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「はぁあ〜〜〜疲れた………」
放課後。
個性を伸ばす訓練も兼ねた必殺技考案は大変ハードだ。
全身がクッタクタだ。
教室に戻ってくると、皆も疲労に身を任せて机に突っ伏していたり、お互い助言し合ったり成果を報告し合ったりしていた。
荷物を纏めるか、と引き出しに手を突っ込むと、カサリと薄っぺらい感触がして、朝の事をふと思い出した。
(そうだ。手紙)
すっかり忘れていたな、と手紙を取り出す。
もう一度確認をするがやはり差出人は不明。宛名だけが書いてある。
こんにゃろう、果たし状だったら無視るからな。
哀れ自分が脳筋である自覚も持てないまま零仔は決心して封を開けた。
「……………」
「お疲れ零仔ちゃん。…あら?お手紙開けたの?」
「ああ、うん…」
「!そうじゃん栂野!どうだった!?やっぱラブレターだった!?」
「それともマジの果たし状か!?」
お前達他人事だと思いやがって……
それにムスッとしながら、手紙をもう一度見る。
「いや…よくわからない…」
「…とは?」
「『1-Aの栂野零仔さん。どうしても伝えたい事があります。放課後、校舎裏に来てください。待っています』…だって」
「ああ〜…それはもう…」
「これって、『校舎裏に来いや、白黒つけてやる』って意味かしら?だとすると果たし状よね」
「何がどうなって何故そうなる」
目的が書かれていないのだから白黒つけようがない。
呼び出して何がしたいのか。そもそも今がその放課後だ。
という事は今この差出人は、校舎裏に?
「とりあえず行ってみたら?もしかしたら本当に大事な用かもしれないし」
「……それも、そうか…」
「もしかしてもしかしたら、体育祭前に栂野に喧嘩売って玉砕したあの普通科の生徒かもしれねーし…」
「?誰それ。いたっけそんな人」
「お前………」
「零仔ちゃんってたまに爆豪ちゃんみたいよね」
「わかる」
何だとコラ。スゲー喧嘩売られた。
体育祭前。うん、よく覚えて無い。
「…とりあえず、行ってくるね」
「マジで果たし状だったらすぐ逃げてくるんだぞ〜!!」
「先寮に帰ってるからね〜!」
速攻で終わらせて帰ってやる。
そう意気込んで、とりあえず校舎裏に向かう事にした。
「…………」
轟の視線に、気づく事はないまま。
***
(校舎裏遠いわ…)
ヤロウ。知らねえだろ教室からそこまでどんだけ遠いか。
こちとら訓練でクッタクタなんやぞ。早く帰ってシャワー浴びたい気持ちでいっぱいなのである。
早足でせっせかと歩いて、校舎裏にやっとの思いで到着した。きょろきょろと見渡すと、木陰に男子生徒が一人立っていた。
明らかに誰か待っている様子。そして知らない人だ。
(いや違う人って可能性もあるしな…)
人違いかもしれないという可能性もあるので、偶然通りがかった風を装ってその男子生徒の付近まで接近する。
すると足音に気づいたのか、男子生徒がこちらを見た。はっきりと認識した。
「あ……、栂野、さん。来てくれたんだね」
「…!」
人違いじゃなかった。
そして態度からして果たし状というのもなさそうだ。とりあえず暫定で可能性からは消しておこう。
「えっと…何か、御用で?」
「あ、うん。ええと、俺は2年、ヒーロー科の光山。突然呼び出してすまない」
「いえ、お気になさらず……」
上級生だったのか。
ますます何故呼び出されたのかが分からない。
接点が全くないからだ。
零仔が困惑しているのは分かっているのだろう、彼も手っ取り早く用件を伝えようとしているのが分かった。
「えと、その!……突然で、すまない。君にずっと伝えたい事があったんだ」
「?」
「………」
光山は決心したように、キッとこちらを見据えてくる。
「――――体育祭の時、君を見つけてから…ずっと君が、好きだった。……付き合ってくれ!」
――――――へ?
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