3.アウトドアシーズン開始
世間はゴールデンウィークというものに突入している。ゴールデンウィークは、部活生にとっては部活三昧の日々。この期間に合宿に行っている部活もあれば、大会の多い部活、そして休みがない部活も多い。
ソフトテニス部も、アウトドアシーズン最初の大会、春季高校地区大会がある。私は今日、朱里ちゃんと一緒に見に来ている。西星高校の人達と一緒になり、試合を見ることに。
まずは新一年生ペア、三原千葉ペアの試合を見ることに。南聖中出身ペアなので、朱里ちゃんがとても見たがっていた。
「あの二人ほんっっと仲良いから!」
って朱里ちゃんが言うくらい。この2人は幼稚園から仲良く、テニスも一緒に始め、高校も学科は違うが部活でもよく一緒にいるらしい。三原くんは普通科で、千葉くんは工業科らしい。
身長のある千葉くん。もしかしたら、野川先輩や川島先輩より身長があるかもしれない。
「もしかして千葉哉斗って男子部1番背高いんじゃね?」
と朱里ちゃんが言う。
「野川先輩より高いならそうだよね」
「あいつ中学の時いきなり伸びたからねー。急にごつくなって」
男子って、気づいたら成長しているもんだからなぁ。テニス部の中で1番背が高いのは野川先輩だが、その野川先輩より高い気がする。今度聞いてみよう。
「で、相手の東高の広間関谷ペアも2人とも南聖中なのさ。広間は全中県予選出てるし」
「え、じゃあ、いきなりの南聖中対決…」
「そういうことだね…」
朱里ちゃんはスマホを構えて動画を撮っている。私もカメラを構える。
「でも南聖中この代多かったからね、なんでこんなにいるのってぐらい。」
「たしかに2年の時皆言ってたね、テニス部に人数取られてくって」
「そう!部活紹介の時の野川浅沼と北戸野本がめちゃくちゃかっこよかったの覚えてる?」
「あー!あれのせいか…」
たしかに、あの時の先輩方見てかっこいいって言う人私の友達にも多かったな。今思えば、あの4人だったのか…。
この試合は三原千葉ペアの勝利。南聖中出身の1年生対決。とても面白い展開の試合だった。
続いては隣のコートで行われていた西星高校の3年生ペア、星永高原ペアの試合を観ることに。相手は東聖商業高校の東村松居ペア。
東村松居ペアは、インドア大会で県大会へも出場しているペア。松居くんは2年生だったはず。3年生の東村先輩は昨年もレギュラーで、昨年のインハイ予選でも白石工業戦で活躍した選手。
「この試合は西星ペアもいいけど、とりあえず松居を見ててほしい。松居のプレーは本当に見て損しないから。」
と朱里ちゃんに言われる。
無駄のない動きだが、攻めが得意な選手なのか。決まった時がとてもスカッとする。
この試合、展開がほぼ東村松居ペアに持っていかれていた。結果は星永高原ペアは負けてしまったが、この東商ペア、噂に聞いていた強さだ。
そして試合が進み、こちらは永井川島ペアと、藤木平澤ペアの、西星高校ペア同士の試合。上位に上がってくると西星対決も多くて面白い。
客席にも西星生が集まっている。
「あれ、」
と朱里ちゃんが誰かに気づく。
あれ、
「南田先輩?!」
「七星ちゃんも朱里も久しぶりー。俺今来たけど今これどういう感じ?」
「永井川島と藤木平澤はベスト8決めですね」
朱里ちゃんは答える。
「お、柊弥やるじゃん。でもせっかく柊弥活躍してんのにこういう時に限って悠斗仕事だもんなーあいつ」
やっぱり南田先輩も藤木先輩も、お互いのこと話す時って生き生きしている気がする。未だに。
藤木先輩は社会人だし、販売業だから、土日祝日はほぼ休みがないと言っていたっけ。
最初は永井川島ペアが1ゲームを取るが、その後は藤木平澤ペアに流れが行き、見事藤木平澤ペアが勝利した。
藤木くん、とてもキラキラ輝いていた。めちゃくちゃかっこいい。平澤先輩もしっかりフォローしていて。藤木くんのベスト8進出は、高校生初かもしれないな。
「今の試合の柊弥の写真悠斗に送り付けてやれ」
と南田先輩に言われる。
言われた通り、帰ったら藤木先輩に送ってみよう。せっかく連絡先頂いたし。
ベスト8に入った西星ペアは、長島野川ペア、福島花田ペア、藤木平澤ペア、大宮小谷ペアのみだ。
先程試合を見た東商の東村松居ペアもベスト8だ。
実はこの大会から、福島花田ペア、川岸野本ペアと、レギュラーのペアが変更されていた。このことは川岸先輩から聞いていて知っていたが、まさか、福島野本ペアが分かれるとは思わなかった。
その川岸野本ペアは春日高校の白木福永ペアに敗退してベスト16。この白木福永ペアは3年生ペアだが、春日高校のレギュラーには入っていない。それどころか、準々決勝では春日高校の同士討ちになり、2年生レギュラーでエースの池村野田ペアに勝利して、ベスト4進出も決まった。
そして私がいるのは大宮小谷ペアのところへ。準々決勝で、南陵高校の小山湯浅ペアが相手だ。この小山湯浅ペアは、西星の滝下金井ペアをファイナルゲームで下している。
私自身、 大宮小谷ペアの試合を見るのは初めてだったりする。安定の強さを誇るペアだが、レギュラーではないし、私が見に行った大会もシングルスだったりこのペアは分かれていたり、と。
「やっぱ宏斗も大紀も上手いけど、それよりも南陵ペアが乗っている感じ」
と近くにいた永井先輩が言うのがチラッと聞こえた。確かに、そうかもしれない。
この試合は南陵ペアの勝ちだったが、大宮小谷ペアも決して悪い試合ではなく、むしろ、魅入る試合だった。
「あー!久しぶりに悔しすぎる試合だった!!」
ってこちらに戻ってきた大宮くんは騒いでいるが。大宮くんって常に騒いでいる印象しかないが…。
「いつ以来?」
と村井くんが大宮くんに聞く。
「んー、全中予選の2回戦敗退以来」
「いや結構前だな」
「だって高校入ってから、負ける時あっさりだったし」
この時の大宮くんは2回戦で当たったのが江南第二中の当時2年生エースのペアで、ギリギリまで攻めたものの惜しくも敗退してそのまま引退したということだ。
そして大宮くんの中学時代のペアは春日高校の野田くんだ。
そして試合は進み準決勝へ。長島野川ペアと、白木福永ペアの試合。
もう一方は福島花田ペアと、小山湯浅ペアだ。
「七星ちゃんみっけー!」
と、後ろから春日高校のマネージャーの先輩、鈴音先輩がやってきた。
「福永が準決勝行くんだもん、手伝い抜けてきたわ」
「え、いいんですか…?」
「ひかりに行ってこいって言われたからね、福永は私の推しメン!」
ああ見えて行動可愛いんだよー、なんて福永先輩の話を沢山されるが。
「じゃあ私春日のみんなのとこで応援するから!後でゆっくり話そ!」
「はい!」
なんて話していたら試合は始まっていた。
西星高校側へ行くと、ほぼ部員全員が集まっている。
「福永すげーなー、あいつベスト4とか初じゃん」
と北内先輩が言っていた。
「あ、あの福永ってやつ、第二中の奴でね、あいつのペアが同じく春日高校の菅沼なのさ。」
と川島先輩からも説明をされた。
中学時代の菅沼先輩のペアの方だったのか。でも菅沼先輩のペアっていつも浅沼先輩だよな。高校では。
ノリに乗っている白木福永ペアだが、この試合の相手は長島野川ペアだ。勝利は長島野川ペアへ。
福島花田ペアも勝ち進み、決勝は長島野川ペアと福島花田ペアの試合になる。
「いや、春太以外2年生じゃねえか」
なんて川岸先輩がツッコミを入れるが。
確かに、この中で先輩は野川先輩のみだ。
福島花田ペア。花田くんが冬にこんなことを言っていたのを思い出す。「まだ玲一だけペアになったことない」って。
2年生の後衛エースの3人、といえば、玲一と長島くんと大宮くん。
長島くんはと中学が一緒で、中3の時の中学国体予選で県大会へ出た時にペアを組んだらしい。そして大宮くんとは昨年の秋に一般の大会でペアを組んだことのあるらしい。だから、玲一だけなかったとのこと。
ずっと曇っていた天気も良くなり、夕方なのに太陽が見えてきた。とても撮りがいのある試合になるかもしれない。
「同士討ちって正直、応援に困るけど、見てて面白くて好きなんだよね」
と朱里ちゃんに言われる。
「確かに。応援はしにくいよね」
「でもいつもとは違うところがあるよねそういうのって。」
西星高校は地区大会で同士討ちになるケースが多い。でも私はあまりそんな時に大会を見に来れてなかったりする。
いつも以上に張り切る長島野川ペア。長島くんも、玲一と花田くん相手だと、いつもよりとても楽しそう。仲の良い友達だからこそ。
そして野川先輩が先輩の威圧を見せる。野川先輩も結構、攻めが得意だと思う。というか、長島くんもだけども。
試合は進み、ファイナルゲームへ突入。こちらも大盛り上がり。
長島野川ペアが有利な状態でも決して諦めることのなく追いつく福島花田ペア。最後は花田くんが打ったボールがアウトになり、長島野川ペアの優勝が決まった。
「お疲れ様ー!」
と、部員は4人に声をかけていく。
「あー、野川先輩本当に腹立つ!!!」
「人のせいにするなー?」
と、花田くんと野川先輩は何か言ってるが。どうやら野川先輩、花田くんにわざと嫌味を言うの何気に楽しいみたい。
アウトドアシーズン最初の大会。やっぱりテニスはアウトドア。今年は沢山の試合を見に行けたらな。と思うのであった。
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