーだねお話してたらそろそろ教室に行かないといけない時間で別れ惜しくなりながらも「じゃあそろそろ行くね!監督業頑張って!」って応援したらおう!って返されるしその後に続いて今日は河川敷で練習しようと思ってるから良かったら見に来いよ!って付け足される。これ円堂は楓花がサッカー部入ってないって知ってるのと昔からサッカーするのも好きだけど観るのも好きって知ってるから好意で言ってるんだけど楓花的にはちょっと迷っちゃう。でも最終的に守お兄ちゃんと天馬と信介を見てみたいって方が勝っちゃったからバイトもないしな…って感じで「分かったー!」って返事してそのまま教室に戻る。その日一日は円堂に会えたからいつもよりニコニコしてる楓花。でも神童が珍しく欠席した事もあって、やっぱり昨日の試合を引きずっちゃってるのかな…って感じちゃう。楓花も神童のことは責任感が強い人ってイメージを持ってるから、久遠が監督を辞任させられたことを自分がフィフスセクターの指示を無視してシュートを入れてしまったからだって考えて追い詰められているんじゃないかって心配になっちゃう。でもそんなこと聞けないし、神童と仲のいい霧野にも聞けない。だって自分はサッカーが好きでもサッカー部とは関係の無い部外者だから。そんなこと考えちゃう楓花だから友達に「今日はテンションの振り幅がすごく大きいね」って言われちゃう。本人無自覚。そして放課後。
やっと楽しみが来たぜ!って感じで足取りを軽くしながら河川敷に向かう楓花。それで邪魔にならないかつ目立つことの無い橋の上で手すりに腕をつきながら練習を見学する。練習と言ってもまさかの天馬と信介がいないこと状況にボイコットという言葉がよぎり幸先が不安になりつつも、楽しそうに円堂と練習している1年生2人に楓花も昔みたいに顔をほころばせながらその光景を観る。そんな楓花を神童と霧野は遠目から見つけた。元々2人は円堂の勝つための練習という言葉に引っかかりを覚えその光景を見に来たんだけど意外な人物が居ることに瞠目する霧野と思わず立ち止まる神童。「あれって今井だよな?」「あ、あぁ…」「なんであんなところに…」あいつサッカー好きだったか?と疑問を声に出す霧野に神童は何も返せない、というのも彼はあの時教室に入る前楓花と友達の話を聞いていたのだ。ドアに手を掛け開けようとした時確かに彼女は言った「私が好きなのは純粋なサッカーだからさ」神童にとっての楓花の印象というものは薄く、霧野とそこそこ仲の良いクラスメイト。ただそれだけだった。サッカー関連だって1年の時も含め彼女が練習を見に来たこともなければ、自分達がグラウンドでサッカーをしていても興味が無いのか目を向けること無く過ぎ去っていく。同じクラスになって幾日か経ったがサッカーの話をしている様子はない。だからこそその言葉が酷く心に刺さり、知ることとなった。今井楓花という人物はサッカーに興味がない訳ではなくあやつり人形のように決められたサッカーをする自分達と今のサッカー界に興味がないのだと。教室に入っていった時から神童はそう言い放っていた楓花に対して何も知らない奴が何を偉そうに…と少しの怒りが湧き、きっと周りと同じように今までサッカーに関心を持っていなかった癖にひけらかしているのだと勝手に想像していた。そう想像していたのだ。けれどまた足を進めて彼女に近づく度に心底楽しそうに天馬達の練習風景を見ているその表情にそんな陳腐な想像も一時の怒りも消えていくのだ。彼女は本当に心の底からサッカーが好きで楽しんでいる人だった。驚きにも取れる感情が渦巻く神童を差し置いて霧野は楓花に声をかける。「今井」「うっわ、びっくりした…。あれ、神童くんに霧野くんどうしてここに?」「それはこっちのセリフだろ...お前そんなサッカー好きだったか?」「好きだよ。観るのも、やるのも」それだけ言うと楓花は神童立ちに向けていた顔を河川敷の方へと戻す。突然声をかけられた時は酷く驚いたし、振り向けば霧野と私服の神童がいるものだから思わず「どうしてここに」なんて言ってしまった楓花。頭の中ではその続きとして「バックレしてこないのかと思ってた」と続くのだがそんな事を言えるはずもなければ言う気もサラサラない。それは人としてというのと、好きな人にそんなこと言えるわけがないと言う乙女心から。(神童くん私服だったな...別れ際目に焼き付けとこ)やっぱり私服かっこいいなー!なんて悶える自分もいるがそれよりも練習風景を見ていたいサッカー大好きな自分の方が優勢だったらしく今はとにかくこっち!とサッカーの方を優先させる。2人もそんな彼女を真似するようにして視線を円堂達の方へと向けた。「にしても意外だな、今井がサッカー好きだったなんて。な、神童」「そう、だな...」「あはは...だろうね、サッカー好きです!なんて言いふらしてなかったし......。そんな意外かな...?」「だって俺達の試合も練習も観に来てないだろ?」霧野の発言に神童はドキリとする。そりゃあそうだろう、だって彼女は俺達のサッカーには興味が無いのだから。すると楓花は曖昧な笑みを浮かべ「放課後は忙しい時が多いからね」と誤魔化しを含めた言葉を吐いた。一体その中の何パーセントが嘘なのだろうか、と思案する神童と実際本当のことでもあるから嘘でもない嘘を着く楓花。そしてそのままぽつぽつと会話を続けていたが、それもいつしか止まる。(あ...)天馬がミスしたボールが転がっていきそれはいつの間にか来ていた剣城の足元で止まる、何を話しているかなんて橋の上からでは聞こえないがそれでも円堂の「サッカーやろうぜ」という言葉だけは耳に入った。けれど剣城はその言葉に対して頷くことは無い。そしていつから気付いていたのだろうか、円堂は神童と霧野以外にもこの練習を影から覗いていた他の部員たちも呼び寄せる。南沢は見当たらないものの、何処か罰が悪そうに出てくる部員達。「霧野くん達は行かないの?」河川敷を指さすが2人は何処か気まずそうな表情を浮かべると「いや、」と歯切れの悪い言葉を紡ぐ。(そりゃそうだ)神童に関しては前の練習試合でのこともあって精神的にも追い詰められていたって言うのに、すぐに気持ちを切り替えて練習に参加しようなんて図太い考えは持てないだろう。霧野だって少なからず似たような思いを持っているはずだ。そこまで気づきながらも楓花は何も知らないふりをして笑う。「2人とも制服と私服だから無理か」汚れちゃうもんね。なんて的外れな事を言う。それに対して2人は便乗するかのように「そうだな」と苦く笑うのだ。
一方河川敷では、みんなのキック力が見たいとシュートを課した円堂が撃ち込んだ部員一人一人を褒めていく。(良いなー、私もシュート打ち込んで守お兄ちゃんに褒められたい)あの時の円堂の言葉に甘えて、向こうの休みに合うように近々誘ってみようかな...。1人気楽な考えを浮かべていると、円堂がまたしても剣城に「サッカーやろうぜ!」と声を掛けた。再び掛けられたその言葉に怒りの形相を浮かべる剣城は、意外にもシュート練に加わる事に応じる。円堂はそれが剣城のモチベーションに繋がる事を知ってか知らずか、ゴールの前から動かない。あたかも、自分に向ってシュートして来いと言わんばかりだった。その様子に円堂と、彼を良く知る楓花以外の面々は緊張しながらその成行きを見守る。円堂のその行為が剣城の気に障ったのか彼は練習だと言うのにデスソードを繰り出すとそれを円堂の顔面めがけて放ったのだ。しかし円堂は首を少し動かしただけでそのシュートをかわし、ボールは最初から決められた軌道の様にゴールに吸い込まれた。そして何事も無かったかのようにそのシュートを褒めあげる円堂。そんな彼を見て(シュート止めるかと思ったんだけどな...)と言う考えが過ぎるが直ぐにそれでは円堂がやろうとする練習の意味が消え失せるのかと納得する。(うん、うん、)久しぶりに誰かがサッカーを練習する姿を見て、昔のように心から楽しめたその満足感に楓花は手すりにも垂れていた体を起こして足の間に置いていたスクールバッグを肩にかけた。「よし、じゃあ私は帰るね」「もう帰るのか?」「うん。色々と満足したし...それにもう向こうの練習も終わりみたいだからね」指さす方へと2人が目を向ければ確かに円堂が今日の練習を終わらせたらしく各自がそれぞれ別の行動をしているのが見える。「それじゃ、また学校で」「あぁ」「また、な...今井」神童に苗字を呼ばれた事にひゅっと喉がなる。...がそれを悟られないようにするため楓花は隠すように片手を2人に振ると、そのまま振り向くことなく2人の視界から消えるようにして角を曲がる。好きな人に名前呼ばれた!!!!もはや苗字だけれどそれでも片思いを続けた中で初めて呼ばれたそれに胸が高鳴る。(落ち着けー落ち着けー...)誰の視界にも入ってないことを良い事に立ち止まって深呼吸を1つ。さっきまでのシリアス感は何処へやら。サッカーが終わった途端に恋心が勝った彼女の脳内では祝福のラッパが鳴り響く。(私の事一応は認知してくれてたんだなぁ)霧野はともかく神童とは2年に上がっても特に接する機会もなかったため、苗字すら覚えられてなくても不思議では無かったのだがそれは杞憂で終わったらしい。楓花にとって今日という一日が色んな意味で良い日になったことに浮き足立ちそうになるのを抑えつつ軽い足取りで家へと帰った。
練習を見に行ったのは結局今のところあの1回だけだし、また学校で、と言って別れたあの二人となにか進展するものがあるかと聞かれればない。寧ろ噂程度ではあるものの神童がキャプテンをやめようとしてただの、ホーリーロードが始まるのだと聞いた程度で直接の会話はほぼ皆無。そんな楓花だから友達からは「ほんとに神童君のこと好きなの...?」と疑われる始末。いや、好きですよ。好きなんです本当に。でもサッカーが絡むと正直それはそれ、これはこれなんです。そんなことをいえばさすがに呆れられるのは目に見えているため「ほら、私ってシャイだから...」とつまらない冗談を言ってその場を凌ぐしかなかった。

間接的に友達をサッカーの沼に片足を押し込んでしまったらしいと楓花が気づいたのはメールでの文。(今年のホーリーロードも八百長
だらけなんだろうな...)当たり前のように見る気が起きる事もなく、何となく始めた勉強も手につかず、ついにはただベッドの上でゴロゴロと横になっていれば友達からメールが届いた。件名、ホーリーロード観たよ!「行動早くない...?」ちょっと前まで私が観るなら観るというスタンスだったのに一体どうしたというのか...届いた時間からホーリーロードの予選が終わった時刻で楓花は友達からというのもありそのメールを開いた。そこに書かれていたものは雷門中が勝ったとか、雷門イレブンの様子がおかしかったけれど新入部員2人と神童と三国が頑張っていたとか、大方そのような感想が多く楓花は全文を呼んでから引っかかるその内容に首かしげる。(もしかして...)携帯を握りしめたまま階段を駆け下りてリビングに入ると、その慌ただしさに母親である立香が驚きを浮かべる。「ど、どうしたの?そんなに慌てて」「...あのさ、今日のホーリーロード...雷門中の試合って録画してたりする...?」「...するよ。一緒に観る?」「うん...」中学に上がってからあまりサッカーの話題を出さなくなった娘が珍しくホーリーロードの事を口にした事に立香は感じるものがあった、けれどそれを深く聞くことはしない。きっと自分の中で折り合いをつけるのだろうと娘だからこそ理解した心中に、立香は小さく笑うとリビングのソファーに腰掛けると録画デッキのリモコンを手に取った。
(そんな感じで予選の試合を見てあの4人が円堂のいう勝利へのサッカーをやろうとする姿に願望ちゃんは驚きとか興奮とか何とかが溢れて願望ちゃん自身の考えもちょっと変わってくる。ってお話。だからこの後の万能坂中との試合も友達と話してる時に「私も行こうかな...」ってポツリと呟いた願望ちゃんの言葉に友達が即座に反応して「よしじゃあ行こう!」って引っ張られながら見に行って、剣城オウンゴールだの周りが気づいてないラフプレーだのにどきどきしたり、後半になってマネージャーの言葉に動かされたほとんどのチームメイトが天馬達と共に勝利を掴もうとしたりするのに思わず感動したりして、(守お兄ちゃんやっぱ凄いな)ってなるし(もしかしたら雷門がきっかけでサッカーがまた前みたいに戻ってくれるかも)って期待する願望ちゃん)

万能坂との試合が終わって普通に学校に来る霧野達だったけど楓花はあの試合でのラフプレーで霧野が足を怪我して退場した事を知っていたから流石に気になっちゃう。(でもわざわざ自分から行くのも何か違う気がする...)2年連続で同じクラスとはいえそれだけで今まであまり話さなかったのに急に突撃していく遠慮のなさを持ち合わせていない楓花がもやもやとしたものを抱え廊下を歩く。前の時間は移動教室であったため、いつもの教室へと戻っていれば先程まで授業を担当していた教師に呼び止められた。その内容はなんという偶然かノートも持ち帰り忘れた霧野に返してやってくれというもので、これはチャンスと言わんばかりに楓花は笑顔で頷くと足早に霧野がもう戻っているであろう教室に向かった。扉を開ければ自分の席に座り次の授業の準備をしている霧野の姿が目に入る。その1つ前には神童も座っていて、彼は全く関係ないというのにちょっとした緊張に息を吐くと楓花は霧野に近づいて声をかけた。「霧野くん」「ん?どうした」「これ向こうの教室に忘れてったでしょ」腕に抱えた自分の教科書達の上に置かれた緑のノートを差し出せば霧野は「あ!」と一声上げて自分の引き出しの中を確認するような仕草をしてから、恥ずかしそうに笑い受けとった。「悪い、ありがとうな」「気にしないで。あとさ...足、大丈夫?」「え...あぁ、大丈夫だ。完璧に治るまで試合には出られないが」足をプラプラとさせて笑う霧野に心に溜まっていた靄が消える。良かった良かった。最後の方の言葉に対しては良かったなんて言えないけれど、それでも彼の感じからして足の怪我はそこまで酷いものでは無いのだろう。「なら良かった」自分が感じた安心を伝えればまた霧野は笑う。「万能坂との試合観たんだな」「うん、友達とね。向こうのチーム、ラフプレーが多かったけど酷い怪我じゃなくて安心したよ」「気づいたのか!?」「え...うん。だって結構あからさまじゃなかった?」「いや、むしろ手が込んでたぞ」なあ神童?そう尋ねる霧野の言葉に(神童...神童!?)と驚き背中を向けていた彼の方を振り向けば少し驚きを隠せないように肯定する神童が居て楓花は想定外の出来事に良い意味でも悪い意味でも心臓が鳴り出す。(いつから...一体いつから聞いてたの!?)最初っからです。前を向いていたからと言って話が聞こえないわけでもなく本を読みながら楓花と霧野の話が入ってきていた神童、さらに途中でサッカーの話に切り替わるものだから思わず聞き耳を立てていたし最終的には体ごと後ろを向いていた。「俺の知り合いも試合見に来てくれてたけど、気づいてる素振りは全くなかったな...」「だよな」「あー......多分だけど...私小さい時から誰かがサッカーしてる姿を観るのが好きだったから、そのお陰で目が肥えて分かったのかも」「あぁ、なるほど」「そういえばサッカーが好きって言ってたもんな」「うん」その誰かというのは十中八九2人が所属するサッカー部監督の円堂守が中心となっているのは秘密にしておき、謎の緊張感(主に神童)に倒れそうになりつつも答えれば2人は納得したらしい。ふと楓花が時計を見ればもう予鈴がなりそうな時間で、区切りも良いためチャイムを理由にこの話に幕を閉じる。「そろそろ予鈴なるから席戻るね」「あぁ。ノートありがとな」「気にしないで。あ、あと次の試合も頑張ってね。応援してる」本心でもある言葉をポロリと最後に零して楓花は2人がいる席から少し離れた場所にある自分の席へと向かった。あぁまさか彼が話に入ってくるだなんてなぁ...緊張した。「今井って思ってたよりもサッカーに詳しいんだな。俺1年の頃同じクラスだったけど全く気づかなかったよ」「だな...」それはそうだろう、とは言えずに神童は頬杖をついた霧野の言葉に同意しつつ楓花が自分の席へと向かうその背中を見続ける。そんな親友に霧野も同じようにして振り返り楓花の背中を目で追うが、特に変わったものはない。「どうかしたのか?」「いや、何でもない」タイミングよく鳴り響いたチャイムに便乗して神童は前を向く、彼の不可解な行動に霧野は少しの疑問を抱えていたがこれも運良くチャイムに消されていった。机に出しっぱなしにしていた読みかけの小説を机にしまい込んでから担当の教師が来るまでの間、先程までここにいた彼女の事を思い出す。先程の彼女の言葉に考えを巡らせた。前までは試合も練習も見に来ていなかった彼女が確かにあの時の自分達の試合を観に行ったと話し、更には最後に応援してるとまで言ったのだ。ただ単に心境の変化だろうか?いや、そんな簡単なことではない。もしかしたら...いや、でも...あぁ、けれど...脳内で回り出した疑問への答えに目が回りそうになっていた時、ふと彼女の言葉が響く「純粋なサッカー」神童は少し顔を動かして楓花を見る。隣に座る男子に困り顔で笑いながらシャーペンを貸している姿に1つ、出てきた答えがあった。(今井は俺達が管理されたサッカーをしていた事に気づいていたのか...?)万能坂との試合で向こうが行ったラフプレーを観客席からでも気づくくらい、サッカーと関わる環境が長かったのだと考えれば選手のぎこちなさと白熱することも無い試合を見れば一目瞭然だったのかもしれない。気づいていたことを前提にさらに言えば自分達がフィフスセクターの指示に反して優勝しようとしているのも、......。(あ...)ストンと落ちるなにかに神童は微かに口を開く。応援してると笑った楓花の表情は、あの日橋の上で天馬達が練習しているのを見ていた時のように心の底から溢れた感情を映したようなものと似ていた。もう一度楓花の方へ目を向けようとするものの、次はなぜだか少しの恥ずかしさが現れて上手く体が動かなくなる。どうしてなのか思案しようとするが、今度はタイミング悪く教師が来てしまったため神童の思考巡りはここで終わることとなった。

中学生は基本的にバイトは禁止ということになっているものの、それが身内、または知り合いの手伝いということなら話は変わってくるのではないかと楓花は思う。だってそれは仕事ではなく手伝いという意味に変わるからだ。何が言いたいかと言うと楓花は今中学2年生ではあるものの2つアルバイトという名の手伝いをしている。それはお小遣い稼ぎという名目も含まれているものの大凡の理由は母にあまり無理をさせたくない、大変な思いをさせたくないという親孝行にも似た気持ちからであった。その思いの丈を自分よりも人生を多く歩む彼等にこっそりと相談した結果、楓花には甘くなってしまう彼等が自ら金銭的問題とその他諸々は支援すると何人かは涙目になりながらも言ってくるような問題があったものの(申し訳なさ過ぎて丁重にお断りさせて頂いた)2つ手伝い先が決まった。1つは自ら社長を務めるヒロトの会社で簡単な書類まとめ、そしてもう一つが響の後釜として店主を務める飛鷹が経営する雷雷亭。(今回も良いお客さんが多くてよかった)今日のことを思い返しながら夕暮れに染った道を歩き、帰宅を促すチャイムが街全体に鳴り響くのを耳にすれば楓花の隣を家に帰ろうと走る子供が過ぎ去って行った。泥だらけになりながらも未だ疲れを見せずはしゃぐようにして家路につく子供に元気だなぁと思わず足を止めそうになるが、「楓花」そう自分を呼ぶ声に結局は止まってしまった。「えっ...あれ...有人お兄ちゃん...?」「あぁ。久しぶりだな」最後に直接会ったのは1年前くらいか。ゴーグルの代わりに掛けている色の着いたメガネを夕日の色と混色させながら鬼道は楓花の元へと近づく。そうだね、と返事したもののその声は戸惑いを隠せていなかった。1年前、そう一年前だ。楓花が中学に入学した前後に会ったのを最後に後はたまにの連絡だけ、それほどイタリアリーグにプロとして所属している鬼道は忙しい人だと認識している。だけれど彼はユニフォームやジャージではなくスーツを着こなして日本にいる楓花の前に立っていた。何故という疑問が分かりやすく顔に出ている楓花に彼女が幼い時のようすが重なって、鬼道は思わず笑いそうになりつつも今は帝国でサッカー部の監督をしているのだと説明する。「帝国...確か次郎お兄ちゃんも向こうにいたよね」「あぁ。今はコーチをしてもらっている」「なるほど...嬉しいだろうね、有人お兄ちゃんが来てくれて」「そうだと俺も嬉しいが」「絶対そうだよ。多分近いうちに私にメールで教えてくれそう「鬼道が帰ってきたんだ!」って」「...その感じだと、 佐久間からよくメールが届くみたいだな」「ペンギンとか面白いもの見つけた時とかにね」最後に届いたのは2週間ほど前。切り株の年輪がペンギンに見えると言う写真付きのメールが届き、確認すれば確かに歪んではいるものの見えなくもない模様に小さな感動を感じた。そんなメールが届くのだと鬼道に話せば苦笑を浮かべる。昔は佐久間から楓花に積極的に接してこなかったというのにいつの間にやら。鬼道の予想を超えるほど仲が良くなっている2人に微笑ましさを感じる、だが同時に思うことが1つ。楓花は自分達に関わりが深いからこそフィフスセクターのことを知っているはずだし、当然帝国がフィフスセクターに忠実な学校だと言うのも分かっているはずだ。けれど母校だとしても鬼道や佐久間がフィフスセクターの傘下に入ってしまったような状況だと言うのに楓花の表情も声に乗る感情も驚きや侮蔑のようなものは混じっていない。昔から自分を慕ってくれていた彼女を裏切る様な言葉にある程度の覚悟というものが鬼道にはあったのだが、そんなものをなかったことにするように楓花は世間話をするような感覚で鬼道と話す。「意外だな」「何が?」「今の管理されたサッカーが嫌いなお前が、俺が帝国に戻った事に対して特に驚かない事に...だ」「あ、...ぁー......」今まで浮かべていた笑顔が崩れ、最終的には冷や汗のようなものを浮かべる楓花に鬼道は眉を顰めた。鬼道達の前ではいつもより子供っぽい、年相応な性格へと変わる今の楓花に図星をつかれた事を隠せるほどの余裕はなく視線は右往左往していく。「楓花」名前を呼べば忙しない視線はまた鬼道の方を向くと、絵に描いたようなぎこちない笑顔。そして仕方なさと誰かに向けての少しの呆れ、怒られるかもしれないと察する子供のようなひとつまみ程度の怯えを含んだ声で話す。その内容に鬼道はなんとも言えない...いや大部分は呆れなのだが、それを溜息とともに吐き出しながら片手で頭を抱える。「ご、ごめんね...?」自分も悪いような悪くないような疑問をつけながらも謝る楓花に「お前は悪くない」と答える。脳裏に浮かぶのはフィフスセクターに抗うために作られたレジスタンスに加入している昔の仲間たち、......昔よりも楓花に甘くなった大人達...。自分の事を棚に上げつつ鬼道は思う。あいつら、楓花の事を未だに幼子だと勘違いしているのでは...。困惑の感情が手にも出てきたのか両手の指を合わしたりクロスさせたりする彼女にもう一度悪くないと一言。飛鷹や作戦の中心人物である響が経営していた雷雷軒で話し合うのは構わない、けれど運悪く、タイミング悪く、その時楓花は普通に店員としてその場に居た。それがいけなかった。何か大事な事を聞いてしまった気がするとその場の誰よりも慌てたであろう楓花とは反対に、とうの本人達は「あ、楓花が居るのに話しちゃった...。まぁ大丈夫か」という楽観的な考え、基楓花に対する信頼と性格上口の硬さによる信用。あとは未だに幼子だと思ってる節のある油断。代表者として「ごめんね、鬼道くん」と今北海道にいるプリンスがさほど悪びれた様子もなく両手を合わせて謝る姿が浮かび上がった。あいつら...。「あ!で、でも、でもね...多分その話を聞かなくても私は有人お兄ちゃん達のこと信じてるから、どっちにしてもあんまり驚かなかったと思う...」「......そうか」「ほ、ほんと!本当だからね!」「あぁ。分かってる」本心で言った言葉に、間のあった返事をした鬼道が疑いをかけているのではないかと感じた楓花だったがそれは違っていたみたいだった。長い付き合いであるが故に嘘をつく時の仕草や癖を知っている。昔からこいつはこういう奴だったな...サッカーすら変わり果ててしまいそうな時代で何一つ変わることの無い彼女の心は酷く安心するものだ。ありがとう、その言葉と共に昔の癖のように2度3度楓花の頭を撫でた。先程まであげていた棚が落ちてくるのがわかる、やはり人のことは言えなかった。撫でていた手を離してそのまま腕に巻いていた時計を見れば円堂と会う約束をしている時間の十数分前。そろそろ行かなくてはならない。「声をかけて悪かったな、気をつけて帰るんだぞ」「うん。あ、まだ日本に居る予定なら会いに行ってもいい?イタリアのお話とか聞きたいな」「当分は滞在する予定だからな...別に構わないさ。その時までに話す内容は纏めておくようにする」「ほんと?じゃあ楽しみにしてるね!」当分滞在すると言った鬼道の言葉の裏にはまぁ色々とあったのだが楓花がそれに気づくことも無くそのままの意味で受け取ると、またヘラりと笑う。鬼道との距離を離すように少し歩くとくるりと回ってまた鬼道の方をむく。またねと腕を大きく振る楓花に鬼道も控えめに振り返すとそれに満足したように今度こそ背中を向けて足取り軽そうに歩きだす。こういう所はまだまだ子供だな、嬉しさが隠しきれていなかった彼女の背中が曲がり角で消えたのを確認すると楓花との会話で緩んでいた口元を引きしめなおし本来の目的を果たすため歩き出した。

それで当日、鬼道との約束とかも含めて帝国まで足を運んで試合観戦。前半は無完成だった必殺タクティクスに悪い意味でドキドキしたり、後半は剣城が加わった事によって完成した必殺タクティクスと一丸となった雷門イレブンに良い意味でドキドキした楓花。その後は特に何かある訳でもないし海王戦の時も観戦、雷門イレブンはハーフタイムに円堂の作戦なのか三国と天馬のポジションを交代。流石の楓花でもこの試合の行先が心配になったがそれは天馬が化身を出現させたことによって杞憂でおわり、試合も雷門イレブンで勝利。で、また時間が過ぎて鬼道が雷門の校庭にいるのを友達伝いに聞いてなんじゃそりゃってなる楓花。その日の夜に半分気の所為なんじゃないかって思いながら確認メールを送ればレジスタンスの作戦、意向で雷門イレブンのコーチになったという文章。ここでやっとあの時の鬼道の言葉の裏を知った。思わずマジかー...って言葉が漏れちゃったり。そして月山国光とのホーリーロードの試合。聖帝選挙に浮かび上がる響の顔にやっぱり響おじさんも絡んでたの本当だったんだ。って改めて感じる。「あれ、なんか新しい子増えてる」いつも信助がいたポジションに見知らぬ少年。でも楓花が座っている場所はフィールドから遠い場所のため詳しくは分からないまま試合が流れる。話には聞いていたけどフィールドにストームが出るとかえっっっぐ!とか敵に南沢さんいるじゃんとか、なんか雷門イレブンがちょっとギクシャクしてるなとか、思ったけどでもそれは後半に行く連れにまぁ慣れてきたり直ったりしたから心配も消えて勝ったことに喜ぶ。んでここはちょっと時間が歪むんだけど次の日学校の廊下であのサッカー部新入りの子を見かける。(...どっかで見たことがあるような?)その見た目にどこかで、と記憶の奥底にある何かに引っ掛かりを覚えながら向こうから歩いてくる狩屋を見る。その視線が刺さり気づいたのか狩屋の目が窓から楓花の元へと向いた。その瞬間「げ」「?」顔を盛大にゆがめ苦々しい表情を作るとまっすぐ前を向いていた体をすぐさま横に向かせ、直角を曲がるようにして階段の方へとかけて行った。なんだなんだ?自分が彼になにかしてしまったのかと同じように記憶を探るが出てくることはなく結局モヤモヤとしたものが消えないまま楓花はそのまま目的の教室に向かっていった。放課後、図書室に本を返しその流れで気になる本をペラペラとめくっていたのだが気づけば夕方。予定よりもずっと長く図書室にいた事に焦りを感じつつ、特にアルバイトもない日だったので本を戻しそのまま荷物を持って外へと出る。校門へと向かう途中ふと視線を旧サッカー部室に向ければその前に円堂と瞳子がなにか立ち話をしているのが目に入った。最近懐かしい人に会える頻度が高くなってきた気がする、思わず駆け寄ろうと足を動かすがだんだんと近づき分かりだした2人の様子にその足を止めて近くの木へと体を隠す。(これ盗み聞きじゃん...)悪い事だと知りつつも2人がなんの話しをしているのが気になる楓花は結局2人の話が終わるまで木を背もたれにしながら2人の話を影から聞いていた。その内容はやはり盗み聞きしてはいけなかったのではと改めて罪の意識に苛まれるようなもので今更の後悔に頭の中をぐるぐると回していれば声をかけられる。凛とした女性の声。驚きも含みつつパッと俯かせていた頭を上げれば隣に瞳子の姿。どうやら楓花が後悔に陥っている間に話は終わっていたようだ。「盗み聞きは感心しないわね」「うぅ......。ごめんなさい...」痛いところを突かれ何も言い返せずにジョボくれる楓花に瞳子は小さな笑いを出して別に気にしていないと許す。一応許された事に安心しつつ正門まで一緒に帰ろうと瞳子を誘い2人はゆっくりとまた歩き出した。他愛もない会話をぽつりぽつりと話しつつ楓花はふと気になる事を口にする「あ、ねぇさっき二人で話してた狩屋くんって1年生で青髪の子?」「えぇそうよ。もしかして、もう会ったの?」「会ったって言うか見かけたって言うか...なんだけど」なんか嫌な顔されて避けられちゃった。なにかしちゃったのかな、とかどこかで見た気がするんだけど、とか曖昧な感じで話す楓花に瞳子はその原因が誰で何なのか分かったらしく苦く笑う。「多分昔ヒロト達にでもマサキが写った写真を見せてもらったんじゃないかしら、無論マサキの方も同じように」「あーなるほど...それは、有り得る」「ヒロト達は貴女もマサキの事も同じ位可愛がっているから」可愛がられている自覚があるが故に楓花は否定出来ず笑って誤魔化す。写真、そう言われれば確かに前見せてもらった気が...これで大半の答えは埋めることが出来たが残り1つ、それが未だわからずに結局は頭を巡る「じゃあなんで私狩屋くんに思いっきり避けられたんだろう...」「私はあの子じゃないから確実には言えないけれど、...自分を知っている人に会うのが恥ずかしかったんじゃないかしら。特に貴女はヒロト達と仲がいいから」「思春期男子みたい」「一応貴女も含めて中学生は思春期に入ってる頃よ。貴女だって円堂くん達にいつもの調子で接されたら恥ずかしいでしょう?」「た、確かに...」一応鬼道達の計らいもあり公共の場では自分は苗字とさん付けをして、向こうも苗字で呼ぶという話にはなってはいるものの、いつかやらかしそうな人達がやらかすその場面が簡単に想像できてしまう。うん、確かに恥ずかしい。となればあの狩屋が行った行動はもしかしたら当たり前なのかもしれない。同じ人物を知り合いに持つと自分が知らない間に自分の話がその人に伝わっているなんてザラで、楓花もその情報の速さに驚きと羞恥を感じたことが多々ある。狩屋くんも大変だな〜と完全に他人事ではなくなった楓花はこっそりと同情。「マサキの性格上もしかしたら貴女にも少しきつく当たってしまうこともあるかもしれないけれど、仲良くしてあげて」「あ、それは全然。狩屋くんが良いなら遠慮なく接していきます」でもきっと当の本人は絶対嫌がるんだろうな…あの時の表情の歪みからして素直に仲良くなってくれないとだろう感じつつも瞳子の言葉に頷く。自分的には仲良くしたい、後は相手次第。でもサッカー部じゃないし多分話すこともないんだろうな…そう思いながら別の話を始める楓花だったがその機会がすぐそばまで来ていることを彼女は知らない。ついでに自分の思春期を刺激してくる機会がメールとともにやって来るということも。

夜、風呂から出てきた楓花が髪を拭きながらベッドへと腰掛けると充電器を差し込んだスマホが光る。メールが届いたと知らせる通知をタップしてロックを解除すれば自動でメールフォルダーへと画面が移行した。1番上に載せられた名前は「吹雪士郎」。特に珍しくもない名前にまた風景の写真でも送られてきたのかと、今までに送られてきたのメールの中身からそう想像していたが下に小さく書かれた件名にその想像は掻き消えた「頼み事?」もしかしてサッカー関連かと慌てて中を覗いてみれば当たり。フィフスセクターから白恋中コーチを外されてしまったこと、明日雷門中に向かう事、唐突に色々と物事が決まったため少しの間家に止めて欲しいということ。内容は大まかにこんな感じだ。特に最後、そう最後、これが1番楓花を驚かせる事になる。(これってつまり明日からってことだよね...)なんでこんなに急なんだ!楓花は持っていたタオルを投げ出し代わりにスマホを握ると急いでリビングにいる母親の元へと向かった。
次の日、吹雪は楓花に送ったメールの通り雷門中にいた。自分や白恋中に起きたことを話し、1人を除いてフィフスセクターに思想的に取り込まれてしまった白恋中に勝つためにに彼らが誇る必殺タクティクス「絶対障壁」を打ち破る作戦を作り、その日は終わった。全員がユニフォームから制服へと着替え終わり円堂達に挨拶をすると自分も用があるからと言って加わった吹雪を含め部員たちは正門へと向かった。それぞれ挨拶をして解散、という流れを取ろうとする前にふと今まで頭になかったサッカー以外の疑問を神童は口に出す。「吹雪さん、今までの経緯を聞く限り急遽ここへ来たみたいですけど...身を置く場所は確保してあるんですか?」神童の言葉に周りはそういえばとそれぞれ心や口に出す。それを代表するかのように天馬が大袈裟なほど慌て「決まってないなら家に来ますか!?」と善意で言うが吹雪はふふっと穏やかに笑うとやんわりと断りを入れた。「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。一応昨日連絡を入れて了承は貰ったから」「連絡、ってことはお知り合いの方がこの街に住んでるんですか?」「知り合いよりはもう少し親しい仲かな?僕以外にも円堂くんと鬼道くん達とも仲がいい子」楽しそうに嬉しそうに話す吹雪。そしてそれを聞いた天馬は隣に居た信助ともしかして伝説の雷門イレブンの人かな?と話し、他のサッカー部員ももしかして...と予想し始める。このまま放って置けば永遠と期待値が高まってしまうな、と吹雪は気づく。それはさすがにあの子にもうしわけない。流石の吹雪もすぐさまそうではないと否定して何とか収めるものの結局はあの伝説の雷門イレブンと知り合いと言うだけでどんな人物なのかという話が盛り上がる。ごめんね楓花ちゃん、期待が納まった代わりに想像のハードルが高まっちゃった。話の種を乱雑にばら蒔いた張本人である吹雪は心の中でそう謝りつつ天馬たちとの会話の輪に入れられる。そうして話す事数分、そろそろ時間かと、顔を上げて辺りを見渡し「あ!」と言葉を漏らした。そして楓花ちゃんとゆるりゆるりとこれまた嬉しそうに手を振る吹雪につられてサッカー部も同じ方向を向いた。特に天馬達は誰が来るのかとキラキラした目で。少し遠いところにいた彼女はこちらに近づいていた足を段々と遅くしていき、最終的に3、4メートル先で止まる。その表情は絶望と困惑と焦りとエトセトラがごちゃごちゃになっていた。天馬を含めた大半のメンバーは誰だろう?と期待よりも疑問が増え始め、神童と霧野、そして2年生数人は1度家に帰りまたここまで来たのか私服姿の彼女に驚く。見慣れた制服姿では無いもののその顔は自分たちの良く知るクラスメイトの1人であったからだった。(なんで、こんなに、注目されてるの……ていうかなんで、サッカー部全員集合なの……)楓花は久しぶりにイナズマ町に来た吹雪が雷門中の道は覚えているけれど楓花の家の場所がわからないと言っていたため迎えに行く。というだけだった。けれど現実は何故か自分は注目の的、動物園のパンダ状態。素直に帰りたい。このまま体の向きを変えて帰ってしまおうかとさえ考えてしまったがそれは彼等に失礼だし、正直今の状態もなかなかに失礼。でも私はこれ以上近づき(巻き込まれ)たくない。楓花は1度自信を落ち着かせるために深呼吸するとその集団へぺこりと一礼。サッカー部ということは必然的に神童も居て(もっとまともな服を来てくればよかった)そんな後悔すらも生まれ始め、今楓花の感情は大渋滞であった。そんな感情を知ってか知らずか吹雪は天馬達から質問をぶつけられる前に輪から外れる「それじゃあ迎えが来たから僕は行くね。皆気をつけて帰るんだよ」「えっ!」「あ…はい」それぞれ驚きを隠せないまま中途半端な返事を返すと吹雪はタッタッタッとリズム良く楓花の方へと向かう。さぁ行こうかと言う吹雪に従うようにして楓花はもう一度サッカー部に軽く一礼すると体の向きを変えた「こうして実際に会うのは久しぶりだね」「う、うん…そうだね」という会話「急な事でごめんね」「別に良いよ。あ、でもこの後の買い物手伝ってね」「もしかして立香さんに頼まれたの?」「うん」「そっか。お母さんのお手伝いだなんて楓花ちゃんは偉いなぁ」「お願いだから人がいる所ではやめて!」という会話。うっすらと、所々聞こえたのはそんなようなもので去年同じクラスであった倉間が神童達に「あいつ今井だよな?」と聞き2人は頷く。サッカー好きは知っていたけれどこれは知らない。よしよしと小さい子にするように頭を撫でる吹雪に対して恥ずかしさからか若干頬を赤らめる楓花、あの二人はどんな関係なのか…神童の中に好奇心と探究心、疑問、謎、色んなものが出てくる。それと少しの……いや、これは、きっと気の所為。
って感じであの二人どんな関係!?とか楓花と関わりのない人達はあの人誰!?とかそういえば円堂監督達とも知り合いとか言ってなかったっけ!?とかになっていた謎がわんさか。とりあえずお前ら同じクラスらしいしちょっと聞いてこいよ。的なノリと自分たちも気になるならって理由で神童と霧野は明日楓花に聞いてみようってなる。あと楓花は楓花で(これは、明日なんかやばくなるんじゃ)って危惧してる。嫌な予感ほどよく当たる。

楓花の方はなんだかんだ久しぶりに吹雪に会えたことが嬉しくて学校に行くまでは立香と吹雪と楓花の3人で話に花咲かせるし、立香が抜けても「士郎お兄ちゃんの作るココアってなんでこんなに美味しいんだろ…」「楓花ちゃんへの愛情が入ってるからかな」「…嬉しいけどそういうのは彼女に言うんだよ」「今は独身だから良いの」とか「鬼道くんにね楓花ちゃんにレジスタンスをバラしちゃったことで怒られちゃった」「だろうね。有人お兄ちゃんちょっと怒ってたもん」「あの時やらかしちゃったの僕だけじゃないんだけどな…」「でも1番の戦犯は士郎お兄ちゃんだよ」「う…それは確かに、そうかも…」ってお話ししながらソファーに座ってココア飲んだりする。でもここで連絡が取れない内の1人である豪炎寺のことを聞いても誤魔化されちゃう「…まぁ、別にいいけどね。大変な事に巻き込まれてなきゃ…」「…………」「なんで黙るの!?」実際は巻き込まれるどころか中心にいるんだよな〜って思うけど言えない吹雪。さすがにこれは言えないよ。そして次の日。吹雪よりも先に登校するんだけど学校が近づくほどに(昨日の事皆忘れてくれないかな〜)ってちょっと胃がキリキリ。でも残念ながらそんな都合のいいことなんて起きるはずなくて神童達はバリバリ覚えてるし、その時円堂達に直接聞こうとしても鬼道は楓花のことを考えて答えそうになってる円堂の口を閉ざさせると「それは本人から聞いてくれ」って言われる。鬼道は多分1番楓花が周りの目とかが気になる年頃になってきてるって分かってる、妹想いの人。だから言葉の通りじゃあ本人に聞いてみようってなって教室に戻って、機会を伺う。特に神童の方はこうなる前から無意識に楓花を見る事が多かったんだけど今回は意識して観察。そうするとなんかいつも一緒にいる友達は当たり前としてクラスメイトの男子とも仲がいいし、二限が終わってからは数人で絵しりとりやって盛り上がってる「もう俺アイツの次やだー!画伯すぎて何描いてるかわかんねぇよー!」「失礼な!これは上手くかけたんだよ!?」「一応聞くけどなんだよそれ…」「猫!」「は?!」「猫って足6本も生えてたっけ…?」「いや、生えてねぇよ…バケモンだわ……」「じゃあ次真澄くん私と順番後退する?楓花ちゃんの次は安全だよ?」「そうする!期待してるからな今井!」「その期待に応えて次はUMA縛りで頑張る!」「まじのバケモン生み出そうとすんな!!」多分ほんとにチュパカブラとか描いちゃう。楓花がいる机の周りは(約1名だけ)ギャーギャー騒いで、皆で盛り上がってる。神童の机がある場所は前の方だから人と人の隙間から見える楓花の笑った顔が正面から見えて、心底楽しいんだなって分かるんだけどそれだけじゃなくてちょっとモヤってしちゃう。自分に対してはいつも少し困ったように眉を八の字にして笑うのに彼等にはそんな表情しないから(楓花がただ単に神童のことを意識しすぎた結果)少しだけズルいなって感じるけど直ぐに(何思ってるんだろう…)ってそれを無かったことにした神童。「今は無理そうだな」「…昼休みに引っ張ってみるか」いつも楓花と食べてる友達は今日部活で集まるから一緒に食べれない的な事を話してるのを耳にしてたから決行は昼休みにってことになる。そして昼休み。部室の方に走っていった友達に(今日はぼっち飯か〜)ってちょっと残念に思いたがらお弁当を机に置いた楓花の前に2つの影。しかも視界に入るもの的にどっちも男子。(ま、まさか……)嫌な予感がしつつ恐る恐る顔をあげれば顔面偏差値の高い神童と霧野で、嫌な予感はバッチリと当たってしまった。「ど、どうしたの?」「少し今井に聞きたいことがあるんだ」「聞きたいこと…」「あぁ」それでそのままここじゃアレだしって事で屋上に連行される。しかもその道中を天馬に見つかって「俺も楓花先輩に聞きたいことがあるので一緒に食べてもいいですか?」とまで言われちゃうし、なんなら剣城達も呼んできますね!って感じで最終的に屋上には1年生組全員と神童と霧野、そして縮こまる楓花。(1年生全員いるじゃん!)でも表情的に剣城と狩屋は無理やり引っ張られてきたって感じで片方は眉を寄せてるし片方はそもそもヒロト達関連も含めてめちゃくちゃ嫌そうな顔。「えっと…1年生の子達は一応初めましての部類に入るんだよね…。2年の今井楓花です。苗字でも名前でも呼びやすい方で呼んでね」「俺、松風天馬って言います!よろしくお願いします楓花先輩!」天満から始まって信介、葵、剣城、渋々狩屋、で最後輝って中稀なんだけど、輝の苗字が影山って言うの聞いて(ん?)って思考が止まる。影山?影山って言った?楓花の中の影山ってやっぱり元総帥の方出し、特になにかされた訳でもないけど円堂たちの反応とか特に鬼道とか佐久間辺りが結構口酸っぱくあいつは危ないって言うのをよく聞かされてたからあまりいい印象は持ってない。(いや、でも良く考えたら影山って他にもいるよな……いるのか……?)って思考ぐるぐる。目の前にいる輝と記憶の中のあの人は全然似てないし……っていうのも原因の一つ。「…………影山?」「う…はい、あの影山です。…多分先輩の想像している影山零士は僕の叔父なんです」「叔父…なるほど。ごめんね、聞き覚えのある苗字だったから思わず反応しちゃって…」「いえ!大丈夫です」「影山くんだとやっぱり向こうが過ぎるから輝くんって呼んでも良い?」「はい!」「あ!そしたら私も名前で呼んで欲しいです!」「僕も!」「じゃあ俺も!」人懐っこい笑顔を浮かべる1年組に分かったと頷く。残りふたりは特に反応もしなかったし片方はやっぱり嫌そうな顔をしているためそこは苗字で。それでそのままこの雰囲気で終わらないかなーって楓花は思うけどそうは問屋が卸しません。間を見て霧野が「そろそろ良いか?」って聞いてきちゃったからここからが本題。「それで、まぁ俺達が聞きたい事、分かるよな」「えっと…吹雪さん達との関係……?」「あぁ」「…それと今のサッカーに関して知ってることもだ」「えっ」神童の言葉に驚く楓花と周り。知ってることって事はつまりフィフスセクターとかの事で、なんで神童くん私がそれ知ってるって分かるの!?って動揺するんだけど隠し通そうって気は全くなかったから「うん…まぁ、そうだね。うん、この際全部話すよ」って腹括る。それでお昼食べながら円堂達とは昔からの知り合いで〜っていうのを話す、家が隣だったとか、円堂経由でサッカー部と知り合ったとか色々。それでそれを聞いた周りは驚いちゃう。「お前…すごい人達と知り合いだったんだな……」「今思うとそうだよね。昔はただのサッカーが上手いお兄ちゃん達だったから」「豪華なお兄さん達だな…」「全くその通りで……」今じゃあ伝説とまで言われている人達を兄と慕っていた事自分でもびっくり。それ関連で天馬とか葵とか信介とか輝とかが中心に「じゃあプロリーグの風丸一郎太とも知り合いなんですか!?」「うん」「ご、豪炎寺さんとも」「一応」「不動さんとか」「そうそう」って感じ。豪炎寺の名前が出た時は流石の剣城でも反応したし狩屋もこの人の人脈どうなってんだよって驚き通り越してドン引き。それでその質問が一通り終わったあとに「あとは私が知ってる事だよね」ってこれはちょっと大切な話だから箸をお弁当箱に置く。「…正直に話すと、身内にサッカー関連の人がいたせいで多分神童達と同じくらいの情報を私は知ってると思う。」「……」「フィフスセクターの事も、管理されたサッカーの事も、皆が革命を起こそうとしてることも、最初剣城くんがフィフスセクターの刺客として送り込まれてたことも、後は……」そこまで言って楓花は一応と辺りを見回して人がいないのを確認すると少し困ったように笑って小声で続けた。「レジスタンスの事とか」「それ、全部じゃないですか!」「おい想像していた以上の話がバンバン出てきてるんだが……」「…なぁ今井、レジスタンスの話は誰から…」あれは極秘だと鬼道や久遠が話していた事を思い返しながら聞けば楓花はあの時の鬼道に話した時と同じように焦りと呆れを混ぜたような声で同じような説明をする。もちろんアルバイト等は隠して。「だから多分皆よりも前から知ってた…と思う」「吹雪さん……」「まぁ1番の戦犯が吹雪さんってだけで他の人たちもそれぞれやらかしてるから…」「それフォローになってませんよ」貰ったツッコミに苦笑い。そうだよな、そうなよなー……私もそう思った、「でもさぁ、そこまで知ってたんだったら自分で動こうとか思わなかったんすか?ここまで言っといてサッカー部に入部すらしてないし」「おい狩屋」「それが上手くいかないものなんですよ。同じ知り合いを持つ狩屋くん」「んなっ!ついに言ったよこの人!」ちょっとトゲのある言い方をしてきた狩屋の言葉を受け止めつつ楓花はそういう言い方は良くないな…って気持ちで少しだけやり返す。それで狩屋の言葉に天馬もおずおずと口を開いた「でも俺も気になってました。楓花先輩はずっとサッカーと一緒だったと思うのになんでサッカー部に入部してないのかって」「うーん…それについて言うとちょっと嫌な気持ちにさせちゃうかもしれないけど大丈夫?」「あ、あぁ俺は別に」「だ、大丈夫です!」「…率直に言うと嫌いだったの。フィフスセクターも管理されたサッカーも管理が当たり前のように振る舞う選手も。だって観ていて楽しくないでしょ?最初から最後まで決まってるサッカーって。応援しようとする気も起きない。それに、たまには好きなように試合ができるって話ももちろん聞いてたけどそれは全体を通して4割、3割、下手したら2割以下、そんな当たりを目指して試合を応援しに行く博打なんてあまりしたくはなかったからね」「…アンタ思ったよりビシバシ言いますね」「だから最初に嫌な気持ちにさせちゃうって予防線を張ったんだよ」その予防線の効果は低くて、大丈夫といった神童たちの精神を着実に減らしていくし、巻き込まれる形で剣城の方にも飛んでくる。「…だから中学に入ってからは嫌いな物は自分から突っ込みに行かないっていう精神を突き通してたらサッカーからどんどん離れていって、最終的には趣味でサッカーをやって、観て、応援すればいいやって考えになっちゃったわけ」「…それは、今もそうなんですか?」「まさか!…上から目線になっちゃうけど、私は今の天馬くん達がする本気のサッカーは大好きだよ。なんだか円堂さん達のサッカーを思い出しちゃうもん」
ションモリとした天馬にそう話しつつ楓花は心の中で思っていた言葉を口に出す。「私も結局は今のサッカーから逃げてたのかもね…」

(ごめん力つきた……あとは会話の流れでちまちまと察して)
「あと……あぁそうだ、なんで動かなかったか……だよね。狩屋くんが言う事は正しいけどね、私じゃダメだったんだよ。」「何でですか?」「だって私がサッカー部に選手かマネージャーで入ったとして急に「フィフスセクターは悪」「管理されたサッカーなんて止めましょう」…なんて言っても誰も聞く耳は持たないし、下手したらなんだコイツって蔑まされちゃう。神童くん達だってきっと後者ではないにしろ前者にはなっちゃうだろうしね」「それは…」「あ!別に責めてるとかそんなんじゃないからね!そうなるのは自然のことだから!私だって2人の立場からそれ聞いたら前者になると思うし!」
「それにここまで来れたのって時期と周りの人が良かったのと天馬くんだったからって言うのもあると思うんだ」「俺、ですか?」「そうそう。天馬くんの純粋にサッカーをしたい、本当のサッカーを取り戻したいって言う想いに信介くん達が共鳴して、葵ちゃんみたいにその気持ちを応援してくれる人がいる。そしてその願いに力を貸してくれる円堂さん達……ってね」
「まぁ、あと、私も陰ながら応援してるし」
そう言って笑った楓花。神童はそんな楓花から視線を外して地面へと向けた。何もかもを知っていて気づいていて、自分の力ではどうしようもないと分かっていて無力だと感じていた。あの時の言葉はそれらから来るものだと改めて気付かされ、彼女は自分が思っていたよりも状況を理解していたのだ。そして、今のサッカーを嘆いていた。

「あ!俺、先輩に聞きたい事あったんです!いいですか!?」「もうここまで来たらなんでも答えるよ」「あの、楓花先輩ってサッカー上手なんですか?」「…そこはサッカーするんですか?じゃないんだね」「今井さん、話の節々でサッカーができる側の人間として話してましたよ」
「あの環境に身を置いてれば多分誰だってサッカーやると思うよ」
「さっきも言ったと思うけど、サッカーはするけどあくまで趣味の範囲だからね。本気で練習してる天馬くん達と比べたら足元にも及ばないよ」「でも俺、楓花さんと一緒にサッカーしてみたいです!」「僕も!僕も!」
「良いよ。時間が合ったらいつでも誘って。ただ、きっと弱すぎてびっくりしちゃうかもだけど」「やったー!ありがとうございます!」「あ、あの…その時は僕もいいですか?」「別に構わないよ。サッカーって人が多い方が楽しいでしょ?」「っはい!」
って感じで最後は結構楽しく会話して昼休み終わり。帰りの道中霧野が狩屋と話して1年生は1年生同士で話してる状況だから必然的に神童の隣を歩く感じになってドッキドキな楓花。諦めモードだとしてもやっぱり乙女ってとこは変わらない。でも神童が急に「ごめん」って呟くように謝るから乙女終了。突然どうしたのか聞けば楓花のことを誤解していたって言うのと、やっぱりあの時友人と話してた時に出た言葉を聞いていたって言うのと、勝手に知らないくせにっていらだちを覚えてたっていうのが聞けて楓花の心と顔は真っ青。急所攻撃。(やっぱり聞こえてた!!!)そりゃそうだそう思うよな!「神童くんが謝ることないって!って言うかそれ普通は私の方だよ…!当事者じゃないのに偉そうなこと言っちゃったし」「でも今井は知っていただろ、俺達のことも、今のサッカーの事も。なのに勝手に決めつけて、みっともなく腹を立ててた。どうにかしようとも思ってなかったくせに」「…今は違うでしょ」「ぇ…」「過去の神童くんがそうだったとしても、今は違うはずだよ。雷門のキャプテンとして革命を起こして、サッカーを取り戻そうと頑張ってるでしょ。だから謝る必要はないし、むしろ今の神童くんにそう思わせちゃってる私が悪いの」ってちょっといい感じの事言うけど神童の性格とか楓花の性格とかで結局この後どっちもいやでも、いやでも、って感じになっちゃったから。「じゃあ謝罪は受け取ります!だから神童くんも私の謝罪を受け取ってください!それでおしまい!」ってちょっと強引な形で終わらせる。そうしないとエンドレスリレーになるし好きな人にそこまで言わせちゃうとか楓花の精神が死ぬ。で、神童も強引な言葉に思わず頷いちゃったから何も言えなくなる。でもその後楓花が「私は、今の神童くん達を応援してるから」って言ってくれた言葉とか気持ちとか真剣な目になんだか嬉しさが込み上げて最後は謝罪じゃなくて「ありがとう」って笑う。正面から見た楓花は心の中で無事死亡するし、神童は神童であまり感じたことの無い温かさとか気恥しさに内心首を傾げる。でも悪いものでは無いって言うのには気づく。それで最後は試合見に来てくださいね!って言ってくれる天馬に分かったって返事して1年組とはバイバイして、教室に戻って終わり。少しだけ二人の仲が縮まった感じ。

白恋中との試合も絶対障壁を破った雷門中の勝利で終わって良かった良かった〜ってほっとする楓花。吹雪ともまた遊びに来るね、とか今度は遊びに来てねとか和気あいあいとしながらお別れ。それから2日か3日か、たまたま日直だったがためにパシリとしてこき使われちゃって、クラス全員のノート集めに勤しむんだけど神童と霧野の所に行ったら何か2人とも悩んでるって言うか疲れてる顔してるから「ノート回収しに来たよ」って言って2人から貰った後に思わず「どうしたの?」って聞いちゃう。「…今井も知ってるかもしれないが円堂監督が退任したんだ」「え」「え」「…聞いて、なかったのか……?」「…うん」「てっきり今井はもう知っているものだと」「いや、今回が初耳…」これ楓花の耳に届く情報って円堂達から今のサッカーは危険なんだっていう心配から来る警告だったり、ただの口を滑らせた戦犯だったりのものだから今回の事はマジで知らない。確かに白恋中の試合の後から守お兄ちゃんを見てなかったけど……。って振り返るけど自分がサッカー部に入ってないこととか放課後すぐ帰っちゃうからとかそんな理由もあって余り気にしてなかった。(後で有人お兄ちゃんに聞こ…)って思いながらじゃあ代わりの監督は鬼道さん?って聞くとなんか二人の雰囲気が少しおかしくなる。もしかして原因は有人お兄ちゃんかとすぐに気づく楓花。実際神童たちの口から出た話が鬼道の指導の話で、ボールを触らない練習ばかりでしかもあまりにもハードワーク。その辛さに倒れた部員もいたが鬼道は気にすることも無くやり続けろと非情な指示を出すという。話を聞く限りの鬼監督っぷりに(そういえばあの人帝国の元監督だし、元キャプテンなんだよな)って結構初めの方のピリついた鬼道を思い出す。「今井的に俺達の話を聞いてどう思った?」「どうって?」「俺達よりも鬼道監督と長い付き合いなんだろ、その立場から見てあの人の考えみたいな…そういうの分からないか」「って言われてもな…鬼道さんって私の中で1、2を争うくらい分かりずらい人だし…」他の候補は豪炎寺とかだったりするけどそこは置いとく。幼少期から仲がいい楓花でもポーカーフェイス代表のような鬼道の考えなんて全てわかるようなことは無いし、さらにそこにサッカーとか鬼道の中に何か考えがあっての行動とかだとなお分かりづらい。「でも、これで選手達をダメにしてしまおうとか、負けさせてしまおうとか、そういう悪い考えは持ってないと思う。鬼道さんは特にそういうの嫌う人だし」「そう、か……」「じゃあ何であんな練習を…」「それは私も流石に分かんないかな…。あの人大事な事でも伝える必要がないって自分で判断すると何も口に出さないで、行動で示そうとする人だから。だから良く勘違いされやすいし……」身内贔屓的な感じで話しちゃうけどほんとに悪い人ではないって感じで伝える楓花。2人も話を聞いて理解する部分はあったけどやっぱりちょっと納得してない感じ。それでその後もちょっと話すんだけどパッと時計みたら予鈴がなる少し前でノートを持っていかなきゃ行けないことを思い出して慌てて会話を終わらせる「ごめんね力になれなくて」「いや、そんな事ないさ」「愚痴みたいになって悪かったな」「いやいや気にしないで。それじゃ」ノートを両手に抱えて職員室に向かうんだけどその道中でやっぱり鬼道のこととか神童達の事とかでこのまま行くと内部分裂するんじゃないかって考えがよぎっちゃう。でも無関係な自分がそこまで首を突っ込むのは間違ってるからモヤモヤ。とりあえず鬼道に円堂の事を聞かなきゃって、やっぱりなっちゃう
。それでその後神童達から鬼道の考えとかあの練習をしかけた意図とかを聞いてやっぱり選手を思っての事だったんだなって分かってほっとするし、昔からそういうところ変わってないなーなんて思いつつもにっこにこ「嬉しそうだな」って言われて、そりゃ嬉しいよって答えちゃう。お兄ちゃんっ子。
木戸川清修との試合は初っ端で(照美お兄ちゃん!?!?)って感じで向こうの監督が照美な事に驚くし、イタリアから帰ってきた錦が化身を発動した事にも驚くし、試合前半の途中ではちょっと目をフィールドから客席の入口に移したら見慣れた姿にも驚く。なんなら駆け寄る。「竜吾お兄ちゃん!?」「お、楓花か。久しぶりだな」ってそれで前半は染岡と一緒に観戦。そんな感じで驚きがありまくる木戸川清修の試合も雷門の勝利でおしまい。んで、次が映画の部分になるんだけど楓花はやっぱりサッカー部じゃないから最初は(2人とも同時に休むなんてどうしたんだろ)ぐらいだったのに2日、3日、って続いてさすがに不安。しかも顧問と監督の春奈と鬼道にメールをしても返事はないし、なんなら噂でサッカー部のほとんどが学校にいないって言うの聞いて正直生きた心地がしない。友達から「どんどん屍みたいになってきてるよ」って言われるくらい。でも一応はその後みんな無事に帰ってきてほっと胸を撫で下ろす。本当に良かった…。それで2人に数日ぶりだねって声をかけに行って「えっと、もしかしなくてもサッカー関係?」「まぁ…そう、だな」「…お疲れ様、っていえばいいのかな?なんにしても無事に帰ってきてくれて安心したよ」「大袈裟だな」「そんな事ないよ。こっちからしたら急に2人が数日休むんだもん」先生達も驚いてたよ。っていえば霧野が「あ」って言った後に頭抱えちゃう。「どうしたんだ霧野」「授業のこと忘れてた…」「あ…」数日だけと言っても進むものは進むので勉強できる方の2人でもちょっと辛い。そんな二人を見かねて「良かったら私のノート写す?」って聞けば特に霧野の方が「写す!」って答えるからノート渡したりここまでやったよって話したり。で、その後たまたま鬼道と会うことができたからこの数日どこ行ってたの?とか円堂の事とか聞くけど鬼道は楓花を巻き込みたくないからあまり教えなくない派の代表みたいな人だから何も答えてくれない。(私のこと巻き込みたくないんだな…)って楓花は昔からしっかり者だったが故に察しがいいから結局先に折れちゃって「まぁ有人お兄ちゃん達は無事だったし、守お兄ちゃんの事も危険な事に首を突っ込んでないんだったら別にいいけど」「……」「ねぇなんで顔をそらすの!?」実際円堂は敵の本拠地的な所にいるし、なんなら自分たちも拉致られて連れてかれたりしたけどやっぱり教えない。ここも折れるしかない楓花。多分風丸達も加わってるなんて言ったら驚きよりも心配が勝って「なんでそういう危ないことするの!?」ってめちゃくちゃ怒ると思う。実際向こうでそういう話をしてこれは内緒にしなきゃな……的な事を話した大人達。

幻影学園との試合も終了。多分試合と試合の途中のお話で楓花が帰ろうとしたら鬼道と春奈の隣に立向居がいて思わず声をかけちゃって、そこから4人でグラウンドで信介のゴールキーパーの練習を見たりすると思う。で、そんな事もありながら新雲学園戦。これは正直楓花にとっては発狂もの。前半押され気味だった雷門が後半では同点まで持って行って、最終的には剣城と天馬と神童の化身がひとつになって逆転したっていうのは良かったんだけど、後半の途中で太陽が出現させた化身のオーラに神童が吹き飛ばされて最後は試合に勝ってその安心感からか倒れてしまう。もうこの一連の流れを見てた楓花は倒れた神童の姿に顔面蒼白だし、無事なのかとか、今すぐ駆け寄りたいとか、そんな気持ちを全部抑えなきゃ行けない。どうか軽傷であって欲しいって祈りながら会場を立ち去って、学校に行くんだけどやっぱり神童の席には誰もいなくて、幼なじみの霧野も準決勝に勝ったって言うのに元気がない。それでやっぱりどうしても神童の事が気になって霧野に聞いちゃう。試合、見に行ったんだけど……みたいな。それで霧野は楓花が好奇心とかそんなんじゃなくてただ純粋に湧き出る心配から聞いてきてるって気づいたから神童の状態とか怪我とか完治するのは1ヶ月もかかるから決勝に出るのは難しい事とか説明するし、それを聞いて楓花は運命の理不尽さを恨むし、さらに気落ちしちゃう。「そっか…ごめんね、しんどいのはそっちなのに色々聞いちゃって……」「いや気にしないでくれ。心配して聞いてくれたんだろ、なら文句はないさ」それでその流れからサッカー部の話にもなるんだけど、やっぱりアクシデントによって抜けた神童の穴が大きくて練習をしても全員の元気はなく、まともにサッカーができない状態。ついには鬼道もその惨状をみてそんな腑抜けたサッカーで決勝を戦うのかと激しく叱咤する程で、楓花もその状態が簡単に想像できちゃうから鬼道の気持ちもわかるし、みんなの気持ちも分かって頑張れなんて言えない。で、その後2人でポツポツ話して最後はやっぱり神童の話に戻る。今井も神童の見舞いに行ったらどうだ?って。これ言った霧野的には楓花が心配でしょうがないって顔してるから優しさで言ってる感じ。でも楓花からしたら自分はサッカー部でもなければきっと神童からして友達とか親しい中でもないただのクラスメイトで、だから自分が行っても迷惑なんじゃないかって色々考えちゃう。でもそんな事言えるわけが無い。「いや、………うん、そうだね時間があったら行ってみる」「あぁ、そうしてやってくれ」神童も今井が話し相手なら嬉しいだろうし。なんてお世辞なのか冗談なのか本気なのか楓花には分からない言葉に曖昧な笑みだけを返して別れる。多分楓花はまじでお見舞いに行かない。神童と自分の色々な差とか恋の諦めとか考えるあまり遠慮の域を超えて卑屈みたいな感じの考えでこうなった感じ。
それでその日の帰り校内でばったり鬼道といつの間にか帰ってきた円堂と再会。楓花は突然の事に驚くのに向こう、って言うか円堂は何事も無かったように片手を上げて「よっ」って感じだからもう今までの感情も含めて溢れ出てきちゃって持ってたカバンで円堂の胴体辺りを叩いちゃう。中身も入ってるから痛がる円堂、まさかカバンで殴ると思ってなかったから唖然とする鬼道、「なんで何も言わないで消えんの!?」って怒る楓花。人がいないのが幸いで、もし居たらめちゃくちゃカオスだって思われる。「どうせ言えない事情とか何とかあったんだろうけどさ!」「そこは察するのか」「察するよ!状況が状況だし!でも連絡の1つくらいしてよ!」「いや、それは悪かった…」打たれたところを手で押えながら謝る円堂だけどそれで「はい、許します」なんてことにはならなくて、もう!もう!ってぷりぷりなんて可愛いものじゃない結構な怒り具合の楓花。まぁ楓花からしたら元々豪炎寺と虎丸が音信不通状態だったのにさらに円堂も同じようになったから怒るのも無理ない。そこは円堂も鬼道も楓花が2人の心配してるって言うの知ってるから申し訳なくて言い訳しないでちゃんと聞く。「次同じ事したら泣きながらある事無いこと夏美お姉ちゃんに話すから」「それはやめてくれ…」「ない事も話すのか」「うん、でっち上げで良くないこと話す。言っておくけど有人お兄ちゃんもだからね!春奈お姉ちゃんのとこ行くから」「…心に刻んでおく」まさかの飛び火と、本当にやりかねないという思いで気をつけようって思う鬼道さん。それで楓花も段々と怒りがしおしお小さくなって行って円堂の「心配かけてごめんな」って言葉に「無事だったから良いよ…」って答えるんだけどふと豪炎寺達のことも思い出してまた膨れてきちゃう。「もうこの際なんの音沙汰もない修也お兄ちゃんと虎丸お兄ちゃんの留守電に絶交だのなんだの言い残して連絡先もメールアドレスも全部迷惑フォルダに登録して消しちゃおうかな……」「楓花一旦落ち着け!な?」「それはやめろ。後々後悔するのはお前の方だぞ」一時の怒りに身を任せるのは得策じゃないし、実際数日後くらいに後悔し始める楓花の姿が目に浮かぶから慌てて止める鬼道と円堂。あと多分豪炎寺達も可愛がってた妹にそんなことされたらショックを受ける可能性もあって同情もひと握りくらい入ってるかもしれない。(実際普通にショック受ける)そんなゴタゴタがありつつも円堂達の慰めとか説得とか今度美味しいもの奢るとかそんな話でやっと落ち着く。

それで決勝当日。決勝だし私も生で観ようかな〜って自分の母親の言葉で、立香が運転する車で会場まで行くことになったんだけど大会の影響か、それともそれ以外か、想像以上に大通りが混んじゃっててなかなか前に行かない。もう試合は思いっきりはじまっちゃってるし、なんなら前半の半分切っちゃってる。「なんでこんな時に渋滞なの…」「この道が1番近道なんだけどこれじゃあ向こうに着く頃には後半も終わってるかもしれないなぁ」「え!」携帯ナビに書かれた到着予定時間は確かに試合終了時間前後でもう絶望的。車に搭載された小さな画面からサッカーの試合を見るんだけど最後の最後でこれはなぁってなっちゃう。でもだからといってこの渋滞がなるなる訳でもない。このまま2人で試合を見ながらノロノロ進んで、結局前半が終わっても進んだ距離なんてそんなになくて正直歩いた方がマシな感じ。「…ちょっと遠回りになるけど脇の道から向かってみる?」「その方が早く着くなら」「元の予定より着くのは遅くなるけど、この道よりは断然マシだと思うよ」「じゃあお願いします!」「はーい」って感じで大通りからそれて走行。立香が言った通り確かにスムーズでこれだったら後半の途中には間に合いそうだった。それでテレビ内では後半戦突入。でも突然司会者が慌てたように聖堂山中のチーム総入れ替えを発表、更には監督も聖帝イシドシュウジから千宮路に交代し、チーム名もドラゴンリンクへと変わる。これは楓花達も驚愕で「サッカーってこんな事できたっけ?」って聞く立香に「普通はこんなこと出来ないし、やらないよ」ってサッカーに詳しいからこそ普通はありえない行動に驚きが隠せない。しかも試合を見る限り全員が化身使い。楓花は神童の代わりにキャプテンを務めている天馬がこの状況を見て化身には化身をぶつけて相殺させる、という作戦を指示していたことに気づくが楓花にはそれが失策なり得るものだと分かってしまった。そのまま車は病院の前を通り始めて、楓花がその景色に怪我をして入院している神童を思い出して思わず試合から病院に目を向けるとちょうど門の辺りでその張本人でもある神童と彼を止めようとする看護師の冬花の姿が目に止まった「お、お母さんちょっと止まって!」「えっ、何?!急にどうしたの」わけも分からずに楓花の言う通り立香は車を止めて、楓花は立香に理由を話すことなく車の窓を開けると神童に声をかけた「神童くん!?」「今井、」冬花さんもなんでこんなところでって、特に神童は霧野から聞いた話じゃまだ絶対安静だったのになんで外にいるのかとかそんな疑問があって2人ともどうしたのかって感じで聞けば神童が天馬に伝えなきゃ行けないことがあるってことでまだ安静にしていなきゃ行けない体で会場に向かおうとしていることと、冬花がそんな神童を見つけて慌てて止めているということがそれぞれから聞ける。それで神童は楓花に説明したあとまた冬花に会場に行かせて欲しいって頼むんだけど、冬花はやっぱり渋い顔。看護師としては当然の反応。そんな神童の姿を見て楓花は居てもいられなくなって車から降りて2人の元に駆け寄る「冬花お姉ちゃん私からもお願い!」「今井…」「楓花ちゃんまで……、良い?神童くんは」「安静にしてなきゃいけないんでしょ、でも!今の神童くんに出来ることをさせてあげて欲しいの!神童くんの為にも、今サッカーを守るために戦ってる皆の為にも!だからお願い神童くんを行かせてあげて!」他人の前ではしないと決めてたお姉ちゃん呼びが出ちゃった事なんて今の楓花の頭には些細な事で、冬花を困らせてしまうのを知っている上でお願い!と頭を下げる。それを見て神童も松葉杖をつきながら出来る範囲で頭を下げてもう一度懇願して、そんな二人を見て数秒無言になった後冬花は1つ息を吐いてしょうがないわねって言って神童が外出する許可を出してくれる。ただし自分は仕事で付き添えられないから代わりに楓花がその役目を担って無事に神童をまた病院に連れて帰ってくる事って約束をつけて。「ありがとうございます!」「ありがとう冬花お姉ちゃん!」「楓花ちゃんを信じての事なんだから、ちゃんと約束は守るのよ?」「うん。大丈夫だよ、私お姉ちゃん達との約束は破った事ないから」実際昔っからマジで破った事がないしっかり者な楓花。それで冬花もそれを知ってるから「そうだったわね」って微笑みながら2人を見送る。それで冬花に背を向けて歩き出しながら「私の家の車で向かうんだけど平気?」「あぁ」って会話しながら松葉杖を着く神童に歩幅を合わせながら車に向かう。で、車のドア開けたら立香は遠目に何となく何してるのかとか想像がついてたからにこやかに神童を迎え入れる「楓花の母です。行きと帰りの間だけどよろしくね」「神童拓人です。突然すみません、こちらこそよろしくお願いします」「お母さんこのまま会場までお願い」「分かった」そんな感じで会場に向かって、その間は会話するって訳でもなくやっぱり試合を見る2人。それで試合の方はやっぱり楓花が危惧してた通り後半に連れて天馬が指示した作戦が失策だったのだと分かり始める。そしてついには化身を出す力すら無くなった信介に化身のシュートが止められる訳もなく点数は2対4に。この点差にさすがに不味いと感じ取りつつもやっと会場に到着。「私は車置いてから行くから2人とも先に行って。あと楓花は帰りは連絡よこしてね、車で迎えに行くから」「分かった、ありがとう!」「ありがとうございます!」「いいっていいって。ほら、早く行ってきなよ」会場の入口前で車を止めて2人を見送る立香。実は何となく楓花が神童に思いを寄せてるのに気づいてちょっとにこにこ。それで2人は会場内に入るんだけど、神童は選手としてじゃなくて観客として行くのは初めてだから楓花が神童より少し前を歩いて案内して遂に観客席に到着。階段を降りる神童の傍ではらはらしながら、もしもの時のために支える準備をしつつ最前列へ。そして「天馬!松風天馬!!」と自分のキャプテンとしての不甲斐なさからか自信をなくし俯く天馬に、叫び、声をかける神童を2歩3歩離れたところから見つめていた。神童の言葉に立ち直した天馬、それで少しの休憩を挟み試合が再開されるんだけど雷門イレブンの動きが良いものに変わっていて、全員が全員と協力してゴールを守り攻め入る。輝の必殺シュートで2体の化身を吹き飛ばし、失速したボールを剣が受け取ると天馬に合図をしてファイアトルネードDDを放ち一点を獲得。これには少し後ろで見ていた楓花も神童の隣まで駆け寄るし、なんで2人が修也お兄ちゃんしか使えなかった必殺技を…もしかしてって前から薄々感じ始めてた聖帝の違和感を確かめるために身を乗り出す。神童が楓花の行動を見て慌てて上着を掴んで「おい、そんなに身を乗り出したら落ちるぞ」って注意するんだけど楓花の意識はそれよりも遠目に見える男。寡黙を貫くその姿は自分が知っているものとは違うもののやはり豪炎寺修也で間違いは無かったし、なんなら隣に虎丸までいる。ファイアトルネードDDと聖帝、それらが示すことに楓花はやっと気づき乗り出していた身を引っこめると落ちないようにとしてくれた神童にごめん、とありがとうを伝えてまた試合を観戦。体力が底をついて倒れた浜野と速水の代わりに一乃と青野が参戦。天馬のパスが一乃に送られると敵陣ディフェンスの化身を倒すため合体技で応戦し、突破すると錦にパスをし、そして錦が必殺シュートのみで化身からゴールを奪い同点に。そしてその流れのまま天馬のラストパスを受けた剣城がデスドロップを打つと天馬がシュートチェインでマッハウィンドを繰り出しパワーを乗せ、化身を消し去ると共にゴールを決めた。逆転。タイミングよく笛がなり試合は逆転勝利を決めた雷門が優勝した。

雷門が優勝して、天馬は神童から授かったキャプテンマークを握りしめて涙を浮かべて雷門に入って、みんなとサッカーが出来て良かったと話す天馬。そんな天馬に感化されるように神童も静かに涙を流す。それが嬉し泣きだと知っているからこそ楓花は隣でその横顔を見ながら良かったねと小さく笑う、こっちまで泣きそうだった。で、表彰式、トロフィーを受け取った天馬は高らかにそれを上げ、神童を見る。ここにあなたをいるんですよとでも言うように。それに神童は笑顔で返した。その後天馬を胴上げしたりなんなりと盛り上がるんだけど聖帝選挙の結果が出るため整列。無論その結果はイシドシュウジを破ってレジスタンスの代表響がその座に着く。人の話伝いにまだまだ元気だと知っていたけど見るのは久しぶりな楓花。その就任演説を聞きながらふと視線をずらせばイシドシュウジ、基豪炎寺と虎丸のところに円堂がやって来て何かを話している。内容なんて何一つ分からないけれどそれでもお互いの顔に浮かぶのは笑顔で、ここでついに楓花のダムも決壊。(良かった...本当に良かった......)ぽろりぽろりと涙が流れる度に昔の記憶も溢れてきて、2人が楽しくサッカーをしている姿が一つ一つ過ぎる。小さな自分が見ていた大きな背中は今も変わらないままで、そんな姿に笑みを浮かべるのだった。そして今度は神童が涙を流す楓花の横顔を見る番で、ただ静かに涙を流すその表情は安堵と慈しみを混ぜたように穏やかだ。その表情に声をかけることも出来ずただ流れる涙が光にチラチラと反射して落ちていく様があまりにも儚いように思え無意識に目に焼きつけた。このまま、手を伸ばしてその流れるものを拭ってしまおうか...そんな考えすら過ぎる。そんな事知らない楓花は(やばい!神童くんがすぐ隣にいるのに泣いちゃった!)と自分のことはどうせ見ていないだろうけど、という考えがありつつももしものために慌てて袖で涙を拭う。見られてるけど。で、拭いきった後にぼぅっとしてる神童の方を振り返って「神童くんどうする?天馬くん達のところに顔出しにいく?」って聞くんだけど神童は声をかけられてハッとするとその問いに首を横にする。「あまり長居すると、帰りが遅いって看護師さんに怒られるからな」「た、たしかに...」「それに今井のお母さんも待たせる訳には行かないだろ」「それは大丈夫だと思うけど」でも神童からしたら載せてもらってる身だから迷惑はかけられない。だから2人はスピーチも終わったあとにまた階段を登って建物内に入って、楓花が「優勝おめでとう」って神童に伝えてから今日の試合の話とかしながら出口に向かう。「今井、今日はありがとうな」「車の事?良いって気にしないで」「それもだが、あの時一緒に頼んでくれただろ...頭まで下げて」「あれは私が勝手に2人の話に首を突っ込んじゃっただけだから」って感じのお話も交えつつなんだけどそんな時にふと神童が「冬花さんとも知り合いだったんだな」って言ってきゃう。「え?」って思わず聞き返したらあの時冬花お姉ちゃんって呼んでただろって言われるから今更の羞恥が襲ってくる。あの時そういえば言っちゃった!って。でも一応知り合いだってことはちゃんと話す。「ということは円堂監督達のこともそうやって呼んでるのか」「いや、...まぁ...えっと、...うん。......この事周りには秘密にしてね!?」「別に言うつもりはないが...でもどうして」「だって中学生にもなって、お世話になった人たちをそう呼んでるし」普通ならもう名前にさん付けか、今みたいに苗字にさん付けなんだけどやっぱり昔の癖とか言われてる本人達も特に気にしてない素振りだからっていうのに甘えまくった結果だから人にバレるとなんか恥ずかしい。でも神童はそんな楓花になんかいつもとは違う子供っぽさとかに気づいて「俺はそれでも良いと思うけどな」って笑顔を作ってフォローをいれる。それが本心から来るものだけど楓花はそれを受け取りつつもそれでもって思春期特有の恥ずかしさから秘密にしてねって約束させる。それでそんな話をしていた途中神童が通路側にいたって言うのと人の流れも多くなってきたって言うので人とぶつかっちゃうハプニングが起きちゃう。それは神童が楓花の方にバランスを崩したって言うのと楓花が慌てて神童受け止めたって言うので特に大事にはならないんだけど、楓花の心は大事。やばいいい匂いする、とか顔が近い、とか神童くんに触れちゃった、とか。恋してるから尚更やばい。でも神童が怪我人って言うのとか向こうはクラスメイトぐらいにしか思ってないからきっと意識もくそもないんだろうな、とか考えが高速でよぎってなんとか顔の熱は出さないですむし、心臓も落ち着きを戻す。「大丈夫神童くん?!どっか痛めたりとかしてない?!」「いや......」「...ほんとに平気?」「あ、あぁ。大丈夫だ、ほんとうに...あぁ...」言葉こそおかしいものの神童は自分を支えた楓花にありがとうも感謝を述べつつぎこちなく体制を整えた。狭しなく脈打つ心臓の音をこの会場の雑音が消し去ってくれた安堵とあの瞬間の気恥しさ。「また人とぶつかっちゃったら大変だし私と神童くんの場所交代しよっか」と言って今度は楓花が通路側に行き神童が壁際の方へと寄る。さっきまで前を向いて、なんなら楓花の方へたまに視線を移しながら話していたというのに今は顔を上げることができない。幸いと言っていいのかそんな神童に対して楓花は慣れない松葉杖で疲れたのかもしれないと、神童が時分を見ることは決してないと決めつけているからこそのその考えでその不自然さを突っ込むことも、神童のウェーブかかった髪からたまに見える耳の赤さに気づくこともなくお互い無言のまま外に出る。出口から少し横に寄ってから「お母さんに連絡してくるね」と神童に気遣って少し離れたところで立香と連絡を取り合う楓花の背中を神童は見続ける。今やっと落ち着きを取り戻し始めた心臓に手を当てるが、それでも感じる動きは通常よりも早い。なんで、どうして、あまり感じたことの無い感情に内心戸惑いを見せる神童であったが、その原因を思い浮かべようとすると何故か楓花の事が思い浮かぶ。サッカーの練習を見ていたあの顔が印象的で、それなのに自分には困ったように笑う時が多いのが少し嫌で、吹雪に頭を撫でられて嫌がる素振りをしつつ中睦まじげな姿に焦燥感にかられて、兄のように思っていると聞いた時はなぜだか酷く安堵して、静かに流れる涙を拭えればと言う思いに駆られて、2人並んで話す時に感じる居心地の良さがあって............。あの時触れたであろう箇所にまだ楓花の体温が残っている様な感じがしてたまらない。そうなるとまた心臓が脈打ち始める。早く鎮まってくれ、そんな思いで目を閉じようとした時「神童くん!」名前を呼ばれた。柔らかい陽だまりのような声。パッと顔をあげれば駆け足で神童の方へと向かってきて、人の邪魔にならないようにとその隣に移動する。もうすぐお母さん来るって。その言葉にそうか、と返す。手を伸ばせば届く距離だと考えてしまったのは気づいてしまったからなのかもしれない。もっと名前を呼んで欲しい、あの瞬間確かに思ったのだ。そして、出来れば天馬達のように下の名前で...とも。そんな願望は神童に自分が持っている感情がなんだったのか知らしめるのに十分だった。出口間近の時とは違い今度は神童から楓花に話の種を渡す、そこからまた続き始める会話をしながら生み出された幼い感情に名前をつけた。俺はどうやら恋をしてしまったらしい。

って感じで1期終わり。この後テレビ取材とか色々あると思うけどそこは関係ないしね。強いて言うならイシドシュウジとその側近から豪炎寺修也と宇都宮虎丸に戻った2人と対面した瞬間「なんで連絡の一つもよこさないの!!」って怒るし、なんなら円堂達から怒りに任せて2人のアドレス迷惑フォルダに突っ込もうとしてたぜ!的な話聞いてそれは不味いって感じで大人しく怒りを受け止めるし、次同じ事したらって円堂達に言った事と同じ事言うから今度からはちゃんと連絡しようって反省。時間が空いたら好きなもの奢るから許してくれ...。まぁ結局女の子は許しちゃうんだけどね。って感じ。
急いで書いて、しかも書きたいとこだけ詳しく色々やっちゃったからまともな文じゃない。正気でもない。とりあえず2期は三人称は色々省く時にだけやってあとは女の子の一人称でやってければいいな。いや、無理だったら急に三人称に変わると思うけど。2期最後にどうにか落とせる所まで落としたい。これ目標。