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嵐のような夜嵐が去り嵐が去ったところで、今度は別の嵐が来たようだ。
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
「!!」
久しぶりに会った時のお決まりを口にして、ヒーローの女性がこっちに来る。
可愛いなああのズボン。ベルト付近のニコちゃんマークがキュートだ。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!!」
(相澤先生死ぬほど嫌そうな顔してるんだけど…)
「結婚しようぜ」
「しない」
「!?」
「わあ!!」
芦戸が喜ぶような展開だな。
いきなり目の前で行われたプロポーズにビビった。
「しないのかよ!!ウケる!!」
「相変わらず絡みづらいなジョーク」
冗談かよ。びっくりする。
緑谷曰く、彼女は『Ms.ジョーク』。個性は『爆笑』。
近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせる。彼女の敵退治は狂気に満ちているそうだ。
見たらわかる。
「私と結婚したら笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ」
「その家庭幸せじゃないだろ」
「ブハ!!」
的確な返しである。
何でも昔事務所が近かったらしく、助け救けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へならなかったのだとか。ならなかったんかい。
真顔の心中でツッコミを繰り返していると、ジョークの受け持ちクラスがこちらへとやって来た。
2年なのかな。
「おお!!本物じゃないか!!」
「すごいよすごいよ!TVで見た人ばっかり!」
一番先頭にいた大変爽やかな甘いマスクの青年が一番最初に緑谷に握手をかました。
「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね!しかし君達はこうしてヒーローを志し続けているんだね、素晴らしいよ!!不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」
(((眩しい)))
真堂選手、鮮やかなウインクが決まったァ―――!!
なんてドストレートな爽やかイケメンなんだ。思わず目を細めてしまった。
こういう爽やかなイケメン、実はそこまで得意ではない。嫌いでは決してないんだがこう、テンションが追い付かない。
爽やかイケメン・真堂はぐるりとこちらを見た。またか今度はなんだ!!今度こそお知り合いじゃねーぞ皆!!
「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くんと栂野さん、君達は特別に強い力を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
まず爆豪に、先程のように握手を求めたが爆豪はその手を払った。
「フカしてんじゃねえ。台詞と面が合ってねえんだよ」
それに一瞬、ほんの一瞬だけ真堂の表情に影が差した。
だがそれも気のせいかと思う程の一瞬の出来事で、彼はまた爽やかの面を張り付けた。
切島が慌てて謝った。苦労してるな。
「こらおめー失礼だろ!すみません無礼で…」
「良いんだよ!心が強い証拠さ!さて、栂野さんもよろしくね!!体育祭での君の戦いはすごく印象深かったよ!!」
「は、はあ…」
「ところで君、LINEしてる?」
「あーっ!揺くんナンパしてるー!!」
この怒涛のハイテンションの応酬についていけねえ。
悟りを開いて再度真顔になりそうだ。
このどうしようもなさそうなテンションを打開してくれたのは我らが相澤だった。こういう時ほんとこの人居ると違う。
「おいコスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」
「「「はい!!」」」
真堂からさっさと離れると、すぐに轟がこっちに来た。
「大丈夫か」
「う、うん。ちょっとテンションついていけなかったけど」
「試験前から疲れてるな、お前」
全くだ。
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