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昼休憩が終わる。
まずはレクリエーション競技を挟み、そこで最終種目が始まる。
レクリエーション競技は全員参加だ。まあそこは腐っても体育祭というべきか。

で、だ。

「みんななんでチアの格好してんの?」
『どーしたA組!!?』
『なーにやってんだ…?』
「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?」

騙されたんか。
何故かA組女子、零仔以外全員チアの格好で登場してきた。何があったのか知らないが昼休み食堂にいなくて本当に良かった。

「午後は女子全員応援合戦しなくちゃいけないって…相澤先生からの言伝だって…」
「相澤先生なら『非合理的』って切り捨てる側でしょ…」
「もっと早く気付くべきでしたわ…!!」

八百万、同じく推薦枠のはずなんだが、なんかちょっとアレなのかもしれない。
純粋培養すぎて、こういう冗談を真に受けやすいというか。

「もうこの際道連れ。な?栂野も着よ?チア」
「私お腹冷やすとあかんから…皆で楽しんで…」
「くそぉーー!!いつか絶対着せてやるからなァー!!」

怖い。その時が来ないことを切に願う。


さて、最終種目は上位4チームからなるトーナメント形式。
つまり、1対1のガチバトルだ。
毎年形式は異なるが、サシで競うのは同じ。
参加者はレクに参加しようがしまいがいいらしい。零仔は温存したいので参加はしないつもりだ。

「くじ引きしちゃうわよ。んじゃ、1位チームから順に…」
「あの…!すみません」

そこで説明をするミッドナイトの話を遮り、挙手したのは尾白だった。

「俺、辞退します」
「!!」
「尾白君、なんで…!?せっかくプロに見てもらえる場なのに!!」

緑谷の言い分は尤もだ。
だが尾白は言いづらそうにしながらも、しっかりと告げる。

「騎馬戦の記憶…終盤ギリギリまでほぼボンヤリとしかないんだ。多分奴の個性で…」

奴、とは当然心操の事だ。

「チャンスの場だってのは分かってる。それをフイにするなんて愚かな事だってのも…!」
「尾白君…」
「でもさ!みんなが力を出し合い争ってきた座なんだ、こんな…こんなわけわかんないままそこに並ぶなんて…俺は出来ない」
「気にしすぎだよ!本選でちゃんと成果を出せばいいんだよ!」
「そんなん言ったら私だって全然だよ!?」

葉隠と芦戸が止めに入る。
それでも尾白の決意は固いようだった。
零仔は何とも言えない気持ちになる。あの場でたった一人、正気に戻れた人間なのだから。

「違うんだ…俺のプライドの話さ…俺が嫌なんだ」

続いてB組の庄田も棄権したいと懇願した。
皆、真摯に取り組んできた。誰よりも一番を望んだ。だからこそ、その一番の座を掴むために不透明な部分を持ちたくない。
純粋に勝ちたいからこそ導き出した答えなのだろう。

「…そういう青臭い話はさァ…………好 み!!!!庄田・尾白の棄権を認めます!!」

好みで決めたぞあの18禁ヒーロー。

その後、繰り上がりでB組のチームが入ったが、そのB組のチームも何人かの入れ替わりが起きた。
誰もが純粋に勝ちたいからこその話だった。
何とも言えない雰囲気のままくじ引きは始まってしまった。


「…尾白君」
「栂野、悪い」

何も言えなかった。
あの時正気に戻れたのは零仔だけだった、それでも。

「君がそんな顔するなよ。俺が決めた事なんだ」
「でも、私…」
「じゃあ、勝手なこと言うようだけどさ、」

肩を叩かれる。
尾白の表情を見た。まっすぐにこっちを見ていた。
その眼に悔いはない。悔しさはあれど、それは清々しいものだった。

「俺の分まで戦って、勝ってくれ。一緒のチームだったんだろ」
「……、」
「B組の庄田の分も、出られなかった皆の分も。戦って、勝ってくれ。……女の子に言うのも、情けない話だけどさ」
「…ううん」

尾白は此処まで言った。
だったら、こっちだって相応の覚悟を見せなければ丈に合わない。

「戦う。貴方と、みんなの分まで」
「…、頼む」

一人での戦いじゃない。
皆で戦う。後押ししてくれている。
最終種目が、始まる。

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