5
広場に隣接している水難ゾーンが見えた。
その隅にいたのは、
「緑谷君!峰田君!梅雨ちゃん!!」
「っ!?あ…!轟君に栂野さん…!」
「無事だったのね零仔ちゃん」
「うん、無事。そっちも無事ね。…どうしたの、こんなところで……」
峰田が震える手で、広間を指す。
そこにはあの敵たちがいた。だが、音が殆どしない。
妙だと目を凝らせば、巨大な黒い体躯と剥き出しの脳が特徴の大男が相澤を伏せていた。
相澤の腕は見るも絶えない程にボロボロでひしゃげ、筋肉や骨が見えている。
顔面は地面にめり込んでおり、誰がどう見ても重症だ。
「相澤先生…!!!」
「死柄木弔」
「…黒霧。13号はやったのか」
「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒はおりまして…一名 逃げられました」
(13号…!)
やられたのか。プロのヒーローを伸すだけの実力がある。
絶望的だ。一人逃げたという生徒は恐らく先生を呼びに行ったのだろう。
早く来てくれるとありがたい。
「―――流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ…あーあ…『今回』はゲームオーバーだ。帰ろっか」
帰る、といったのか?今?
峰田達も確認し合っている事から、どうやら正しく聞こえたらしい。
「何を考えてんだ?今帰っても雄英の危機意識が上がるだけだぞ」
「…オールマイトを殺すって言ってるくらいなんだし、今更雄英の危機意識を上げても…っていう考えもあるのかもしれないけど」
轟と話し合う最中も、敵側は話を進めて行っていた。
その時だった。
「けども、その前に」
空気が、変わった。
「平和の象徴としての矜持を少しでも、へし折って帰ろう!」
手の男、死柄木が一瞬で移動したかと思えば。
反応できなかった。その手がひたりと蛙吹に触れる。
だが何も起こらず、死柄木は相澤の方を向いた。
「本っ当かっこいいぜ、イレイザーヘッド」
相澤の個性が死柄木の個性を消したらしいが、直後相澤は再び地面に叩きつけられる。
つまり、死柄木の個性は触れたら非常にまずいのだろう。
そう考えたら、
「っおい栂野!!」
「栂野さん!!」
身体が、勝手に動いていた。
「梅雨ちゃんから手を離しなさい!!!!!!」
死柄木に飛び掛かる。
奴はこちらを冷静に認識し、ただ一言。
「脳無」
その直後、零仔の灼熱の鎧を纏った拳が命中した。
筈、だった。
「な……」
その拳は、いつの間にか接近していた脳無と呼ばれた男に、止められていた。
脳無の手からは煙が出ている。肉が焼ける音も、匂いもしている。
なのに。
(馬鹿言わないで、1500度よ…!!)
「わあ…凄まじい個性だ。だけどな、」
みし。
びし。
「相手は選ばないと、危ないよ」
鎧に、ひびが、入って。
徐々に力が込められていくのが分かる。
「栂野ッ!!!!!!!!!!」
ばぎゃ。
「ぁ………」
脳無の手は容易く、零仔の腕を粉砕した。
.