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暫くして皆と夕飯に呼ばれ、食べ終わった後も部屋の片づけがあった者達は部屋を片付けに行っていた。
女子たちは荷物が多いからか、殆ど部屋に戻っていき、もう既に片付けの住んでいるメンバーは共同スペースに集まってくつろいでいた。

「いやあ、経緯はアレだが…共同生活ってワクワクすんな!」
「疲れたー」
「共同生活…これも協調性や規律を育む為の訓練…!」
「キバるなあ委員長」

飯田は相変わらずだ。
そんなに難しい事考えなくてもいいのになあ、と思考で掠めながら、轟の隣に座って髪を弄っていた。

(部屋作りで思ったけど本当に髪の毛伸びたなあ…いっそバッサリ切るか?)

考える事がないので髪の毛を切るかどうかすらもちょっとぼんやりしている。要するに眠いのだ。
隣の轟も目が少ししょぼしょぼしているようだった。眠いんだな。
二人揃って欠伸をかましていると、奥から荷造りが終わったであろう女子勢が揃って共同スペースにやって来た。

「うお、栂野早いね!みんな部屋出来たー?」
「うん、今くつろぎ中」

上鳴がそう答えると、芦戸はにんまりと笑った。
嫌な予感がビンビンにする。
こういう時の勘は本当によく当たる。
これ早いうち帰った方がよくないか?そうだ、帰ろう。立ち上がろうとしたが時すでに遅し。

「あのね!今話しててね、提案なんだけど!――――お部屋疲労大会、しませんかーー!?」


地獄が今から生まれようとしていた。



***



「わぁああダメダメちょっと待ーーー!!!」

最初の犠牲者は緑谷だった。
緑谷の実に愛溢れるオールマイトだらけのオタク部屋が大公開である。
これは、これはキツイ。緑谷の部屋がではない。
自分の趣味を大衆に晒されるこの公開処刑っぷりがだ。

(貴方の事は忘れないわ緑谷くん…)


次は常闇である。
常闇の抵抗虚しく、常闇の暗くて怖いお部屋大公開である。
剣のキーホルダーとかなんだか色々と色んな何かがくすぐられるようなものがたくさんある。
男の子ってこういうのが好きなんだろうか。
後あの毛布、気持ちよさそう。こっそり触った。気持ちよかった。


青山ルームは即目を背けた。
理由?眩しいからだ。物理的にだよ。
ディスコか?と思わしきミラーボール、こんなの家にあったのか?と思う様な中世の騎士の甲冑。

「眩しい!!!!!」
「ノンノンまぶしいじゃなくて、『ま・ば・ゆ・い』!」
「思ってた通りだ」
「想定の範疇を出ない」

女子の採点はどこまでも厳しかった。
何と言う事でしょう。
この切り捨てっぷりに覚えがある。合宿の恋バナを思い出した。あの時も残酷なほどにバッサリと切り捨てていた。


峰田の部屋は諸事情により回避され、二階の男子部屋の公開が終わった後三階へ向かった。


三階、まずは尾白が犠牲に。
尾白の部屋はとても普通だった。おかしいものも珍しいものも何もない、大変スタンダード、部屋のパンフレットなどに出てきそうな模範的な部屋だ。

「ワァー普通だ!!」
「普通だァ!すごい!!」
「これが普通という事なんだね…!」
「いう事ないならいいんだよ…?」

尾白、泣くなよ。
自分は好きだぞ、こういうこざっぱりとした部屋。


次は飯田。
飯田は何というか、部屋まで飯田だった。語彙力の事は皆まで言うな。
小難しそうな本が本棚に留まる事なく、天井近くまで積まれている。床抜けないのかな?
そして何より、メガネ。メガネのスペアの数がすごい。最早メガネ屋かと見紛う数だ。
女子たちがいくつか拝借していた。あとでちゃんと返すんだぞ。


上鳴も部屋まで上鳴だった。
とてもチャラい。部屋までウェイついている。
だが、多趣味な感じがしてとても可愛い部屋だと思う。個人的に割と好きだ。


口田の部屋は。な、なんと。

「ウサギがいる!!!可愛い!!!」

動物がいた。
動物。ウサギ、ウサギがいる。

「…、…!!」
「栂野さんも触る?」
「さ、触ってもいいの…?」

口田に問えば、大丈夫との事。
ウサギに触れた。ふわふわ。ふわふわだ。前足をお腹に引っかけてくるので思わず抱き上げた。

「はぁああ………か、かわいい……」
「栂野がウサギにメロメロに!!」
「ペットはズリィよ口田あざといわあ」
「かわいぃい…かわいい……」
「ほんっとうにメロメロやな…栂野さん…目がハートに見える…」

可愛い。鼻がひくひくしている。
つぶらな目がうるっとこちらを見ている。見上げている。
なんて、なんて可愛いんだ。

「かわいい…ねえ、とってもかわいいわね…!」
「可愛いね…(栂野さんが…)」
「そうだな、かわいいな(お前が)」


ここまで緩み切った零仔の表情(SSレア)に皆の心がほっこりしたところで、男子達の目が据わり始めた。

「釈然としねえ」
「ああ…奇遇だね、俺もしないんだ釈然…」
「そうだな」
「僕も☆」

おっと。雲行きが、怪しく…?

「男子だけが言われっ放しってのは変だよなァ?「大会」だっつったよな?なら当然!女子の部屋も見て決めるべきじゃねえのか!?…誰がクラス一のインテリアセンスか、全員で決めるべきなんじゃねえのかあ!?」

峰田の発言に、男子達の心は一つになった。
いや、一部死ぬほどどうでもいいですと言った奴らもいるけど。
いや。待て。待て待て待て。


女子による容赦ない舌剣が男子の競争心に火をつけた。

第一回A組ベストセンス決定戦が、今!!始まる!!!
いいのか!?はたして…いいのか!!?



(良くねえ!!!!!!!!!!!!!!)



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