「疲れた…………」
ふぅ、と息を吐く。
時計の短針は未だ4を指し示し、しっかりと就業時刻である事を表していた。
最近、身体が疲れやすい。20代後半に差し掛かり加齢で身体が悲鳴を上げているのだろうかと数年後が心配になる。
デスクに置きっぱなしの飴を舐めながら書類整理に追われていると、トイレに行っていたジョディが戻って来た。
「何だジョディ、顔色が悪いな」
「ああ、来ちゃったのよ。月の」
「なるほどな。薬は持っているか?なければやろう」
「助かるわ〜周期ずれちゃって薬は持ってなかったのよ!」
「それと鉄分や…根菜類、ヨーグルト、生姜やニンニクも摂取する事をお勧めする。生理痛が楽になるだろう。ああ、明日ハーブティを持って来よう。仕事しながら飲むといい」
「わかった。リリーのハーブティ、他の班の女性捜査官から人気なのよ!生理痛に効くし美味しいって、レシピを聞きたがってたわ」
「なら、簡単に作れるハーブティのレシピを作ってこよう」
飴をかみ砕きながらジョディに返事をすると、ジョディはそういえば、と切り出した。
薬を差し出す。ジョディがそれを受け取ったのを確認してPC画面に視線を戻す。
「リリーも生理痛きつい方じゃなかった?」
「あー…そうなんだが、実はここ数ヶ月生理が来て無いんだ。生理不順もここまで長引いた事が無いから正直困っている」
「今まで一度も来なかった月無かったんでしょ?」
「ああ。病院に行こうにも、行く暇が無くてな。来月にでも行こうと予約は入れたんだ」
予約を入れておかないと後回し後回しにしてしまうから。FBIの息がかかった病院だから信頼も出来る。
幾つか目の飴玉を口に放り込んだ。レモンの酸味が眠気を醒ましてくれる。
今まで大きな生理不順が来ていなかった分困惑もあるが、病院に行く事が出来れば安心だろう。
ここ数ヶ月は只管大きな案件が立て続けに舞い込んできて病院なんていく暇もなく、相棒である赤井は別案件で駆り出され数日顔を合わさない事はザラだった。
食事と睡眠をサボっていなければいいのだが、と飴を噛み砕きながら思う。
「…リリー、そんなに飴好きだった?」
「いや、禁煙用だ。あと最近甘いものが無性に食べたくなる時がある」
「ストレス〜?肌荒れるわよ〜」
「うーんその所為か…先週体重を測った時、体重が増えてた……」
「ええ?そんなに貴方最近モノ食べてる?」
心当たりがない。ストレスの所為だろうか。
仕事で缶詰状態になって長いし、ストレスで生理不順になるのもおかしくはない。それで甘いものが欲しくなるのも、体重が増えるのも仕方がないことかもしれない。
しかしこの仕事地獄もあと数日でおさらばだ。昨日も立てこもり事件の突入、制圧を行い今現在後処理に追われている。これが終われば缶詰も終わりだ。
すごく久しぶりにフライドチキンでも食べたい気分だ。…太るだろうか。
「まあ、この案件が片付けば私達も少しは楽になる。私の体調もすぐ戻るだろう」
「貴方が体調不良起こすと皆心配するのよね。早く元気になるのよ」
「ジョディ、母親みたいだな」
揶揄いながら、キーをタイプする。
最近やけに訪れる眠気を逃がすように音もなく欠伸を噛み殺し、書類作りに集中した。
あと2時間ほどしたらもう一度体重でも測りに行こう、少しは変動があるかもしれないと頭の隅に留めた。
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