妄想、愉悦。


拾弐


  


 信長は、帰城早々に、蘭丸の肌を求めた。昼過ぎの頃、広大な安土城のとある広間で。勿論入浴もしていない。蘭丸は戸惑いつつも、嬉しさに信長に体を委ねる。

「夜叉丸は元気そうであったな」

 信長が蘭丸の開いた胸に顔をうずめながら言った。蘭丸はどきりとした。

「お蘭のお陰よ…」

「そんな…、蘭は何も…」

「献身的に尽くしてくれたと申しておったぞ」

 信長は蘭丸の胸板に舌を這わせ、小さい輪をつついた。むくむくと尖ってきた乳首を、口に含む。

「ん、ん…!」

「汝がなくては、何処にいてもつまらぬ…」

 きっと、この後他の誰かを抱くときも同じことを言うのだろう。蘭丸は、信長の口を塞ぐように顔を近付けて口付ける。舌を差し出すと、それを絡めとられて、更に押し込まれた。蘭丸は求めるように手を信長の背に回した。

「蘭は、欲張りなのです」

 長い口付けが終わると、蘭丸は自ら帯を解いて、はだけた胸をより開き、袴を下にずらした。下帯を取り、足袋だけ残して生まれたままの姿になる。小さな茎は僅かに反応していた。

「…どうしたのだ?」

 信長がいつもとは異なる蘭丸の態度に、訝しく思ったようだ。

「はしたないと、お思いですか?蘭は、信長様が思っている以上に…」

 蘭丸は自分の小さな唇を噛んだ。薄紅色が充血し、色濃くなる。

「信長様を欲しております…」

 信長は上座に座る。

「良い。では、どれだけ信長を欲しているか、見せてみろ」

「え…」

 信長は、小さな筒を取り出した。以前信長と繋がった時に使った潤滑油だった。

「お蘭、そのままで、信長を収められるか?」

 蘭丸は固唾を飲んで、筒を手に取り、開けた。とろりとした透明な粘液に指先を埋める。
 恥ずかしい。けれど、信長は見せろと言った。蘭丸は前屈みになり、足の間をくぐり抜け、蕾に指先をあてがう。

「そうではない。それでは見えぬ」

「こ、こうで、ございますか?」

 蘭丸は腰を高く上げ、信長に見えるように尻を向けたまま犬這いになる。

「良い、続けろ」

「はい…」

 蘭丸は指を静かに挿し込んだ。思いのほか堅く、侵入がままならない。

「その細指さえ呑み込まぬか」

 蘭丸は指を押し込んだ。入り口がどうにも狭い。そっと指を添え、もう一本入れようとしても、滑って上手くいかない。

「信長がしているようにやるのだ」

「……」

 蘭丸は指を止めてしまった。

「どうしたのだ?」

「……わ、分からないのです…。信長様がなさると、蘭は冷静になれずに、いつも受け取るばかりで…」

 信長は声を上げて笑った。蘭丸は羞恥に耐えられずに、指を抜いて脱いだ服を引き寄せ、身を隠した。

「出直して参ります!」

「その必要はない。来い」

「はい…」

 蘭丸は服を足元に置いて、信長の傍まで近付くと、信長は蘭丸の腕を引き寄せた。

「お召し物が、汚れてしまいます…」

 信長は蘭丸を自分の膝に座らせた。潤った入り口に、指を挿し込む。

「ひあ!」

「悪かったな。これも信長の役目と決めたこと…」

 ずるずるとゆっくり信長の指を呑み込んでゆく。内部が擦れて、蘭丸は背を逸らす。信長が抱き寄せて、自分の体に押し付けた。

「お蘭の体は誰にも触れさせぬ」

 信長は濡れた方の蘭丸の手首を掴んだ。

「お蘭自身も…だ」

「ん!」

 信長が指を奥まで突き、くるりとなぞった。ぞくぞくと快楽が波立ち、息が荒くなり始めた。

「信長様…」

 蘭丸は信長の背に手を回してしがみつく。信長は指をもう一本入れた。適度に解れた蘭丸の蕾は、信長の指を容易に受け入れた。

「の……」

 蘭丸は体を震わせた。自身の起立から零れた雫を、信長の腿に滴らせている。

「今日は、いつも以上に早いな」

 信長は蘭丸の体を膝から下ろし、下衣を脱いで、下帯姿になった。猛りが白い生地を押し上げている。蘭丸は目が離せなかった。
 早く欲しい。淫らな思惑を悟られたくなくて、蘭丸は俯いた。信長は蘭丸の顎を掴んで上を向かせた。

「叶えよう」

 しゅるりと、帯が解ける音。信長は蘭丸の顎を解放し、片足を上げて挿し込んだ。

「うあ!あっ…、ああ…!」

 一気に太い杭が根元まで打ち込まれた。

「の、信長様…!」

 蘭丸は思いがけずに放ってしまった。濃く、量もある。信長は蘭丸と繋がったまま、小さな体を抱え、跨ぐように座らせる。

「まだ信長は満ちておらぬ」

「信長様…、蘭は、何をすれば…」

 逞しい信長の体からずり落ちそうになる。蘭丸は、しがみついて腕や脚を信長に巻き付け、力強く密着する。その時、信長を収めた箇所が力強く締まる。激しい呼吸と共に、蕾も収縮を繰り返し、その刺激で中の信長を肥大させてゆく。

「お蘭は、信長から離れずにおれば良い」

 信長の額に玉の汗が浮き、健康的な肌色を滑って蘭丸の肩に流れ落ちた。蘭丸は、信長の首筋の汗を舌で掬い取った。

「お蘭、其処ではないであろう?」

「……え」

「口が寂しいなら、塞いでやる」

 しがみついた体制の為に、耳元に信長の唇があった。くすぐったさに名残惜しさを感じながら、蘭丸は密着させた胸や肩を剥がし、顔を近付ける。

「まだ、息が、上がってしまって…」

 はあ、と一呼吸してから、そっと唇を寄せる。

「ん!」

 信長は小さな唇を貪った。舌を挿し入れ、蘭丸の歯の隙間から押し込み、更に唾液を啜る。角度を変え、別の箇所を舌で撫でようとすると、がちがちと歯がぶつかった。

「ん…」

 蘭丸の後孔の収縮運動がより活発になる。信長は昂りを促すために、腰を真上に突き上げた。

「あ!」

 勢いに、蘭丸は唇を離してしまった。

「も、駄目…、信長様…!」

 蘭丸は余裕なく首を横に振った。髪から汗の粒がまき散らされる。

「ならぬ」

 信長は蘭丸の腰を掴んで、更に突き上げた。

「次は、共にだ…」

 信長はいつの間にか完起ちしていた蘭丸の根を掴む。先端からは先走りが漏れていた。

「あ、ああー!信長様、蘭の、蘭の中に…!」

 信長が蘭丸への締め付けを解放し、二人は同時に放った。しかし、二度目に蘭丸が吐き出した後も、尚も信長は蘭丸の中に注ぎ続けた。

「あ、あっ溢れて、いっぱいに…!」

 蘭丸は淫らに喘ぎ続けた。自分が放つよりも、信長の熱を受け取ることで、更に高揚した。

(…信長様…)

 蘭丸は薄目を開けて信長を見た。信長は眉間に深い皺を寄せ目を堅く閉じ、引き締まった口元を僅かに歪めていた。
 何度か繋がっても、この顔が見れなかった。初めて目にした蘭丸は嬉しくて泣きそうになる。
 夢のような長い時間をかけた放熱が終わる。蘭丸は信長の胸板に顔をこすりつけた。涙は見せたくない。たとえ、嬉し涙でも。信長は蘭丸の後頭部を撫で、髪の結わえを解く。ぱさりと髪が肩に落ちると、さらさらと撫でる。ずっとこのままでいたい。蘭丸はこの余韻が少しでも長引くように、信長の背に腕を回した。






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