ぎし、ぎし、とベッドのスプリングがだだっ広い部屋に響く。
どれくらい時間が経っただろうか。時間の感覚が疾うになくなって、頭がずっと熱に浮かされている。
「っア!?」
「まだ余裕があるようだな」
後ろに収められた玩具で中を突かれ、喉の奥がひっくり返る。
仰け反った事で晒した白い喉笛を噛まれ、痛みが走ったその一瞬後に痺れに似た快感が足の指先まで広がった。
ぴんと立ったつま先が皺ひとつなかったシーツの海をひっかく。
最初痺れはあったものの抵抗らしきことはできた腕はヘッドボードに括りつけられ、完全にウイルスが広がって機能しなくなった今も腕を纏めて拘束されている。
「ぅ、あ…!くそ、っ、こんなっ変態みたいな真似…!」
「尻の穴に異物を入れられてこんなに興奮しているんだ、立派な変態だろう」
「ウイルスの、せいだ…!!」
ドラッグの所為で感覚異常を起こしているとはいえ、女とは違いそこは生殖器ではなく現実世界に於いての排泄器だ。
本来そこは快感を拾う場所ではない。
尻の中にある前立腺で尻でも快感を感じる事は出来るが、それでも快感を拾うより不快感を感じる者も多い。
この身体は幸か不幸か前者だったらしく、リボルバーが身体を愛撫する度身体が反応して後ろを締め付けてしまい、挿れられたバイブが振動しながら前立腺を掠め、腹の底を浮かされるような快感が走るのだ。
「ぅ、くそ、触るな…、…ぁ!」
「物欲しそうな顔をして、どの口が其れを?」
リボルバーは徹底して決定的な刺激を与えなかった。
全身に緩やかな快楽のみを与えられ、一度も触れられていない性器は反り立ちはしたなく先走りをだらだらと零している。
セックスなんて愚か自慰すらした事もないのに急に後ろを弄り回されて穏やかな快楽だけを与えられ、開放する当てもなくて、腹の底に熱だけが溜まっていく。
熱を吐き出す事も出来なくて、溜まった熱が全身を巡って頭を蕩けさせていく。
身体が馬鹿になったみたいだ、どうしていう事を聞かないんだ。
馬鹿になった身体を好き勝手弄んでいたリボルバーは、だらりと力を失った足を徐に持ち上げた。
「ン…、!?ぁ、なに、っ」
リボルバーは笑いながら見せつけるように足のつま先に唇を落とすと、指の間に熱く湿った舌を差し込んだ。
わざと水音を立てながら親指を浅くしゃぶり、時折歯を立てて緩く食む。
片足を持ち上げられて、バイブを挿れられているところもはしたなく勃ち上がった性器も丸見えで死にたくなる。
くそ、足に力が入ればその面を蹴飛ばしてやるのに、と今現在出来る限りの激情を以てリボルバーを睨みつけた。
熱く湿ってぬるついた感触と、舌のざらついた感触、吐息が皮膚の薄い所に触れたら堪らず、また腰が重たくなる。
「はぁ、やめろ…!歯を立てるな、…!」
「気持ちよくないか」
「いやだ、っ変になる…!きもちわるいから、やめろ…!」
「ほぉ…?…堅物だとは思っていたが、自慰の経験もないのか」
初体験のお前には酷だったな、と言いながらも彼は行為を止めない。
寧ろ先程よりも歯を立てる強さに強弱がついたり、舌を足の裏から膝の裏まで這わせたりして、足の愛撫を始めた。
皮膚の薄いところを舌が這うたび背筋がぞくぞくして、反応もしたくないのに勝手に腰が跳ねる。
気持ち悪い、なんだこれは。
「それは悦い、というんだ」
「、ふざけ、るな…」
「しかし本当に碌な経験もないのだな。道理であれだけ狼狽えたわけだ」
「っもうだまれ…、リボルバー…!」
尻に玩具を突っ込まれる際のLulzSecの反応は壮絶に尽きた。
排泄器に何をぶち込むつもりだのと、それはそれは暴れたものだ。その時に両腕をヘッドボードに括りつけられたのだ。
ドラッグでそれなりに準備は出来ていた様子だったが、そも男同士でのセックスは尻を使うのだという事すら知らなかった彼の後ろは相当きつく、バイブを挿入した時彼はその苦痛と不快感のあまりに絶叫した。
その時の名残で彼の真珠色の瞳は生理的な涙でぬらぬらと濡れ、目元は赤く腫れている。
彼はデュエルの時でさえ顔を見せる事はそうないが、大胆不敵で涼しげな表情が今や未知の快楽に歪んで蕩けているなんて、まるで積もったばかりの新雪を踏み荒らすかのような背徳感を覚えた。
リボルバーは足の愛撫を止めて、ぐっとLulzSecを覗き込むように顔を寄せる。
彼が足の間に身体を割り込ませているからか、身体を前倒しにすると体勢が少し変わるのかLulzSecは一瞬息を詰めた。
中のバイブが良い所にあたるのだろう、時折ぴくんと跳ねる白く薄い身体が妙にリボルバーの気を煽った。
「っく、るし…」
「これだけ暴かれていいようにされているというのに、お前は美しいな。「Laughingpixy」」
敢えてその名前で呼ぶリボルバーを訝し気に見遣る。
人格は違えど価値観や記憶、身体を全て共有している一心同体。そも元々はLaughingpixyから生まれたものであるため、元は一つだ。
見る角度を変える事で色を変える、そんな宝石があったなと思い出す。彼はまさにそれだった。
ぐ、と距離を詰めればバイブが奥に押し込まれて、LulzSecの身体がびくんと跳ねる。
「『LulzSec』は、普段のお前の最も気高くプライドの高い部分だ。…そんなお前が今、良いように弄ばれ手籠めにされているのを考えるとくるものがある」
女性的ではないが決して骨ばっている訳でもなく、バランスの取れたしなやかな身体は絶対的不可侵であったはずなのだ。
それが今こんなにも淫らに乱れている。貞淑な身体が暴かれている。
絶頂すら知らない身体が、まるで娼婦のように。その事実がリボルバーの肌を粟立てた。
リボルバーの掌がLulzSecの薄い腹をく、と押す。薄い筋肉の下の内臓がぴくぴくと震えて、その下に収められているバイブの震えがしっかりと伝わった。
「ぁ、!ん、おすな、やめ、…あ…ッ!」
「、は、随分と好さそうな顔をして。口よりずっと素直だな」
「やめろ、ぁっん、あ、へんだ、何かくる、……やぁ、っひ…、――――――ッ!」
「!」
その瞬間腹の底で溜まっていた何かがばちん、と弾けて、視界がちかちかと酩酊する。熱が全身を巡って何度も奥で弾けて、腰が跳ねるのが止まらなかった。
リボルバーの掌の下が大きく震えて、それと連動して一際大きく身体全体が跳ね、痙攣した。その衝撃で反り立ってガチガチの性器からぱた、と先走りが腹に零れた。
びく、びく、と何度か大きく震えた後に小さく反応を漏らす。
これは…
「……まさか、中でイったのか?」
「…、…ぁ、……なに、…イって……?」
LulzSecは全く状況が掴めていないようだが、リボルバーは予想もしていなかった出来事に口元が歪むのを止められないでいた。
彼の性器は硬く立ち上がったままで、未だ解放を求めてはしたなく先走りを溢れさせている。
それでもその身体はまるで絶頂を迎えたかのように弛緩して小さく痙攣している。…なんて淫らなのだろう。
蕩けた真珠色に喜悦を滲ませながら見つめ返してやる。
小さく震える両足を押し広げて、リボルバーは自らの腰をぐ、と押し付けた。「ぁ、!」と一瞬高く啼くのは最早愛嬌だろう。
「お前は今達したようだな」
「は…?……嘘だ、だって、……射精、して、な」
「ドライオルガズム、と言ってね。前立腺を刺激して快感を得ると、射精を伴わない絶頂をする事がある。……女のように」
「…、そんなはず、」
「その証拠にお前はまだ気持ちいいだろう?ドライオルガズムの絶頂の余韻は長い。そしてお前の性器はまだ欲を吐き出していない。一度も」
「ッん…!」
ドラッグで感覚異常が起こっているとはいえ、初めての絶頂がドライだとは。
張りつめて脈打っている性器は哀れなほどに熱を持っていて、リボルバーの腹にしっかりと熱が伝わってくる。
身動ぎする度奥にバイブが押し込まれて前も擦れるのか、少しでも快感を逃がそうとLulzSecが身を捩じらせる。
「ぅごくな、やめ、」
「私が動くと気持ちいいか?すっかり淫乱だな、まるで娼婦だ」
「ふざけるな、誰がっ…ぁん…!」
「っは、…悦いな」
リボルバーが腰を押し付けてくる。
その度にバイブが奥へと押し込まれて前立腺を圧迫し、リボルバーの腹と自らの腹に挟まれた性器が擦れて腰が震えてしまう。
リボルバーも自らのボディスーツの下の性器は既に熱を持って固く張りつめていて、腰を押し付けるたびにバイブの振動が響いて悦いらしい。
スーツ越しにでも伝わる熱がもどかしくて、ぞくぞくする。無意識のうちに決定的な快楽を求めて揺れる腰を細く女性的な指が薄ら撫でた。
「然う物欲しげな顔をするな」
「は…?、何が、」
「だが、私もそろそろ悦くしてもらおうか。折角のプログラムだからな」
そう言うなり、リボルバーは深々とLulzSecを貫いていたバイブを勢いよく引き抜いた。
突然の感覚に、信じたくもない喪失感を感じて勝手に腰が動いてしまう。
リボルバーはそれに嬉しそうに目を細めると、押し付けていた腰を一旦離してLulzSecの腰を持ち上げた。
「ぅ、あ!?っぃやだ、やめ…、!?」
あられもない体勢に、あまりの羞恥に顔を背ける。
その直後、後ろに突き立てられていたバイブの代わりに、火傷しそうなほどの熱が押し当てられた。
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