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「腹も膨れた!皿も洗った!お次は…」
「肝を試す時間だーーー!!!!」

夜、食事も後片付けも終わった1年は待ちに待った肝試しのお時間を迎えた。
芦戸が嬉しそうに張り切っている。
見ているこちらも心温まる光景なのだが。

「その前に大変心苦しいが、補修連中はこれから俺と補習授業だ」
「ウソだろ!!!!?????」
(無念…)

抵抗虚しく補習組は相澤に連行されて行ってしまった。
相澤の鬼である。やっぱりハートマン軍曹。
賑やかし役が誰もいなくなってしまったA組、果たしてどうなるのか。

今回の肝試し、まずは脅かす側がB組らしい。
A組は二人一組で3分おきに出発。
零仔は緑谷とペアになった。

「……えっと、栂野さんって怖いの大丈夫?」
「……実は、そんなに…」
「えっ…」

先行きが不安だ。
周りのペアはどうなんだろうと見てみると、轟が爆豪とペアになっていた。よりにもよって。
障子と常闇ペアは完璧に寡黙だし、濃いな。色々。


さて、先に行ったメンバーを見送り、零仔は緑谷と順番を待っていた。
開始から12分ほど経とうとした頃。
零仔は違和感に気づいた。周囲の違和感だ。
見渡し、そして遠くで立ち昇る「それ」に気づいた。
個性の特性上零仔は温度に敏感だ。遠くの温度の変化は多少の察知は出来る。遠方といってもそう遠くない場所の温度が異様に高い。
そしてその温度は上へ上へと昇っている。
すなわち上昇気流が発生している。こんな森でそんなことが起こっているとしたら。

「…!マンダレイ、ピクシーボブ…!火事です!!」
「…っ!?黒煙が…!」
「それに、焦げ臭いのに交じって…何?変な臭いが…」

確かに変な臭いがする。
明らかに火事で起こった焦げた匂いではない。
臭いの発生源は近くない。それなのにこんな所まで来ているなら、暖かい空気に乗せられ上空へと行かない気体。すなわち空気よりも重い気体。
そんなものの発生源などこの森にはないはずだ。空気より重い気体など自然にはそうそう存在しない。
つまり。

「っ、マンダレイ!!これは、ガスです…!吸っちゃ駄目!!」


「あぁ〜ら、やっぱり頭いいのね〜!ますますイイわぁ」


聞き覚えのない声。その声に込められた敵意。
振り返りざまにピクシーボブの姿が消える。

「飼い猫ちゃんは邪魔ね」

布で覆われた巨大な得物を手にしたサングラスの男が、まるで引き寄せられたかのように接近してきたピクシーボブの頭部を殴打した。
ピクシーボブは頭部から血を迸らせ、地に倒れる。
その頭を、爬虫類のような顔の男が踏んづけた。

「なんで…万全を期した筈じゃあ…!!」

峰田が震えながら、愕然としたように絞り出す。

「何で……何で敵がいるんだよォ!!!!!」




「さァ始まりだ。地に堕とせ。――――敵連合『開闢行動隊』」



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