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平和の象徴を、殺す。
「敵ンン!?馬鹿だろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!!」
「先生侵入者用センサーは!?」
「勿論ありますが…!」
機能していないのは明白だ。
轟が冷静に周囲を見渡す。
「現れたのは此処だけ科学校全体か…何にせよセンサーが反応しねえなら無効にそういうことができる個性がいるって事だな」
「校舎と離れた隔離空間、そこに少人数が入る時間割……そして先日のマスコミの事。ええ、馬鹿だけど阿呆じゃない。何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲よ」
続く零仔の分析に相澤は舌打つ。
ということはほぼ真実に近いのだろうし、これは思っている以上に最悪の事態なのだろう。
そもそも今日の時間割は何かしらの変更があったらしい。これが、この前のマスコミの事を踏まえての警戒態勢だったのだとしたら。
しかも敵の目的はオールマイト。
この敵の編成が、対オールマイトの為だとしたら。
相澤が真正面から突っ込んでいく。
13号が避難を開始させ、その間にも相澤は次々と有象無象を叩き伏せて行った。
強い。だが、相澤の個性上肉弾戦に頼らねばならない。恐らくあれも、長くは持たないはず。
早く避難して先生たちを呼ばないと。
「すごい…!多対一こそ先生の得意分野だったんだ!」
「分析してる場合じゃない!早く避難を!!」
「――――させませんよ」
突如目の前に移動してきた黒い靄の敵に足を止められる。
相澤の個性抹消をすり抜けてきてしまったのだろう。
「初めまして、我々は敵連合。僭越ながら…この度はヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは……
平和の象徴・オールマイトに…息絶えて頂きたいと思っての事でして」
耳を疑う言葉の羅列だった。
狂人としか思えない。
あのオールマイトを、殺す?本気か?零仔の頭の中でその中に含まれる意味を反芻し、だが最終的に直球な意味へと帰結される。
13号が宇宙服の指の部位を開け、先手を打とうと構えた直後、13号より早く切島と爆豪が不意打ちを仕掛けた。
だが物理攻撃がどうやら聞いていない。
13号が個性を使おうって時に前に出たりなんかしたら―――
「馬鹿!!!退きなさい二人とも!!!!」
「ほう、多少頭の回る生徒がいるようですね。だが遅い」
奴の身体が広がり、生徒たちを覆い尽す。
散らして 嬲り 殺す
(こいつ、生徒たちを各ゾーンに散らしてそこで殺すつもりか!!!)
「みんななるべく一人になるな!!近くにいる誰かに寄れ!!一人で投げ出されるな!!」
「栂野、捕まれ!」
黒く閉ざされかけている空間の中そう叫んでいると、轟の声がして、その方向を振り返ると轟が手を伸ばしていた。
その手を迷うことなくしっかり掴んだ、
恐らく轟は飛ばされた瞬間に配置されているであろう敵の動きを止めるために氷結を使うだろう。
ならこちらもその援護をしよう。
「っ相澤先生…!」
まだ中央で戦っている相澤を案じ、やがて視界は真っ黒に染まった。
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