― この気持ちを嘘にしないで ―

4/1の帰り道

 学園近くの公園で花見をしようって集まった中には私の好きな煉獄くんも居た。
 
 三年になったらクラスが離れるかもしれないんだから頑張れなんて私の肩を叩く友達の画策により帰り道を煉獄くんと二人きりで歩く。
「今日は結構な頻度で騙されてしまったな」
「エイプリルフールだったしね。煉獄くん疑うことあまりしないから」
 どんな風に騙されたとか、今日の出来事とかを話をするけどどうにも話の内容が頭に入らない。友達の言葉に背中を後押しされた私が歩いていた足を止めると隣の煉獄くんの足も止まった。
「……煉獄くん」
「む? どうした?」
「私ね、煉獄くんが好きだよ」
 驚いた顔の煉獄くんは嬉しそうな顔をしたと思ったら直ぐに唇を引き結ぶ。
「それも四月一日の遊びか?」
「え? あ、エイプリルフールってこと?」
「違うのか?」
「こんな……、こんな大事なこと嘘でも言わない!」
 今日一日散々騙されたらしい煉獄くんはかなり疑心暗鬼になっているみたいだけど、勇気を出した言葉が嘘や冗談として流されそうになるなんて思ってなかった。
 こうやって二人で帰ることになっても煉獄くんは特に何かを言うわけでもなく、すんなり受け入れてくれたからもしかしたらなんて期待した自分が馬鹿みたい。
 煉獄くんを置いて歩き出す私の手を掴んだ彼は私が止まると慌てて直ぐに手を離す。
「待ってくれ! ナマエの気持ちを軽んじることを言ってすまない」
「もういいよ。帰る」
「よくない! 俺もナマエが好きだ」
「……え?」
「言ってくれてありがとう。驚いて予防線を張ってしまった」
「……エイプリルフール?」
「俺もこんな大事なことは嘘でも言わない!」
 なんとなく脈があるかもくらいにしか考えていなかったし、うやむやに終わると思っていたから予想外の言葉に立場が入れ替わってしまった。
「これからは友達ではなく恋人としてよろしく頼む」
「よ……よろしく、お願いします」
「うむ!」
 握手をしてきた煉獄くんの手は熱くて大きい。さっきは私の腕を掴んで直ぐ離したのに、今度は離れることなくそのまま歩き出す。
 引っ張られるように歩き出した私と煉獄くんは多分周りのどの桜よりも頬が染まっていたはず。

2023/04/02:初出