4.新人戦県大会2
ほとんどが3回戦に突入し、お昼もとっくに過ぎている。そういえば昼食を持ってきていないと気づき、コンビニで買って食べて、戻ってきたところ。いつもは持って行ってるのに、なんで忘れていたのか。浮かれすぎたのか。
さすが県大会、初戦から白熱の試合が止まらない。
テニスコートへ戻ったところで、先程敗退した1年生、長江くんと千葉くんと合流した。
「二人とも、俺らの負け試合じっくり見てましたね」
と長江くんに言われる。
「いやでも、良い試合展開だったよ?」
私は長江くんたちに言った。
「序盤楽しかったけど、後半やられましたわ。まあ菅原とできたし楽しかったからいいです。」
ここで、今回シングルスのみ出場の桜井くんとも合流。桜井くんは今までは長島くんたちと行動を共にしていたみたいだ。
「2年生2ペアは順調に勝って、これから長島村井ペアが3回戦入ります。だから俺今1人なんですけど。」
と桜井くんは教えてくれた。
長島村井ペアの2回戦の相手は、北春日東陽高校の2年生、谷端関根ペア。ストレートで勝利したみたいだ。
と、長島村井ペアの3回戦が行われるコートへ向かうと、その前の試合が行われている。
県内有数の進学校、緑陽東高校の滝川滝口ペアと、北陽学園の1年、立原日比谷ペアが試合をしていた。
「緑陽東の前衛めっちゃ攻めますね…」
と千葉くんが言う。
「しかも緑陽東なんて進学校で。いつ勉強してんの」
つぐみちゃんも続けて言う。
実際に、公立の強豪の中でも頭の良い学校は多数ある。というか、どの地区も頭良い学校は結構ソフトテニスが盛んだったり。
さくら市内で言うと、南陵高校とかね。
あとは北別北野高校、釜川高校、北春日東陽高校、北春日西高校、西の森第一高校とかかな。あと緑陽南高校も県内トップを誇るが、今は強い上に、3年生のエース、岡上群山ペアもそうだ。強くて頭良くて、すごい。
そういえば全中に出た長江くんたちの代の南が丘中も、レギュラー大半が中学でも学年トップの成績だったらしい。長江くんも特進科の人だし、元々は南陵高校目指してたらしいし、すごいよね。
私は中の下…ぐらいだったな。中学の時は。
「にしてもえぐ…」
桜井くんが呟くように言う。
「相手が相手なだけにあそこまで連続でポーチ決めるのはすごい。しかも綺麗」
千葉くんも続けて言う。
そう、滝口くんは連続でポーチを決めていた。周りからも歓声が止まらない。
そのまま緑陽東高校ペアが北陽学園ペア相手に圧勝した。いや、凄いものを見た。
……それからの、長島村井ペアの出番だ。相手は西の森産業高校の小山田北條ペア。今や西の森地区といえばのペア。
長島くんといえば、最近学校でも元気無さそうだった。大会近いから心配していたけど、というか今日も若干普段の大会よりは元気無さげだけど、ペアの村井くんがフォローをかける。
「最近の泰聖何があったのか知らんけどいつもと違うから心配してたけど。この調子じゃ心配はなさそうかな」
とつぐみちゃんが言う。
「長島先輩、彼女さんと大喧嘩してからそのままらしいですよ」
と長江くんは言う。どうやら行く時にバスの中で長島くんが皆に言ったらしい。
そっかなるほど、だから最近。
教室でも1人でずっとイライラしている様子だったし。でも何があったのか分からなかった。長島くんの友人が聞いても長島くんは何も答えなかったから。そういう人だ。長島くんが悩みを相談するところとか見たことない。
元気は無さそうだけど、いつも通りなのでひとまず安心だ。
学年別大会にもこの小山田北條ペアは出場していたが、見るタイミングが掴めなかったまま敗退してしまっていた。
このペアも西の森産業高校の中でも先輩がいる時からレギュラーに入っていて団体戦にも出ていたペアみたいだ。
長島くんの調子もどんどん良くなっていき、最初は接戦だったが後半は主に長島くんが決めて西星ペアの勝利となった。
「どうなるかと思ったわ…最初」
つぐみちゃんも最初はハラハラしていたみたい。最初の長島くんは、飛ばしすぎていた。最近の部活でもこんな感じだったらしいが。
「あれ、長江どこ行った?」
つぐみちゃんが1年生2人にに聞く。
試合に夢中になってたら、いつの間にか長江くんがこの場にいなかった。
「あ、南が丘中メンツ揃ってるから一瞬だけ抜けるって言われました」
と千葉くんが答える。
「あ、なるほど。急にいなくなってたからびびったわ」
どうやら長江くん、今日、中学の団体メンバーがほぼ揃っているということで、会うのを楽しみにしていたみたい。星の里高校の小松くんに拉致られたらしく、そこから少しの間こちらを抜けると言われたみたいだ。
一方福島花田ペアはというと、西の森光陽高校の2年生ペア、笹井倉橋ペアとの試合中だった。
1年生の時はお互い先輩と組んでいたが、2年生になってからペアを組むようになった2人。元々仲の良かった2人ではあったが、ペアを組むようになってからは、より仲良くなったのではないかなと思う。
というか2年生は基本仲良い気がする。喧嘩ごととか、あまり聞かないかも。
相手は西の森地区でも産業高校とも張り合っているようなペアだ。技術もあり、好プレーを見せる。でも福島花田ペアが紙一重。この2人も、どんどん強くなっていくなぁ。
それでも西の森光陽の前衛の倉橋くんも、パワーのある前衛だ。チャンスをしっかり掴み、決めている。
福島花田は中盤に1セットを落とすも、順調にプレーが進み、勝利を掴む。ベスト16入りも決まった。
「これで2ペアがベスト16か…」
先程長島くんたちも勝利してベスト16に入っているので。
試合は少し進み、長島村井ペアは先程の緑陽東高校のペアをストレートで下し、ベスト8進出を決めた。さ、流石すぎる。
そして今は福島花田ペアが、北陽学園の夏原浦川ペアとの試合に入っている。
相手の夏原くんは1年生、浦川くんは2年生のペア。インターハイにも出場し、夏原くんは今の高校1年生世代の県大会では数々のタイトルを飾ってきた選手らしい。
序盤は攻められつつも、西星ペアも粘る。北陽の注目ペア相手だが、流石のこの2人。ファイナルゲームに持ち越した。
「お!頑張れ!!」
と私も声に出す。思わず手を握らせてしまう。
玲一は野本先輩と組んでいた時からの前評判の高い後衛選手。花田くんも1年生からレギュラーとして活躍していただけある実力だが、強豪相手に良い試合している。
二人とも、元気。まあ、騒ぎすぎたらうるさいけど、なんて思ったのは秘密で。
あと一歩、のところまで来たが、福島花田ペアは敗退。 とっても惜しかった。
その後準々決勝に進んだ長島村井ペアも、星の里高校2年生の平松志村ペアに1セット取ったものの敗退。これで西星ペアは全て敗退したが、それにしても今回は、頑張ったなと思う。
「あ、おつかれ」
と私は玲一に声をかけた。
「ありがと。」
と言って、玲一は近くにやってきた。
「最後完全に集中力切れたわ」
「なんか最後の方結構飛ばしてたね」
「見られてたかー。」
先程の北陽ペア戦の最後、玲一は連続でアウトを決めていた。それも、飛ばしすぎたり。変な方向行ったり。
話していると、
「そこイチャイチャしなーい」
と花田くんに急に突っ込まれる。
「出ました、非リアの恨み」
その様子を見た千葉くんが、花田くんを笑いながら言う。
「千葉いっぺん死ね」
「わーー、こわいーーー」
時は進み、この大会のダブルスの優勝は、星の里高校の平松志村ペアだった。やはり今年も星の里高校は、強いんだな。
ダブルス全試合が終わり、1日目は終わった。明日はシングルス。
帰り際、つぐみちゃんと話していると、
「てかつぐみお前、明日部活だけど行くの?」
と、近くにいた池田先生からつぐみちゃんへ声がかけられた。
「行くのでこれから帰りますけど…。あ、七星ちゃんは明日もいます」
「あ、了解。いや、宏斗たちに連絡事項あるから伝えて欲しいなって」
「わかりました。」
と、つぐみちゃんと池田先生はやり取りしている。
「てか七星ちゃん明日もいるのにつぐみ1人で帰るんかい」
と池田先生は少々時間差のあるツッコミを入れた。
「いや先生、それ私に部活サボれって言ってます??それなら喜んで明日もここ来ますけど」
「そんなことは言ってない。不真面目マネージャーが。」
「うっわ……。ひどい顧問だ。」
まだ20代の池田先生のノリは面白く、部員との会話を聞くだけでも楽しい。つぐみちゃんとの会話もいつも面白いのだ。
つぐみちゃんとはここでお別れし、1人でホテルに向かう。ちょっと寂しいけど、明日はつぐみちゃんの分も楽しもう。
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