《―――――、―――い、おい!夜鷹!しっかりしろ!!》
「Laughingpixy!」
声が近い、瞼の感覚を確認して開いた。
頭の中に響く声がはっきりする。草薙の声だった。横たわっている俺を見下ろすようにゴーストガールもいる。
「……、俺……」
《繋がった!突然お前と通信が途切れたから何だと思ったら、お前のアバターが消えて…!》
「貴方のアバター、修復されてる…」
ゴーストガールのいまいち状況が呑み込めていなさそうな声に、俺は起き上がってアバターを確認する。
損傷率0%と目視でも確認できるデータに、ちゃんとLulzSecは仕事をしたのだなと確信した。
俺自身である彼が一体どういう仕組みでアバターを修復したのかは与り知らない。彼は彼で、俺の中に独自の回路を持っているのだろうから。
指を握ったり開いたりして感覚も確認しつつ、リボルバーとPlaymakerのデュエルを直ぐに確認する。
「彼らのデュエルはどうなった?」
「え?ああ、Playmakerが召喚したファイアウォール・ドラゴンの効果で、リボルバーのフィールド魔法が破壊されたの。『天火の牢獄』って言っていたわね」
「『天火の牢獄』…」
檻が開く、とはそういう事だったのか。
見れば、俺がここに入って来た時に一瞬見えたリボルバーとPlaymakerを覆っていた光の檻が消えている。
あの檻が俺をここから消したのかもしれない。
そしてPlaymakerの傍にいる白いドラゴンに、漸くすべての事柄が繋がった気がした。
あの子が俺をずっと呼んでいたのだ。
「Playmakerの残りLPは600よ。いい状況とは言えないわ」
「…俺が禅問答紛いの事してる間に随分ボロボロになったなあ…でも、残りLP600もあるんなら、アイツはそれで逆転できる」
「……随分彼のこと信頼してるのね」
「そりゃあ、アイツのデュエルを一番長く傍で見て来たのは俺だから」
彼は何一つ諦めてはいない。
佇まいでわかる、構えでわかる。腰も退けていないし手札を持つ手はピンとして、背筋だって伸びている。
戦う意思を何一つとして失っていない。
ピンチには変わりないが、彼ならきっと何とか出来るはずだ。
《フィールド魔法『サイバネット・ユニバース』の効果により、自分フィールドのリンクモンスターの攻撃力は、300アップ!―――俺は『ファイアウォール・ドラゴン』で、『弾帯城壁龍』を攻撃!》
リボルバーの下に召喚されていた守備表示の『弾帯城壁龍』が破壊される。
そして『サイバネット・ユニバース』の効果で墓地の『エンコード・トーカー』はエクストラデッキに戻された。
Playmakerはそのままカードを二枚伏せてターンエンド。
《…私のターン、ドロー!》
《俺はこの瞬間、罠発動!『パラレルポート・アーマー』!『ファイアウォール・ドラゴン』は相手のカードの対象にならず、バトルで破壊されない!》
《だが私は手札から、魔法発動!『マーカーズ・チャージ』!このカードは、エクストラモンスターゾーンにリンクの数値が同じモンスターがいる時、デッキからカードを二枚ドローする!》
使い時の随分限られたカードをここぞという時に使ってくるな。
思わず見入ってしまいそうになるのを気をつけながら草薙へのデータ送信と解析を忘れない。
敵ながら魅せるデュエルをしてくれるものだ。
《私は『アネスヴァレット・ドラゴン』を通常召喚。そして手札から速攻魔法『スクイブ・ドロー』!自分フィールドのヴァレットモンスターを破壊し、デッキからカードを二枚ドロー!》
手札増強カードが強いな。これ以上リボルバーに手札を補充させるのは厳しい。
『ファイアウォール・ドラゴン』の防御は鉄壁だが、それを踏み越えてくるのがあの男だ。
《更に手札からフィールド魔法『リボルブート・セクター』を発動!手札からヴァレットモンスターを二体まで守備表示で特殊召喚する!私は『オートヴァレット・ドラゴン』と『アネスヴァレット・ドラゴン』を特殊召喚!『リボルブート・セクター』の効果により、フィールドのヴァレットモンスターの守備力は300アップ!―――『ヴァレルロード・ドラゴン』の効果!1ターンに一度、フィールドのモンスターの攻撃力と守備力を、500ダウンさせる!私は自分フィールドの『オートヴァレット・ドラゴン』にこの効果を使う!》
「何をする気なの?」
「分からない。何かをする気だろうが良い気配はしないね」
《この瞬間、『オートヴァレット・ドラゴン』の効果!このカードがリンクモンスターの対象になった時、自らを破壊し、フィールドの魔法・罠カード一枚を墓地に送る!私はお前の『パラレルポート・アーマー』を、墓地に送る!!》
「!!」
効果の対象になった瞬間発動する効果か。
発動条件の随分緩い効果だな。
『ファイアウォール・ドラゴン』の鉄壁が剥がされた。破壊が可能になってしまった。
(遊作…!)
《行くぞ!『ヴァレルロード・ドラゴン』で『ファイアウォール・ドラゴン』を攻撃!!『ヴァレルロード・ドラゴン』の効果!ストレンジ・トリガー!!》
ヴァレルロードの攻撃がファイアウォール・ドラゴンに当たった瞬間、ファイアウォール・ドラゴンが相手フィールドに出現した。
―――コントロールを得る効果か!インチキ効果もいい加減にしやがれ!
だがまだ伏せカードが残っていたはずだ。
《Playmakerにダイレクトアタック!!自らのサイバースで散れ、Playmaker!!》
《罠発動!『サイバネット・リフレッシュ』!サイバース族モンスターの攻撃宣言時、メインモンスターゾーンのモンスターを、全て破壊!》
《『ファイアウォール・ドラゴン』の攻撃を躱したか。私はカードを一枚伏せる。…だが私のフィールドの守りは鉄壁だ。アネスヴァレットは戦闘・効果で破壊され墓地に送られたターンの終わりに、自身以外のヴァレットモンスターをデッキから特殊召喚できる。更に、破壊されたオートヴァレットにも同じ効果が備わっている!》
リボルバーはアネスヴァレットとオートヴァレットの効果でフィールドにマグナヴァレットを召喚した。
フィールド魔法『リボルブート・セクター』の効果で攻守共に300アップ。
奴のフィールド上には瞬く間に二体もモンスターが復活し、鉄壁の守りを展開した。
再びヴァレルロードの弾丸になるモンスターが用意されてしまっては面倒だ。
《…俺は『サイバネット・リフレッシュ』の効果により、このカードの効果で破壊されたサイバース族リンクモンスターを墓地から特殊召喚する!甦れ、『ファイアウォール・ドラゴン』!甦った『ファイアウォール・ドラゴン』の攻撃力はフィールド魔法『サイバネット・ユニバース』の効果で300アップ!》
「よし、いいぞ!持ち直した!」
《更に俺は罠発動、『リコーデッド・アライブ』!墓地の『デコード・トーカー』を除外し、エクストラデッキからコード・トーカーと名の付くモンスター一体を特殊召喚する!来い、『エンコード・トーカー』!!》
エンコードの攻撃力もフィールド魔法『サイバネット・ユニバース』の効果で300アップだ。
こちらも攻撃の準備ができた。
良いぞ遊作、やっぱりお前はすごい。
「頑張れよ…!」
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