12.学年別大会2




時間は15時になろうとしている。そして私は2年生の部が行われている方へ行く。参加数も多いため、3年生の部が終わった今でもベスト8を決めたところだ。既に準々決勝へ入っているところもあるが。


西星の福島花田ペアは、北春日にある丘野高校の及川天野ペアと試合中だ。及川天野ペアは1年生の時から北春日地区で入賞し続けているペアらしい。そしてたしか、中学も同じで県大会もよく出ていたはずだ。



1人でいると、声をかけられる。既に敗退していた大宮くんと藤木くんだった。

「お、彼氏の試合を見る彼女の図」
「大宮くんいつもうるさい」
「すいやせん」

大宮くんはすぐ煽ってくるな。


「てか2人はどこに負けたの?」
と私は聞いた。この2人は今回はペアだ。

「西の森産業の矢野大場に負けて16。面白いことに向こうもダブル後衛」
と答えてくれた藤木くん。
「そっか大宮くんと藤木くんも後衛だもんね」
「中々経験ないからある意味楽しかったけどね」

学年別となると、後衛が多くなる2年生。1年生は逆に前衛が多くなるが、この際仕方ないことだ。


「及川天野って強いって聞いたことあるけど、2年だったんだなって思った。つーか及川くんと玲一のラリーえげつない」
と藤木くんが言い、続けて大宮くんも
「でもたしかに玲一とプレー似てるかも、及川くん。」
と言った。


この試合は福島花田ペアの勝利。西星エースの意地を見せた。さすが、前の県大会で緑陽南の3年エースを下してベスト16入りしたペアだ。



「せんぱーい、今1年の部決勝始まるんですけど、千葉たち負けました」
と、藤木くんの元へやってくるのは片山くん、とついてきた桜井くん。


「まじで?どこに?」
「西の森産業の木戸大菅です」
「産業かー。決勝はどこ?」
「北別花野の江川石井です。白工の古川菅原に勝ってました」
「んで長江と千葉は今は?」
「審判なうです」
「あー、なるほど」

藤木くんと片山くんが話している中、桜井くんが私のところへやってきた。


「2年生今どうですか?」
「今玲一たちが勝って、多分隣にいた矢野大場も勝ってると思う。長島くんたちはまだやってるっぽい?」
「おー、ありがとうございます。長島先輩のほう行きます?」
「行く!」

と話していると

「あ、俺も!」
と乗ってくる藤木くん。


「んじゃ俺玲一のとこいるわー。」
と大宮くんと片山くんはこの場に残ることになったみたい。私は長島くんたちを途中まで見てから玲一のとこを見よう。



長島村井が試合をしているコート付近に着くと、試合を見ていた新田くんと、コーチの平さんがいた。

「今泰聖たちマッチだよー」

と、聞く前に教えてくれた新田くん。

「相手どこ?」
と藤木くんは聞く。
「緑陽栄の松下関ペア」
「おっけー。」

緑陽栄高校はここ数年も緑陽地区でも上にいる学校だ。今年の3年生にも強いペアがいて、東支部ダブルスでベスト16だったっけ。

なんとか長島村井ペアが残り、準決勝進出を決めた。




とここで藤木くんが、知り合いを見つけたようだ。

「わ、安藤じゃん。」

背の高い男の子だ。ゼッケンをみると、白石工業高校だ。

「わ、ってなんだよ。」
「ビビったもん、てか今日お前いたんだ」
「俺実はまだ勝ち進んでまーす。」
「嘘だろ、次どこと?」
「長島村井」
「あ、まじ?つーかお前泰聖と当たってみたいって言ってたよね」
「そう、だからボコボコにされてくるわ」
「いってらー」


藤木くんが話しに行ったあと、戻ってきた時に、

「あれ、白石工業の2年生の安藤怜央ってやつ。1年からレギュラー入ってる奴」
と説明をされた。

白石工業の馬田安藤ペア、1年の時からレギュラー入りしていて県大会でもそこそこ勝ち進んでいるから名前は聞いた事ある。
玲一が言うには、馬田くんは小学生の途中まで南市の釜川にいて、転校した後には釜川の時の仲間と組んだ小学生の大会で全国出たと聞いたな。たしかその全国掛けで馬田くんたちに負けたのが玲一だったとか。



「俺と安藤は母親同士が仲良くて小さい頃とか遊んでたけど、うちの親離婚してからはそんな機会もなくなって、でも中学の時に県大会で俺達が再会したおかげで今も仲良い感じかな。」
と藤木くんが言う。たしか藤木くんは親が離婚したのが中学1年の時の話で、今は父親側なんだっけ。




馬田安藤と長島村井の試合が始まると、途端に人が集まりだした。と思えば、野川先輩たちだった。


「なんか泰聖の試合遠目から見るの慣れない」
なんて野川先輩は言っているが。

「ん?マネージャーさん?」
と川岸先輩の隣にいた人に声をかけられた。

「マネージャーではないけど、よく大会とか見に来てくれる子。七星ちゃんって言うんだけど」
と川岸先輩は私のことを紹介した。
「なるほど。」


「あ、この人たち白石工業の3年生で大倉渉太と、こっちが原口涼吾くん。赤島一兎くんと、白松風斗くん。……であってるよね?」
川岸先輩は不安になりながらも紹介をした。なるほど、白石工業の。それで集まっていたんだ。

少し話したあと、白石工業の3年生のみなさんは白石工業の他の選手のいるところへ戻った。というか白石工業の人達と関わりありすぎでしょうみなさん。


実は馬田安藤ペアは今まで見逃していたペアだったので見るのは初めて。馬田くんも玲一の言っていただけある選手だと思う。上手い。安藤くんは身長が高く、高い位置からも楽々とボレーを打つ。それ言っちゃ、西星の村井くんもそうだ。

そういえば村井くんは、この1年で身長がかなり伸びたと思う。野川先輩の身長も越したみたいだし。




と、私は長島村井の試合を後にし、福島花田ペアのところを見る。とはいえ、隣のコートなんだけど。

相手は西の森産業高校のダブル後衛ペアで先程藤木くんたちも負けたと言っていた矢野大場ペアだ。1年の時から強い先輩と組んでレギュラー入りしているようだ。


近くには大宮くんや片山くんたちがいる。近くに行くと、

「玲一先輩たち今負けてますよ」
と片山くんに言われる。

流石は西の森産業高校のエースコンビ。西星高校相手でもそう簡単に負けやしない。そして、お互い好プレーを見せる試合。


結果、福島花田ペアは負けてしまった。でもギリギリまで追い詰めていて、とても良い展開の試合だった。



途中からやってきた千葉くんが、終わったあとに私たちに情報を提供してくれた。

「1年生の部の優勝も西の森産業ですよ。木戸大菅ペア。俺達も準決で負けましたー。」

やっぱり西の森産業高校、強い。今後西星高校も苦戦する相手に違いない。既に先輩方も負けているわけだし。




というわけで2年生の部決勝は、長島村井ペアと矢野大場ペアになる。


残る試合はここのみなので、保護者はもちろん、1年生と3年生も含めて沢山の観客がいる。決勝のこういう雰囲気が好きだなあ。


でも流石、西星のエース長島くんと、キャプテン村井くん。この2人は西星の中でも精神面ではとても安定しているみたいだ。



村井くんの素早いボレーで先攻し、そのまま勢い付いて長島村井が2ゲームを先取。


「西の森って県内で唯一少年団のない地域だからほぼ中学からだと思うんだけど、それでもジュニアからの強者と張り合ってるんだよね毎年」

と永井先輩が言う。確かに、聞いたことない。バイトの時に太田先輩も中学で始めたって言っていたような。

「確かに、最近は第一高校からインハイ出たり、産業高校も強いですからね。」
「まあ、ジュニアからやってても高校からでも結局は努力次第なんだけどね。でも西の森地区はすごいよね。」
「確かにそうですね。」


更には公立高校だらけの西の森地区は激戦区と呼ばれ、強い学校が年によって変わったりしているのだ。



長島くんは相変わらずミスが少ない。村井くんが空振りしても相手が色んなところへ打ってもすぐにボールに食らいつく。クラスでもかなり運動神経の良い人だ。

村井くんも身長の高さを生かしている。相手はどちらも後衛の上に、二人とも背はそこまで高くない。圧倒的に存在感がある。



矢野大場ペアはその後1ゲームを取るも、大躍進の長島村井ペアが勝利した。



「にしても泰聖やっぱえぐ。同じ学校で良かった第1位だわ」
と川岸先輩は言う。







閉会式の後は、ひたすら写真撮影会。他校の人とも交流できる数少ない時間だ。


長島くんたちと玲一たちの賞状を持った姿の集合写真を撮った時に、長島くんのところに声がかかった。


「すいません、白石工業の安藤なんですけど、良ければ写真良いです?」

白石工業の安藤くん、そして後ろには馬田くんも着いてきていた。


「うーわ安藤怜央が来た」
と案の定藤木くんも来る。
「柊弥は呼んでない」
「分かってるよ。七星カメラマン、こいつと泰聖のツーショット撮ってあげて」

と、不意に私に話をかけられる。

「あー、さっき大倉先輩たちから少し噂聞いてました。2年生だっけ?」
と安藤くんにも話しかけられる。
「そうです。馬田安藤ペアとてもすごかったです。」
「だってよ馬田。女の子が褒めてくれたよー??」

玲一と話していた馬田くんを呼ぶ安藤くん。


「多分今後も県大会とか行くみたいだから、今のうちに仲良くなっといたら?」
と玲一は馬田くんに言う。

「え、でも玲一、お前の彼女なんでしょ?」
「今そういうのはいいから!他校とかも関係なしにいい写真撮ってくれるよ。」

どうやら馬田くんには私と玲一が付き合ってることは知られていたみたいだが、まあいいか。


とりあえず、安藤くんは長島くんに話しかけに来ていたので、2人の写真を担当した。と、その流れで馬田くんも玲一と写真を撮りたいとのことで、写真を撮った。


「馬田と小学生の時から大会とかで話してるけど写真撮ったのほぼ初じゃね?」
「練習試合の時一番話してたの玲一だったよなー。」

「馬田、俺の事も忘れないでね」
2人のところに長島くんも入ってくる。
「泰聖はもう未知の世界にいるから違う」
「なにそれ」


玲一や長島くんのいた少年団は、馬田くんのいた少年団と練習試合を数回組んだことがあるみたい。ましてや玲一にとっては小学生の時の忘れられない相手だし。



久しぶりに朝から最後まで試合を見た。疲れてないと言ったら嘘になるけど、その分凄かったし、楽しかった。

さあ、3年生の先輩の完全引退まであと少し。寂しいけど、最後まで応援していきたい。最後の県大会は見に行けないんだけども、引退試合は見に行くつもりだ。

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