「狐の嫁入り、ね」
侑子が呟く。
「きつね?」
「陽が照っているのに 降る雨のこと」
『ふーん、不思議ねぇ』
雨に濡れて冷えてしまった。四月一日の入れたお茶を一口飲み、ほっと一息つく。
「こういう日はね "鏡聴<キョウチョウ>"が出来るのよ」
『きょう、ちょう?』
「なんすか?それ」
首を傾げる2人。
くす、と笑って侑子は続ける。
「マル、モロ」
「「はーいv」」
じゃーん、という効果音と共に、2人は何処からか鏡を取り出した。
「鏡はなんでもいいのよ。手鏡でも、コンパクトでも」
侑子はマルとモロが出した鏡を受け取り、2人に見せながら語る。
「それをね 懐に入れて 目を閉じて 初めに聞いた言葉を"兆し"にするの」
「辻占っていう占いの 別バージョンみたいなものね」
「辻占は、鏡を懐に入れて 道を歩いて 最初に聞いた言葉を兆しにする。いつやってもいいのよ」
「狐の嫁入りの時にやる鏡聴は 陽の下の雨のチカラで 精度が上がるの。より深くて確かな兆しが得られる」
『へぇー!』
興味津々で話を聞いていたリノは目を輝かせた。侑子はこうやって、いつも色々な事を教えてくれる。
話を終え、侑子は四月一日に鏡を差し出す。
「やってみる?」
─目を閉じて
─何も考えないでいいの
─ただ、最初に聞こえる音だけを聞いて