飲みに行ったナナシを迎えに行ったあと、そのまま寝室まで手を引いて、ベッドに座らせた。頭の後ろに手を添えて、眠そうな彼女に何度もキスをする。相変わらず今の彼女とのキスは酒の匂いがした。
 左耳にキスをして、舐めて。首筋に吸い付いて、舐めて、またキスをして。空気はどんどん色を帯びたものになっていく。

「ん、はぁ…」

 彼女の呼吸を聞いて、気持ちは更に盛り上がっていった。背中を、脇腹を、ゆっくり撫ぜながら首元へ顔を埋めて愛撫を続ける。

「先輩まって」
「ん?」
「トイレ行きたい」

 唖然とした。が、行きたくなってしまったものは仕方ない。大きなため息をつきながら、行ってこい、と送り出す。
 せっかくの空気が台無しだ。髪をかきあげながら項垂れて、もう一度ため息をついた。


 しばらくしてナナシは少し中身の減ったペットボトルを手に寝室に戻ってきた。水を一口飲んで、ベッドサイドのテーブルに置く。
 それから、恥ずかしがる様子もなく、Tシャツを脱いで下着も外す。滑らかな素肌を見て、ようやく続きができそうだと、ほくほくした気持ちになったのも束の間、ナナシはベッドに放り投げられていた部屋着のTシャツを手に取った。

「おいちょっと待て、なんで服着るんだよ」
「だって眠い……」

 両腕を袖に通した状態で、酔っ払って眠そうな目と声でそんなことを言ってのける。それには思わず呆れてしまった。

「トイレ行く前、何してたか覚えてねぇの?」
「覚えてますけど……眠いです」

 寝かせてやりたい気持ちも無いわけではないが、ジェイミーとのやり取りに納得したわけではない。少なからず嫉妬心すら抱いていた。だからだろうか、今は彼女に触れたくて仕方なかった。

「もうちょっと寝るの我慢できるか?」
「んー……」

 否定を表す言葉が返ってきそうだった。そうなる前に両肩を掴みキスをして、再びベッドの上へと招き入れる。それからはさっきと同じ、耳、首筋、鎖骨。舌と唇で撫でていく。空気は再び色に染まる。こうなれば、今度こそこっちのものだ。
 腕に引っかかっていたTシャツを抜き取り放り投げた。深く口付ければ甘い声が上がる。太ももを撫で、背中に手を添えてゆっくり押し倒す。彼女の呼吸は艶めいている。

 自分も上着を脱ぎ捨て、彼女に跨った。優しく胸に触れて、幾度かそうっと力を込めれば、気持ち良さそうな吐息が溢れる。
 手のひらは双丘に触れたまま、親指で先端を撫ぜる。詰まった息とともに体がびくんと震える。固くなってゆくそこを幾度も撫でれば、ナナシの呼吸はどんどん荒くなっていった。

「っは、ぁ、あっ、」

 固くなったそこにキスをして、軽く吸い上げる。一際大きな声が出て、髪を握りこまれた。吸ったり舐めたりしていると、それに合わせてかわいらしい声が奏でられる。口は放さないままに、腹から脚へと手を這わせると、高い声と共に再び体を震わせた。
 顔を上げて彼女の様子を伺う。目は涙で潤んでいて、薄く開いた口からは忙しなく呼気が漏れている。酔っているせいで、いつも以上に赤い頬。色気に満ちた表情だった。額と唇にそれぞれキスを落とし、彼女の脚を開かせ間に自分の体をねじ込む。
 下着ごとズボンを脱がせ、靴下を放り投げ、自分も服をすべて脱ぎ去った。興奮からドクンドクンと心臓が大きく鼓動を刻んでいるのを感じる。
 入り口を軽くなぞると、すでに少し濡れていた。かわいいと思うと同時に嬉しくなり、口の端が持ち上がる。そのまま指を上へ滑らせ、突起に触れる。はっ、と短い呼吸が聞こえる。上下に撫でれば愛らしい声が漏れ出してくる。

「ふっ、ぅ、」

 指の滑りが良くなってきた入り口を何度か撫でて、指を挿入した。熱くてぬるついた中に飲み込まれていく。慣らすように出し入れすると、くぷくぷと音が鳴った。
 入り口近くの上壁を探る。

「っあ、」

 声と共に中がきゅっと締まった場所を一定のリズムで押してやる。ひっきりなしにあがる上擦った声。きゅうきゅうと指が締め付けられ、びくんびくんと体は跳ねる。

 しばらくそれを繰り返したあと、指を引き抜きナナシに覆いかぶさった。目元を隠している腕を横へと退けると、涙で滲んだ瞳が現れる。キスを落として、しばし見つめ合い、それから猛った自身をゆっくり挿入する。

「ぅ、っふ、あっ、」

 押し出されるように声が漏れる。早く自分のものにしたいと逸る気持ちを抑えるために、軽く深呼吸をし、ゆっくり腰を動かした。
 奥を小突くと、大きくなった声と共に中がきゅっと締まる。

「あ、ぁ、あっ」

 泣き出しそうな声。きゅ、きゅ、と締まる間隔が段々と短くなってくる。彼女を穿つペースを上げる。

「ぅ、あっ、あぁっ」

 一際気持ち良さそうな声をあげて、ナナシは達した。ぎゅうぎゅうと締め付けられる。搾り取られるような動きに白濁を吐き出した。
 呼吸が整ったところで自身を引き抜いて、再び腕で隠されていた彼女の目元を顕にする。まだ荒い呼吸の中、潤んだ瞳が俺を見る。汗でへばりついた髪を避け額にキスをして、隣に横になった。
 向かい合って見つめ合う。まだどこかぼうっとしたような彼女の瞳は涙で煌めいている。

「先輩、キスしてください」

 色香を残しながらも穏やかな顔で、頬に手を添えながらねだられた。こちらも頬に手を添えて、お望みどおりにそっとキスをした。やっぱりまだ酒の匂いがした。