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放課後、授業も終わりさあ帰ろうという時だ。
嫌に廊下が騒がしい。
麗日が扉を開ければそこは人だかりだった。全学科の生徒が集結し、観察、写真などやりたい放題。法はねえのか法は。

(大方体育祭云々で目つけられてんのね…)

あそこで爆豪が過激発言でヘイト集めまくっているが、どうでもいい。

「ねえ、君、栂野零仔さんだよね?御宮中学の」

さっさと帰ろうと荷物を持って教室を出ようとした矢先、声をかけられた。
普通科の生徒のようだ。知らない人物だ。
他の科の生徒は観察に徹していたからか、A組に話しかける猛者を皆興味本位で注目する。
A組の皆も一斉にこちらを見た。
注目が集まっている。

「……ええ、そうだけど。何?」
「あれ?やっぱり知らないかあ。僕も同じ中学でね、同じクラスだった時もあるんだけど」
「そうなの?ごめんなさい、気が付かなかった」

A組が冷や冷やしているような目でこっちを見てくる。
爆豪がヘイトを集めまくった後だから過激な発言はよせという意だろう。
なんせこの生徒の目には明確な悪意があるからだ。十中八九煽りだろう。

「さっすが『氷の女王』様!いつもお高くとまって周りには一切興味無し、ここも自分の城だとでも思ってるのか?中学の時みたいに」

いきなりコイツ突っ込んでくるな。
A組の面々の表情が変わる。これは明確に喧嘩を売っているのだと気づいたからだ。
そして個性に関する上下社会をよく知っている面々だから、『この手』の話題がいかなる理由であろうと容易く踏み越えてはいけないラインである事もよく知っている。
それをこの目の前の男は土足で踏み荒らしたのだ。
男は良く煽ったつもりなんだろうか。こんな公衆の面前で堂々と喧嘩できるわけもない、力あるものが抑えなければならない立場なのだ。
だが、まあ、どうでもいい。

「……お喋りしたい事は全部言った?じゃあ帰っていい?さっきから貴方が通路塞いでて邪魔なのよ」
「なっ…」

カッと血が上ったようだ。煽ったくせして耐性の低い奴だ。
わなわなと震え、彼の後ろにいた普通科の面々も殺気立つ。

「…何?貴方が私の事『周りに一切興味のない奴』って勝手に断定したからそういう風に振舞っただけじゃない。貴方が勝手に張ったレッテル通りにしただけよ」
「何貴方、調子に乗ってるつもり?」
「そう見えるならそう見てくれても結構よ」
「お、おい栂野…やめろって…」

峰田がそろそろ止めに入って来た。
空気は最悪と言っていい。あちらから売ってきた喧嘩なのに。
何時だって悪者扱いは強者側だ。

「興味引かせたいなら好きなだけかかってきなさいよ。雄英生でしょ?私が中学時代興味なさそうに見えてたのは貴方達が勝手にビビッて有象無象に徹して近づかなかったからでしょ。有象無象に一々興味持つほど暇じゃないの」
「〜〜〜〜っっ」
「爆豪君が言った通りよ。どれだけ私が気に入らなくたって上に上がれば関係ないわ。今さっき私が言った事、少しでも気に入らない所があるなら力で捻じ伏せに来なさい」

全く、時間の無駄だ。
こういうのがいるから嫌になる。
勝手に遠ざけといてこちらが悪いような言い方をする。

「おいっ栂野テメー!!爆弾ぶちまけといて帰んな!!オイ!!」

峰田の悲しき叫びは置いといてさっさと帰るとしよう。
疲れた。

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