LINKVRAINSにログインする。
俺達の身体は空中に投げ出された。
「夜鷹」
「あいよ!」
遊作の促しに即座に反応し、彼の身体を抱えて羽根を広げ、緩やかに地面に着地した。
このLINKVRAINSでは、俺は自由に歩行できる。この身体はデータでLINKVRAINSにおけるアバターだ。故に障害は反映されない。
だからこそ俺はこのLINKVRAINSを気に入っていたのだが、気に入っていた町並みはドラゴンが暴れ回った所為か荒廃した荒れ地となっている。
その先にブルーエンジェルがうすら見えた。その上空にあのドラゴンがおり、大きく息を吸いこんで彼女にブレスを吐かんとしていた。
俺はすぐさま遊作と一緒に彼女とドラゴンの間に割り込むと、彼女を抱えてそのブレスの範囲外へと飛び退いた。
『あーあ、ほんとにもどっちゃった…』
「あ、あなたたちは?」
驚いた様子のブルーエンジェルの問いに遊作は答えなかった。
俺は彼女にウインクし、人差し指を自分の口に当ててシー、とジェスチャーする。
その最中土煙を巻き上げドラゴンが姿を現した。その頭上にハノイの騎士が立っている。
「誰だ、貴様らは!!」
「こちらはLaughingpixy」
「…俺の名はPlaymaker。お前達が探しているものは此処にある!」
遊作―――否、Playmakerはディスクを掲げる。
「LINKVRAINSの攻撃を止めろ。さもなくば、コイツを今ここで、消す!」
『!!?ちょっとちょっと!!『救世主』を人質にとんのか!?』
「このAIはデュエルプログラムに変換した。これを手に入れたいなら、俺にデュエルで勝つしかない」
(抜かりねえな遊作…)
ここはPlaymakerがデュエルをする所か。
俺はSOLテクノロジーとハノイの邪魔が入らぬよう回線をブロックしつつブルーエンジェルをログアウトさせることを頭に置く。
だがまたもやファイアウォールに亀裂が入るのを感じる。作業は進めるがこれは間に合わない。
「Laughingpixy、回線のブロックを頼む」
「既に始めてる。が、拙いぜPlaymaker。新手だ」
「!」
再び空に亀裂が入る。
空を砕くように壁を突き破って、新たなドラゴンに乗ったハノイの騎士が現れた。
態々俺の為に誂えるとは、ハノイの騎士はこのAIが喉から手が出るほど欲しているらしい。
「ハノイを敵に回すとどうなるか、とくと味わってもらおうか!」
「望むところだ」
『オイオイお二方、熱くなってる所悪いけどあのドラゴンたち強いよ?そっちのデッキも確認したけど、今のデッキじゃ勝てないと思うぞ〜』
AIの言葉は冷静だ。
確かにあのドラゴンの効果は不明だが、相当に強力なカードだろう。
ファイアウォールを突き破って見せる破壊力だ。元より甘く見ているつもりはない。
「言ってくれるな、俺達が負ければお前はハノイの手に渡る。精々俺達が勝つよう祈るんだな」
『AIは祈ったりしない。やるのは勝つための計算だけだ!』
「ヒュー、痺れるね」
『サイバー、データマテリアル解放!』
AIが高速演算を始める。
Playmakerのディスクがデータの光を放ち、LINKVRAINSの雲を突いた。
雲からデータの波導が広がり穴が開くと、その穴から大質量のデータの塊が津波のようにLINKVRAINSの地表を覆い尽くす。
その波に乗って4枚のボードが降りて来た。
『飛び乗れ、Playmaker!Laughingpixy!』
AIの言葉に従い、高く跳躍してボードの上に着地する。
ボードはデータの波に乗ってゆらゆらと揺れると、まるでサーフィンのような姿勢に落ち付いた。
(これが草薙さんが言っていた『データストーム』か?)
事前に話を聞いておいて正解だったな、と夕方の話を思いだす。
慣れない波に足が持っていかれそうになるのを堪えた。
『いくぞ!スピード・デュエル!!』
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