4.大学生の大会
高校生のインターハイがかかった大会の地区予選が来週に控えている中、この日の星華公園のテニスコートでは、1つの大きな大会が行われている。
学生春季大会。大学生の大会だ。
私がこの大会を見に行くことになったのは、アルバイト先の先輩に言われたからだ。
実はアルバイト先のコンビニに最近、新たな先輩が増えた。とはいえ、バイト歴は私の方が先輩か。
その先輩が西星大のソフトテニス部の1年生。西の森第一高校出身の太田先輩で、昨年インターハイへ出場した太田窪田ペアの太田先輩なのだ。
でも西星高校の南田藤木ペアと何度も当たったことあるが1度も勝ったことはないからそこは高校で1番の悔い、と仰っていたが。だからこの2人の先輩どちらとも大学に行ってないと言うとかなりびっくりしていた。
「大学の大会があるんだけど、興味あったら見に来るといいよ。大学は高校と違う面白さがあるから。」
と、先輩から説明を受けたのだ。
「リーグの入れ替え戦とか本当に盛り上がるよー、俺の兄ちゃんが西星大いた時に2部から1部に昇格した試合見たけど本当にすごかった。」
「リーグ戦…ですか」
「これが高校と大学の違いだよね。」
他のスポーツとかでは聞いたことあるが、大学のソフトテニスにも分かれていたのか。
1部の大学は、県内でも強豪の緑陽大に、今年度西星からは高倉先輩も進学した東陵学園大、そして北陽学園大に、江南公立大、西星大学がいる。
太田先輩曰く、今年の西星大の1年生には西星高校出身の人はいないが市内出身なら3人、あとは釜川高校や一橋高校からもいるらしい。1年生男子は合計で8人らしい。
西星大は看護学科のある学校だから女子は看護学科の生徒も多く、強豪の北陽学園や星の里高校の女子選手も多いみたい。
「んー、シフト見たっけ七星ちゃん土曜日休みみたいね」
「そうですね…」
「土曜日なら入れ替え戦と、あと個人戦もやるよ」
「お、1番いいところじゃないですか」
「西星高校の子でも誘って来てみな?大学生の大会なんてさくら市では春しかやらないからね」
西星高校は土曜日は部活いつまでなんだろうか。つぐみちゃんとか誘ったら絶対テンション高いだろうなぁ、なんて。
そして土曜日になる。この日の部活は昼までらしい西星高校。私は先に1人で見に来た。
でも知り合いがいなくて不安なところに、太田先輩は来てくれた。
「俺らまだ出番ないから一緒に見よっか」
なんて言われて。
「一騎いつのまに女の子と親しげに話してるし」
と男の人が3人やってきた。
「西星高校の2年生でバイト同じ子なんだよー。テニス観戦好きなんだって」
と太田先輩は私のことを紹介する。
「西星かー。俺東商だったよー。」
とやってきた先輩。東商のOBなのか。
「鈴村大澤ペアの大澤って言ったらわかる?一応2年生から県大会は全部出てるんだけど」
「あ、聞いたことあります…!」
「なら良かった」
鈴村先輩が同じ中学だったから、その先輩の高校の時のペアの人という訳か。
他にいた2人も高校時代の県大プレイヤーみたい。北宮高校出身の岸先輩は昨年の6月の全国大会へ出場。そして白石工業高校出身の藤田先輩は、きっと、前に藤木先輩達が言っていた選手であろう。聞いたことがある。
只今行われている試合は、江南公立大学と、緑陽農業大学のリーグ入れ替え戦。
大学生の試合は初めて見る。貰ったパンフレットを見てみると、レギュラーの選手名簿に出身高校が載っている。高校で活躍していた選手も色々な大学へと散らばってるんだな。この緑陽農業大のレギュラーは星の里高校の出身選手の割合が高い。
あれ、緑陽農業大学の主将の菅野選手、西の森第一高校卒業ってことは…
「太田先輩、この菅野選手って、今の第一高校に弟さんいます?」
と私は先輩に聞いた。
「あー、いるよー。菅野明登のことだろ?」
「そうです!西支部大会の日に試合見たことあったんで。」
「あー、あいつらも全国決めたからなー」
あの、立川菅野ペアの菅野くんのお兄さんだったとは。お兄さんの名前は、祐一郎さんというのか。そして今の主将みたいだ。
と、そこに部活終わりのつぐみちゃんたちが到着。つぐみちゃんも何人か誘ったらしく、長島くんと藤木くんと大宮くんと花田くんの4人を連れてきた。他にも先輩数人も、ここに来るらしいが。
「やっぱ大学生はちげーなー、」
と大宮くんは呟く。
この入れ替え戦の勝利は緑陽農業大学だ。この大学は2部リーグにいた大学だ。1部昇格になる。
緑陽農業大学は、主将の菅野選手を中心に胴上げを行っていた。この大学は初めての1部昇格みたいだ。
「大学の試合ってこんな盛り上がるんだね…俺も初めて見たけど」
と藤木くんが言う。
「絶対大学の部活って高校の何倍も楽しいと思うんだけど。早く大学で部活やりたーい」
と長島くんまで。
確かに、週数回の部活だったりするみたいだしね。
そしてこれから始まるのは春季個人戦。西星高校のOBの先輩も多数出場。その中でも私たちと被っている先輩は東陵大学に進学した、昨年野本先輩と組んでいた高倉先輩。
他にも西星大にいる水原先輩。川岸先輩が1年生の時の3年生の先輩で、釜川中時代は個人団体共に全中出場し、高校でも大活躍していた先輩だ。私は会ったことはないが、卒業してからもよくソフトテニス部にお邪魔しているということで、つぐみちゃんたちはみんな知っている。
その水原先輩も評判通り、上手い選手だ。西星の中でもトップなのでは。聞けば昨年もインカレ出場していたみたい。団体戦も1年生からレギュラーで。
一方、つぐみちゃんが目に入ったのは…。
東陵学園大学の川岸佐高ペアと、江南公立大学の梨田森野ペア。1年生ペア対決みたいで。
「あの人、川岸先輩のいとこだよ」
と長島くんに言われる。たしかに苗字は川岸 だ。
「え?!川岸先輩の?!」
「そう。どこだっけ、北別の緑橋高校だっけ?」
とつぐみちゃんまで。
「で、佐高選手は北別花野高校だから、東陵大ペアは北別出身ペア。あと江南公立の森野選手は北春日の桜陽高校だった人かな?」
さすがつぐみちゃん。詳しすぎる。
つぐみちゃんも2つ上までは知り尽くしている。
もっと聞くと、この森野選手は昨年のインハイ予選県大会で、東商を抑えて団体ベスト4に入った桜陽高校の主将で、個人戦も高倉野本ペアに0勝ちしたペアの後衛みたい。
この試合は接戦の末に東陵学園大ペアの勝利。1年生対決、とても面白いものだった。
やっぱり学年が同じだと、中学や高校等で何度も試合したことがある人と当たったりとかも多いんだろう。そして何度か試合して勝ったり負けたりした相手と組む、なんてこともあるんだろうな。それこそこの北別出身ペアも、そうだったんだろうな。きっと、ね。
そして試合は進み、私達が見に来たのは、西星大の2年生ペア、水原遠部ペアと、東陵学園大の3年生ペア、谷原岸井ペア。
水原選手は先程述べた西星高校のOBの先輩だ。
「兄ちゃん言ってたけど、谷原岸井ペアってすごいペアらしいよ。北別地区がずば抜けて凄かった時代の中の注目ペアで、高校の時からペアでインハイも出てるし、他にも2人とも中学の時から数々の全国出場していたみたい」
と藤木くんに言われる。どうやら藤木先輩がとても尊敬しているペアで、藤木先輩が東陵大と迷っていた理由の1番はここにあったらい。
やはり、全国レベル同士の試合だと試合の展開がとても違う。一瞬で魅入ってしまうね。
この試合は東陵大ペアの勝ちで、谷原岸井ペアがインカレ出場を決めた。
この日はたくさんの試合を見た。強豪緑陽大のペア同士の試合があったり。優勝は緑陽大の島崎坂野ペアだが、準優勝は北陽学園の鶴川明原ペア。
ちなみにこの緑陽大の坂野選手と北陽学園の鶴川選手は2人とも3年生で、北陽学園高校時代の1番手ペアで、全国大会でも大活躍した2人だという。
大学ではマネージャーとかもいいな、なんて思ってしまう私であった。本気で考えてみよう。
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