11.学年別大会






夏休み入って数日経った。西星高校のソフトテニス部は県外遠征を終え、この日は学年別大会という大会がある。

県内の様々な高校が集まるが、インターハイの期間と被っているため星の里高校や北陽学園高校の選手はいない。そして学年別で区別ついているため、今まで組んでいた長島野川も今回は組めないため、長島くんは村井くんと、野川先輩は川岸先輩とペアだ。


3年生の部には、国体の県予選には出ないペアも多数出場している。白石工業高校の原口大倉や白松赤島、赤平大三高の松島大谷ペアなどもそうだ。


とそこに、私は声をかけられた。

「あ、西星の永沼ちゃん!」
と。見てみると、たしか…釜川高校の乾先輩。西支部大会の時にお話した先輩だ。


「乾先輩こんにちは!」
「おー覚えててくれたか。永沼ちゃんどこの試合見る?」
「まだ迷ってますけど、3年生中心に見たいなと。」
「おーじゃあ俺らの試合も目に入るかな?俺はまだ国体あるけど、こいつもう今日で終わりだから」

と乾先輩が横にいた人を指さす。顔を見て、すぐに誰だかわかった。

「あ、よく川島先輩から話聞きます!丸澤先輩ですか!」
「俺やっぱ西星から有名人じゃん、瑛太のせいで。正解だよ、俺瑛太と小学校一緒だったんだ」

川島先輩がよく仰っている、釜川高校の丸澤村澤ペアの丸澤翔先輩は小学生の時までこちらに住んでて、川島先輩や春日高校の菅沼先輩などと仲良かったみたい。


「おー、女の子ナンパしてる奴ここにいる」
と、川島先輩は言いながら、永井先輩とここへやってきた。

「なあドロー見た?俺の初戦の相手が菅沼浅沼で、もし勝てば2回戦で永井川島だよ」
と丸澤先輩が川島先輩に言っている。
「いやそれな、楽しみにしてるわ」

少し話して川島先輩は永井先輩と共にどこかへ行った。




3年生の部は出場数は少ない。2回戦勝てばベスト8が決まるくらいだ。
1年生の部もそこそこ、2年生の部はかなり多い。この学年別大会は今日は男子、明日は女子という日程だ。



まずは3年生の部を見ることに。
すると私は、声をかけられた。

「七星ちゃん、お久しぶり!」
やってきたのは、春日高校のマネージャーだった3年生のひかり先輩。鈴音先輩はバイトで来れなかったみたいだ。

「ひかり先輩!お久しぶりですー!」
「七星ちゃん1人?だったら一緒に行動しない?」
「1人です!是非!」

今回の大会、つぐみちゃんは大会本部のお手伝いに回っているので観戦も厳しいと言っていた。

「そっかー、私たち引退したからつぐみが受付の手伝い回ってるのか。」
「だから市内開催の大会で一緒に行動すること減ったんですよね…つぐみちゃんと」

今までは受付の仕事は春日高校のマネージャーのお二人がやっていた仕事なのだ。基本は春日高校の生徒がお手伝いをすることが多いが、人がいないと西星の女子マネージャーもところどころ使われるみたい。

「あ、でも春日の子も1人手伝いに回ってるんだ。顧問の原村先生のクラスの2年生の子で、南が丘中の時に軟式やってて、この前部活見学来たらしくて、もしかしからマネージャーになるかもしれないって噂」
「おお、それは良かったですね…!」
「テニス部もう全然マネージャー希望来ないから不安だったけどね、良かったわー。」



と話し、まずは3年生の部を見ることに。


「私さ、白木福永見たいんだよね。春見れてないし。あ、あそこだ!」
「あ、出てるんですか?」
「春日は3年生ペア4つ出ないといけなくて、あの二人乗り気じゃなかったけどほぼ強制的に。でも楽しそうだからいいけどさ」

春日高校の白木福永ペアの相手は北別地区のペア、原本野上ペア。原本さんは花野高校、野上さんは北野高校みたいだ。
地区高校部は春日高校が代表となっているので、3年生ペアも4ペア出さないといけなかったみたい。それこそ手伝いとかいう要因で。




「あの野上さんって、今年1位抜けで全中決まった北別向陽中の野上の兄ちゃんなんだって」

という声がチラッと聞こえた。近くにいた星華中ジャージの男の子2人がその話をしていた。



「もしかして、」
とひかり先輩はスマホを出し、全中予選の結果を調べた。

「これじゃない?白河野上ペア」
「そうですねー、ほんとだ1位…」
「しかもあの北野高校の野上くんって中学まで中藤くんと組んでて有名だったよ。わかる?星の里高校の」

もしかして、中藤森井ペアの中藤さんの。最近長島くんが仲良くなったとか言っていたな。その中藤さんの中学の相方というわけか。
後衛の原本さんも今年は西支部ダブルスで勝ち抜いて全国交流大会へ出ている。


春日高校ペアは2ゲームを取るも、この試合は北別ペアの勝利。白木福永ペアはこれで完全引退となる。


「あー、久々にこんなに動いた死にそう」
と福永先輩は喚いている。
「でも2日前から練習始めたわりにはなかなか良かったじゃん」
ひかり先輩も笑いながら言う。
「傍から見たらただのバカだよな俺ら」




と、隣のコートでは西星高校の川岸野川ペア、その隣では滝下金井ペアが試合をしていた。滝下金井ペアの相手は白石工業高校の白松赤島ペアだった。

学年別となると長島くんとは一緒に出れない野川先輩、今回はわりと息ピッタリな川岸先輩と。そんなこのペアの相手は北別南野高校の橋下中村ペア。選抜予選や西支部ダブルスで見たペアだ。



「いつも思うけど野川くんってえぐいしか思えない」
と隣でひかり先輩が言う。

「凄いですよね。」
「あの人後衛やってた時全然攻めるようなプレーじゃなかったって悠真言ってたし、でも今はあれだもんね。」

野川先輩の中学時代のペアの浅沼先輩は春日高校。中学のときの野川先輩のことを1番知り尽くしている人なのだろう。


橋下中村ペアも西支部で3位に入っただけあり、中々良い試合展開になっているが、本日絶好調な野川先輩が最後に決め、川岸野川ペアの勝利となった。



3年生の部は参加数も少ない上に試合の進みも早い。一旦この場を離れ、1年生の部を行くことにした。ひかり先輩は3年生の部をずっと見てるというので一旦お別れ。




1年生、西星高校の後輩は話すようにはなったけど、他の学校は全然わからない。だから結構楽しみな部分もある。

1年生の部も参加数はそこそこしかいない。特に多いのは2年生の部だ。




見てみると、西星高校の菊山竹原ペアが試合をしていた。1年生は前衛率が高めだ。


「七星先輩、いいところに!」
と声をかけてきたのは長江くんだった。隣にはペアの千葉くんもいる。この2人は勝ち抜いているみたい。

「涼平たちの相手、白石工業の古川菅原ペアなんですけど、菅原って奴、個人で全中出た西陵中の三宅菅原ペアの菅原なんですよ。」
と長江くんは説明してくれた。全国大会経験もある長江くんもこの西陵中ペアとは会ったら話す程度の仲だったという。というか昨年の全中では長江くんたち南ヶ丘中と一緒に行動していたという。


「へー。てことは白石工業に強い子入ったんだね。」
「白工はわりと全国経験者ちらほら揃ってますからね。2年生の馬田さんも小学生の時玲一先輩たちに勝って全小決めてるし。3年生の原口大倉ペアも緑陽西中で団体出てますからね。」


白石工業ペアはどちらかというと菅原くんが攻める。でも古川くんも小柄な体格ながらすばやい動きで守りに入る。



「あれ、そういえば三宅ってどこ入ったの?」
と千葉くんが長江くんに聞いた。
「光葉台だったはず。だから今日は出てないけど。緑陽の地区大会でいきなり優勝したとか言ってた」
「へー。三宅菅原二人ともまさかの公立なのか。にしても長江よくそんなこと知ってるな」
「ご本人と縁がありまして」

その、三宅くんとは今でもやり取りしているという長江くん。

今回、隙が多く見えた菊山竹原ペアはそのままストレートで敗退。にしても今年の白石工業に、すごい1年生入ってきたな。


「やっぱ菅原エグい」
と言いながら菊山くんはやってきた。そこに長江くんも返す。
「ストレートで負けたなお前ら」
「いやあの人まじで、予想以上にえぐい」
どうやら菊山くんは菅原くんと当たったのは初めてらしい。

「っていうけど三宅もえぐいからなー。」
と隣にいた千葉くんが言う。
「緑陽西陵の三宅菅原って何者なんだろうほんとに…」
呟くように竹原くんが言った。



「七星先輩、今度機会あったら光葉台高校の三宅も見てみてください。あの人はえぐい後衛です。それと三宅が組んでる先輩も緑陽西中だった2年生の柴野さんという人なので。」
と長江くんに言われる。

「確かに、ここまで聞いてみたら見てみたい。」

聞くと、来週の国体予選も出るみたいなので、機会があったら見てみたいと思う。




時間は昼を過ぎていて、1年生の部はベスト8までが決まった。西星高校からも、長江千葉ペアと、三原白津ペアが残っている。片山桜井ペアは、西の森産業のペアに敗退し、審判をしているところだ。



おっとあぶない、気づいたら3年生の部は準決勝まで進んでいた。試合の進みが早いんだった、3年生。


3年生の部が行われているところへ戻ると、私のことを見つけた川島先輩がやってきた。

「春太たちだけだよ、西星残ってるの。川岸野川は今は緑陽南の岡上群山とやってて、もうひとつは俺も負けた釜川高の丸澤乾と赤平大三の松島大谷がやってるところ」

と先輩は教えてくれた。いや、メンツが濃すぎにも程がある…。

「もうちょっと早くこれば、松島大谷と北戸野本のやばすきる打ち合い見れてたよー」
と北内先輩にも言われた。それは、見ればよかった……、というか、目が足りない、体が足りない、本当は見たいところ沢山だ。



松島大谷ペア、噂には聞いていたがちゃんと見るのははじめて。何だかんだ見る機会はなかっただろう。

そして野本先輩は今回、無理を言ってまで北戸先輩と組ませてもらったらしい。北戸先輩はもう試合出ないと主張してたが、今回は出るみたいだ。南聖中の北戸野本ペア、高校で最初で最後の登場だったのだ。野本先輩、国体予選は組む人がいなくて出ないみたいだが。




川島先輩は、釜川高校ペアの試合をスマホで撮影しようとしていた。

「これ、丸澤翔の彼女のスマホ」
と川島先輩は言う。自分は試合を見ていたいからと川島先輩がお願いされたらしい。



準決勝は松島大谷がストレートで、川岸野川がファイナルゲームの末勝利。決勝はここが当たるのか。




「何だかんだ松島大谷とは当たったことないんだよな」
なんて野川先輩は言う。

「たしかに、西星とも滅多に当たってるイメージがないというか、赤平大三。」
「そういえばねー。まあ、頑張ってくるわ」
「頑張ってください!」


川岸先輩がこちらに戻ってきたところで、野川先輩たちはコートへと入る。






松島大谷ペアは2人とも後衛選手。1年生の頃からダブル後衛ペアで、一時は前衛の後輩と組んでいたこともあったみたい。赤平大三高校は3年生が少なく、その3年生もほぼ後衛なのだとか。県内私立男子4強に入るこの学校、南春日市では近年ずっとトップに立っている。


「やばーい!この組み合わせはやばいって!」
途中で再度合流したひかり先輩も興奮している。


そしてこちらは今日一段と絶好調な野川先輩もいる。野川先輩は普段からとても凄いことをこなしてるが、今日は一段と。そしてとても笑顔。川岸先輩も野川先輩も、試合中は笑顔が耐えない。


最初は西星ペアが1ゲーム先取し、その後に2ゲームを続けて取られるも2ゲーム分を取り返した西星ペア。何しろ、とても面白い展開が沢山起きている。

野川先輩の得意なボレーも簡単には決めさせてくれない赤平大三高ペア。ダブル後衛とはいえ、前に出て攻めたりなどもしている。


やはり3年生の部の決勝。打ち合いを見ているだけでも凄い。松島さんと川岸先輩の打ち合いが少し続いたが、えげつない。




結果は2ーCで川岸野川ペアが勝利。このまま優勝を飾る。



「やばいもの見ちゃった……。なんでほぼ後衛なのにあんなに迫力あるプレーできるの…」
ひかり先輩は言っている。たしかひかり先輩も現役時代は後衛だったっけ。



3年生の部が終わったので、2年生の部を見ることに。



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