軽くお酒を飲んでほんのり酔っ払って、帰り道は二人で笑い合いながら歩いてきた。家に入り玄関のドアが閉められたと思えば、気付いたときには肩に担がれていた。先輩は私の背中をトントンと楽しげに叩きながら、ズンズンと足早に寝室へと向かっている。

 ベッドの上に、ぽいっと落とされる。弾みで体が少し宙に浮く。飛びかかるように先輩が覆い被さってきて、ちゅ、と唇にキスをされた。一度じゃ終わらず、何度も何度も。

「これから何するか分かる?」
「わかんないです」

 瞳に楽しそうな色を宿しながら先輩が問いかける。もちろん答えは分かっているけれど、わざと分からないふりをした。
 もう一度顔が近付いてきて、今度は舌が触れる深いキスをした。唇が濡れる。だんだんと息が上がってくる。早くも気持ちの良さを感じてくる。

「もう分かった?」
「まだ分かんないです」

 艶めいた色が加わり始めた瞳に問いかけられる。今度もまた知らないふりをした。先輩もそれを楽しんでいるのか、ふっと目が優しく細められる。
 耳元に、首筋に。唇が触れる、舌が触れる。私は先輩の頭を軽く抱きしめる。気持ちが良くて、荒い息の合間に声が漏れた。

「さすがに分かった?」

 首元から顔を上げて、こちらを覗き込んだ先輩が再度問いかける。私は先輩をじっと見つめる。しばし視線が交わる。私は無言の時を終わらせるために口を開いた。

「えっちなこと」
「正解」

 楽しそうに笑いながら、よくできましたと言わんばかりにキスをくれた。それから先輩はまた首元に顔を埋めて、隙間なんて無くさせるかのように、キスをする、舐める、またキスをする。そんなことを繰り返した。気持ちいいけれど、どこかくすぐったさもあって色情に染まった声の合間に笑い声が出てくる。先輩も時おり楽しそうに笑っていた。

 しばらくして、先輩が体を起こして素肌を顕にした。私も体を起こしてTシャツを脱ぐ。下着も脱ごうと手を背中に回そうとすると、先輩の手がすでに回っていてホックを外された。それから先輩は左肩のストラップに人差し指を引っ掛けて、こちらの反応を伺いながら、焦らすようにゆっくりとずらしていく。

「ふふっ」

 なぜだかちょっと可笑しくて、思わず笑ってしまった。それが面白くなかったのか、少しムッとした顔の先輩にブラジャーの真ん中を掴まれて、結局一息に脱がされた。
 ぐっと肩に体重をかけられて、頭が枕に沈む。首にキスが降ってくる。今度は首元だけじゃない。鎖骨へと下っていって、やがて胸にまで到達した。
 右胸の外側から徐々に内側に移動するように唇と舌が触れていく。胸の頂に近付くにつれて期待が高まるが、するりと避けられてしまった。物足りなさがじわりと溜まる。そのまま左胸も同じように内側から外側へと肌を吸われたり、舐められたりしていったが、やはり中心には構ってもらえない。

「先輩」
「ん?どうした?」

 私のもどかしさは先輩も分かっているはずなのにしらばっくれる。けれど、自分で言葉にするのはやっぱり少し恥ずかしくて、視線だけで訴えてみた。辛抱強く見つめていると、先輩も折れたのか、笑い声と返事をくれた。

「ははっ、分かったよ」

 その言葉を聞いて、浅ましいけれど期待で胸が膨らむ。
 胸の先端に唇が降りてきた。軽く吸われて、舐められて。体がビクンと跳ねて、声が出る。たまらずに先輩の髪を握り込む。

「っあ、ふっ、」

 先輩はそんなことは気にしたふうもなく、唇で愛撫を続ける。気持ちが良い。快感から目尻に涙が滲み始める。体が勝手にビクッと震える。けれども、これからもっと気持ちよくなれることを知っている。もっと気持ちよくなりたかった。

 胸へのキスをやめた先輩が、一度こちらを覗き込む。荒々しく私を飲み込んでしまいそうな目に覗かれる。けれど、近付いてきて私に触れた唇はとても優しかった。

 それから、胸より下、お腹の方へと唇は進んでゆく。ぐりぐりと臍を舐められて、変な感じがした。ショートパンツに手がかかって軽く腰を浮かせると、そのままするりと脱がされる。すぐに先輩も服を脱ぎ去ったようだった。
 唇はさらに下っていき、内ももにキスをされて、舐められる。膝のあたりから徐々に中心へと向かっていって、とうとう真ん中へ辿り着いてしまった。ドキドキが止まらない。入り口の存在を確かめるように、2度舐め上げられてから、その上の敏感な部分に唇が吸い付いた。

「う、あっ、」

 気持ちよくて腰が跳ねる。優しく吸われたり、唇で挟んで舌で舐められたり。いつもみたいに指でされる以上に気持ちがいい。逃げ場のない快感がどんどん溜まっていく。涙がぽろりと零れる。ちゅ、ちゅ、と吸われると高い声が出る。びくびくと体を震わせながら、快感がぐっと一気に高まる。

「はぁっ、あっ、ぁ」

 気持ちいいが全身に弾けた。整わない呼吸で必死に息をする。先輩は一度顔を離して、宥めるように何度か腰を撫でた。絶頂の余韻がまだ残る中、先輩の顔が再び股の間に向かっていって、入り口をなぞるように舐められた。舌が離れて代わりに指が入ってくる。
 中はすっかり濡れていて、すんなりと指を受け入れる。時折、ちゅぷ、と軽い音を立てながら中を慣らすように指が出し入れされた。それと同時に再び敏感な部分に唇が吸い付く。中を擦られて、吸われて、舐められて、ゾクゾクと強い快感が体を支配する。気持ちいい。気持ちいい。こわい。ガクガクと体は震える。涙も声も止まらない。気持ちよすぎて怖い。

「せんぱい、だめっ」

 どうにか言葉を絞り出す。静止の言葉を聞いて、先輩はすぐに指を抜いて、顔を上げた。顔を覗き込むように私に覆い被さる。荒い息でぽろぽろと涙を零す私を見て、先輩は申し訳なさそうな顔をした。

「ごめん、やりすぎた」

 謝罪の言葉と共に、鼻の頭にキスをされる。私のおでこの髪をかき上げて、額にもキスをくれる。
 ある程度、私が落ち着くのを見計らって、先輩は再び指を中に入れた。今度は、頬に、額に、たくさんのキスをくれる。先ほどよりも緩やかな気持ち良さが体を包む。

「ふ、うっ、」

 中を探っていた指がゆっくりと抜かれて、先輩自身があてがわれた。ゆっくり中に入ってくる。奥を押し上げるようにして全部入りきったようで、私の中はいっぱいだ。先輩は優しく私を見つめる。そしてまた鼻の頭にキスをしてから、ゆったりと動き出した。合間には首を舐めたり、耳にキスをされたりする。穏やかではあるが、いつもより気持ちいいが大きい。

 だんだんとペースが上がってくる。二人の呼吸も乱れて、快感が押し上げられてくる。中も奥も気持ちいい。キスされる首も気持ちいい。先輩が触れるところすべてが気持ちよくて、あっという間に限界まで持っていかれてしまった。先輩も達したのか、荒い呼吸を整えている。私の中で暴れていたそれが、ずずっと抜かれる。
 先輩は、凪のように穏やかで落ち着いた優しい瞳で私を見ている。おでこに、鼻に、頬に、顔中にたくさんのキスが降ってくる。

「くちびるにもください」
「オーケー」

 先輩を見上げながら零したちょっとしたおねだりは、すぐに快諾される。何度目かも分からない、先輩の顔が近付いてきて、ちゅっと唇にキスをくれた。