10.3年最後の地区大会





3年生最後の地区大会であり、新体制最初の大会であるこの国体地区予選。

今回の大会は西星高校からは数ペア県大会からの参加となるので地区大会には不在。まあ該当する方々も試合見に来てはいるけども。昼からは近くの球場での野球の全校応援もあるので、出ない人はみんな制服でテニスコートにいるという、謎な光景だ。あ、ちなみに私も。長島くんもその1人。


「いえーい、制服仲間」
なんて言いながら長島くんは隣にいる。でも長島くん、上にウインドブレーカーを着てるから、違和感はない。


ウインドブレーカーといえば、この間、女子ソフトテニス部の愛莉先輩から頂いたウインドブレーカーがあった。まだ着てないけど、とても大切にしたい。私が着ていいのか、というところから始まるが。
先輩が買ったはいいけど全然着てないものみたいで、もう1ヶ月したら引退だしどうせだからあげる、なんて突然私のクラスにやってきて頂いた。のが、つい数日前の話だ。




目の前で行われていた試合は白浜高校の2年生ペア、池上本間ペアと、東聖商業高校ペアの藤中藤松ペアだ。来る時間が遅かったからか、試合は全体的に2回戦も終わりかけている。藤中藤松ペアがリードをしている。


「あの前衛、藤松先輩の弟だからねー。テニスのセンスは兄弟で1番あるみたいよ」
と、長島くんは話してくれる。

「藤松先輩って、去年の幽霊部員でうわさの?」
「よく知ってんな、俺も2回くらいしか部活来てるの見たことない」
「顔ははっきり覚えてないけど、先輩から話聞いたことあるの」
「まじかー。まあ引退試合はちゃっかり来てた先輩だからな藤松先輩って」


昨年の先輩の中に幽霊部員の先輩がいたらしい。なので長島くんたちはほとんど面識ない。

どうやら、昨年のインターハイ県予選で先生がいなかった時期に1度来たことあるみたい。藤松先輩と同じクラスの柿口先輩が連れ出したとかで。それと、引退試合はいたらしい。



「って、今日つぐみ手伝いしてていないから一緒に見る人いないんだな七星」
「そういうことです。」
「玲一は?」
「どっか行った」
「俺さっき1回見てそれから見てない」
「いや、私も」


とここで、長島くんに突然話を振られる。

「本当に付き合ってんだよな?」
「うん。でもあんまり人前に公表してないし…」
「玲一が恥ずかしがってるだけか。ここ知り合い多いし」
「…なのかな?」

2人で会う時は積極的なくせに、周りに人がいると恥ずかしがる玲一。
長島くんと大宮くんには玲一が1番に報告したらしい。お世話になったから、と。2年生部員はみんな知ってるみたいだ。




「とりあえずその話は今度聞くわ」
「そうして頂けると嬉しい…」
「だろうな。こんな話してるうちにこの試合終わってんじゃねえか。藤中藤松勝ったっぽい?」
「そうみたいだね。見た感じ」
「どっか違うとこ行くか」



というわけで、私たちは別の場所へ行くことにした。




と、そこで川島先輩と永井先輩、川岸先輩と平澤先輩が集まっていると思って向かうとそこでは西星高校の三原白津ペアが試合をしていた。私割と、三原くんの試合を見る機会が多い気がする。

相手は春日高校の3年生ペア、菅沼浅沼ペア。

「すがぬー以外南聖じゃん」
なんて笑いながら川島先輩が言っている。


「まあ、1番続ける率高いの南聖ですからね」
と長島くんも話していると、後ろから肩を叩かれた。


「七星久しぶりー」
と、話しかけられた。
「わ、大輔じゃん」
「久しぶりだなー。七星よく来てるの知ってるけど話しかけようと思ってずっと話しかけれなかった」
「全然話しかけてくれていいのにー。」

白浜高校の2年生の清川大輔。小学生の時からの仲だが、今は関わりのなかった人だ。


「あー、大輔と七星は親しいんだね」
と長島くんに聞かれて、大輔は答える。
「小学生からの仲っていうのかな?でも話すの中学以来じゃね?」
「まあ、七星が名前で呼ぶ人は昔からの仲だろうな」

そう。高校入ってから1度も話したことない気がする。
そしてバレてる。私、テニスの人は基本同い年でも苗字呼びしているから。




「とりあえず南聖対決繰り広げられてるなここ」
「いや、それな」
「すがぬー先輩以外南聖か。」

3年生ペアに対して勢いのある西星の1年生ペア。三原くんは小学生からだが。白津くんは中学からテニスをはじめたと聞く。


試合はファイナルゲームへ進むも、その後はストレートに敗退した三原白津ペア。コートを出る際、「あぶねー」なんて菅沼先輩は川島先輩に言っていた。



「え、歩夢と晴希どうでした?」
と、大輔のところに1人やってくる。

「ファイナル敗退」
「あー惜しい。やっぱ浅沼先輩壁だな。」
「って言うけど俺らも次勝ったらもしかしたら浅沼先輩と当たるからね?」
「でも菅沼浅沼が次当たるのって木野平苗じゃないですか。」
「うわどっちも嫌だな」
「確かに。でも俺らも次油断出来ないっすよ」

大輔と話している彼は、白浜高校1年生の大輔のペアの篠永くん。そういえば、南聖中だったような。
このペアが次当たるのは春日高校の池村野田ペア。春日高校の2年生ペアながら、県大会でも勝ち進んでいるペアだ。団体戦では1番手と。
ちなみに木野平苗は清川篠永と同じ白浜高校。平苗くんは南聖中で、中学までは大輔と組んでいた。


「え、てかやっぱ池村野田勝ったの?」
と長島くんは篠永くんに聞く。
「俺さっき見てたんですけど圧勝してましたよ。大宮野田の元ペア対決は野田さんの勝利です。見てたら清川先輩どっか行きやがったし」
「いいじゃんコート入りする前に見つけたんだから」
と笑いながら大輔は言う。
「相変わらず自由ですね先輩ー。」


と、清川篠永ペアはそろそろここでコート入り。


そして案の定私たちを見つけた大宮くんは、ペアの桜井くんと一緒にやってくる。

「あれ、玲一さっき向こうにいたよ?」
なんて言ってくるのはおいといて。


「あ、大宮先輩負けてから萎え萎えですよ」
と笑いながら大宮くんの隣に立つ桜井くん。桜井晃斗くんは1年生で、中学は中央中出身だ。

「野田星翔にストレート負けは萎えるわ」
と大宮くんの言葉に、長島くんも乗る。
「元ペア対決は星翔の圧勝と聞いたけど」
「もーあいつ調子良すぎ」

何気に高校ではじめて当たったらしい、第二中時代の大宮野田。




と、いい時間になってしまった。これから私たちは野球応援のため、一旦この場を去らないといけない。

「これ多分決勝も見れないパターン。」
と長島くんは笑いながら言う。

ちなみに今現在はベスト16までが決まっている。試合の進みが早かった清川篠永と池村野田はベスト8まで決まっている。


長島くんと2人で掲示板の前へ向かうと、今回出ていないメンバーのうちの花田くんと玲一と長江くんと合流した。村井くんと千葉くんはもう既にここを出ているみたいだ。


「今回俺らいないから西星以外の学校も上がって来てるんだね」
と花田くんが言う。

確かに、結果を見ると西星、白浜、春日が同じくらいの数上がってきている。



「ま、俺らは結果待ちしますか」
と長島くんが切り上げ、私たちは一旦テニスコートを離れた。








野球応援で騒ぎまくった後、私と長島くんと玲一と一緒に急いでテニスコートへ向かった。丁度、表彰が終わったところみたいだ。
後から花田くんたちも付いてくる。


「おーい、俺優勝したんだよー?」
と、賞状とメダルを持ちながら川島先輩がやってきた。ってことは、永井川島ペアが優勝したということだ。

「え、おめでとうございます!」
「ありがとー。でも今回の入賞メンツ中々すごいよ」
「おー、どこだったんですか?」

と川島先輩と話していると、玲一が大輔のことをいつの間にか引き連れていた。

「七星ー、大輔こいつ準優勝らしいよー?」
と玲一がわりと大きな声で言ってくる。
「えー?!!すごい!!」

話を聞くと、中学の先輩である浅沼先輩のいる春日の菅沼浅沼ペアをストレートで下したみたい。白浜高校の清川篠永ペア。


「いや本当にえぐい後輩だわお前らー。」
と浅沼先輩も言っている。


「七星ちゃん写真お願いしていい?」
と川島先輩にお願いされる。永井川島と、菅沼浅沼ペアで撮ろうとしていたみたい。
「勿論です!」

先輩たちの写真の写り方、最初の1枚はちゃんと写ってたけど、それからみんなふざけていたり、川島先輩が浅沼先輩の髪の毛ひっぱったりなどのいたずらしてたり。



3年生の先輩方がこうしているのもあと少し。そして2年生、1年生は新たなスタートを切った人も沢山。久しぶりに大会を見に来たけど、とても活気の良くて、この感じが好きだなあ。

そしてもっと、みんなを応援したい。


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