7.初夏のお祭り
6月に入ったすぐの日曜日から、市内ではお祭りが開かれている。
だがソフトテニス部の皆さんにとっては明日からは県大会へ出発していて、県大会へ出場するメンバーは今日しか行く日がなく、つぐみちゃん誘ったけど、つぐみちゃんもマネージャーとして県大会に行くから今日しかお祭り行けないからと、今日は大宮くんと回るみたいだ。
私はというと、中学の時に同じクラスだった女子の友達と回ることになった。沙織って言うんだけど、中学の時はソフトテニス部で朱里とペアで、高校は南陵高校で硬式のテニス部に入っている。
私がテニスの観戦が好きだと言ったら、とても喜んでいて、今度硬式も見に来て!なんて言われたけど。
「私もそろそろ軟式の試合見たいなー」
と沙織は言う。
「でも私ほとんど男子のほうしか見てないけどね」
「春太先輩とか野本先輩とか大活躍してるんでしょ?」
「してるしてるー。」
なんて話もしたが。
途中で、川岸先輩と平澤先輩と永井先輩と立花先輩の4人に会った。
「七星ちゃんだー!」
と川岸先輩が最初に私のことを気づいたようで。
「やっぱり今日みんな来てるんですね」
と私は先輩達に言う。
「だって今日しか行けないもんな、俺らもう明日の午前で特欠だし」
と立花先輩が言う。
「みなさん県大会頑張ってください!」
と私はいうと、先輩たちは「ありがとー!」と言っていなくなった。
「西星のテニス部の人とも親しいんだね、七星」
「あ、マネージャーの子と仲良くて、その繋がりで」
「なるほどねー。」
と、話してると沙織は突然、変な話を持ってきた。
「テニス部の中で誰か好きな人とかいないの?」
とニヤニヤしながら聞いてきた。
正直、玲一からの告白をまだ返してない上に、玲一もあの告白をなかったように普通に接してくる。私もどうしたらいいのかわからないまま、半月以上が過ぎていた。
「…というよりも、この前告白されたんだけど…」
と、とりあえず言ってみた。
「え?!誰?私知ってる人?」
と聞かれ、私は思わず黙ってしまった。
「ニヤニヤしてる!南聖の人とか?!」
「…玲一」
「あー、って、まじ?」
玲一って恋とかするんだー、とか馬鹿にし始めてた沙織。それは私も思ったけども。
「返事はどうしたの?」
「いや、まだ…。半月前に告白されて、そのままテニス部大会続きで、それから会う時は何事もなかったように接してくれてて…」
本当に、どうすればいいのか分からない。
というか、自分の気持ちもまだ曖昧だ。
「それ早く返事するべき」
と沙織が急に食いつく。
「え?」
「あいつ平常心でいるふりしてるだけだって!絶対!内心絶対何か思ってる」
「ええ…どうすれば」
「七星からご飯でも誘えばいいのに。」
たしかに今までは玲一から誘われてて会っていた程度だ。私から誘ったことなんてほぼない。
お祭りでは色々な人に会った。川島先輩と野川先輩は彼女と来ていてダブルデートみたくなってたし、長島くんも彼女さんと、あと北戸先輩も彼女さんと来てた。つぐみちゃんと大宮くんにも会ったし、みんな今日来てるんだな。
沙織は親が迎えにきたみたいで現地で解散。1人でバス停まで歩こうとすると、声をかけられた。
「七星ちゃーん!1人?」
「あ、川岸先輩!友達もう帰ったので1人ですよー」
「俺もみんな帰っちゃって1人なんだよね。バス停までいい?」
「いいですよ!」
立花先輩は元から市外の人なので早い時間に帰ったみたく、永井先輩と平澤先輩は自転車で帰ったらしいが川岸先輩はバスとのこと。
「俺さ、引退前に言おうと思ってたことあったの。七星ちゃんに」
「私に…ですか?」
どうしたんだろう。
「昨年の後半から七星ちゃんと関わることできて、そして沢山応援して貰えて、俺もとても嬉しかった。でももう俺も引退近づいてるし、正直に言いたい。ずっと七星ちゃんのこと好きだったんだ」
川岸先輩は言い切ったあと、わーめちゃくちゃ恥ずいこれ、なんて顔を下向けている。
「え、川岸先輩…」
「本気だから。俺。」
そう言われちゃあ何も言えない。この状況、どうすれば…。
とそこでバス停に付き、タイミングよく川岸先輩が乗るバスが止まっていて、挨拶をしたあと先輩は去っていった。
ええ、どうすればいいの、これ…。
その2日後。
あれからずっと考えていたけど答えが出ない。相談できるクラスのテニス部も遠征中でいない。
今まで告白というものをされたことがない上に、 玲一からの告白の返事も返してない状態のまま川岸先輩にまで…ということだ。
この日の放課後、たまたま校門で部活に向かう村井くんと新田くんと大宮くんの3人を見つけた。2年生で遠征に行かない組なので、この遠征期間はこの3人が部活を引っ張っているみたい。
「村井くんー!」
とりあえず近くにいた村井くんを呼んだ。
「どうしたのそんな泣きそうな顔して」
と新田くんにも言われる。
「ちょっと、聞いてほしいことが。」
とりあえずこの3人には全て言った。
「って、川岸先輩ともかく、玲一もいつのまに告白してたのかよ」
と大宮くんもびっくりしている。大宮くんで知らないんだったら、玲一もこのこと誰にも言ってないんじゃないか。私もまだ沙織にしか言ってないけども。
「とりあえず気分転換に部活見てく?今日星華のテニスコートでの練習だし、どうせ先生いないから自主練だし」
と大宮くんに提案される。
「いいの?」
と聞くと3人は頷いた。
「ん、長島野川と福島花田がインハイ掛で負けてる」
と、スマホを見ていた大宮くんが言い出す。
そう、本日はインターハイの県予選で、この日は個人戦が行われている。ベスト8からがインターハイ出場だが、西星のエースも手前で負けたらしい。
「え、今年のインハイのメンバーどんな感じなの?」
と私は聞くと、
「んーっと、星の里と北陽しかいないわ。」
と大宮くんが答える。
星の里高校と北陽学園高校が県内のツートップの高校だ。地方からも強者が集まる。
大会はよく行ってるけど、部活におじゃまするのはほぼはじめて。通り際に少しお邪魔する程度とかだけだったから。
県大会期間で部長も誰もいない中は大宮くんが部員を引っ張っている。この人の性格上、気づいたらこうなっていたみたいだが。さすが、工業科3組の学級委員長。
部活が終わると、村井くんは話をもってくる。先程私が相談した話だ。
「とりあえず、付き合うか断るかの2択なんだから告白された側って。」
と言われる。確かに、そういうことだ。
「まあ、2人から告白されてる以上、1人は絶対断る答えを出さなくちゃいけないし、かといって無理して別の人と付き合う必要もないし。自分が付き合いたいと思えばその人と付き合えればいいんじゃない?」
と、新田くんは言うと、大宮くんは「最近彼女できた奴は違うねー?」なんて煽っている。
「え、新田くん彼女できたの?!」
「いや俺も初耳なんだけど」
と私の言葉に村井くんも乗せる。
「宏斗お前後で覚えてろよ」
新田くんは呆れた目で大宮くんを見る。
「さーせん」
どうやらクラスの人しか知らない話だったようだ。新田くんと大宮くんは同じクラスなのだ。
「玲一のことは結局どうなの?あれから」
と大宮くんに質問される。あれから、とは、春休みの出来事のことだろうか。
「でも、最近なんだかかっこよく見えるなあって。やけに頭から玲一のこと離れないし。告白された時、いつもと違う一面だったも、とても心に残った。」
自覚したくない部分が自分の中でもあったけど、私、もしかしたら…。
「まあ、最終的には七星次第なんだし、俺らは相談乗るくらいしかできないけど、頑張れよ、色々と」
と新田くんに言われる。
「ありがとうね、3人とも」
自分なりの答え。出せそうな気がする。
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