さみしがりなわたしの話


「やだーーー!!!」
ジゼルは床に寝転がって、手足をばたばたと動かした。
母様は赤ちゃんばっかり見てる。
召使いたちも「お坊ちゃま、静かにしてください」としか言わない。
今までジゼルを抱っこしてくれたのに、最近は「もうお兄ちゃんなんですから」と言うばかり。
やだやだやだやだ!!
ジゼルはまだ赤ちゃんじゃないけど、お兄ちゃんでもない!!
かまってほしい!ぎゅってしてほしい!
「ジゼル」
ぴたり、と動きを止めた。
「……にいさま」
泣きべそをかきながら顔を上げると、ノゼルがしゃがんでいた。
「そんなに泣くな」
「だって!みんな、あかちゃんばっかり!」
「ネブラのことか」
「ネブラ、きらい!!!」
「バカを言うな」
ノゼルはため息をつきながら、ジゼルを抱き上げた。
「お前がそう言ったら、ネブラがかわいそうだ」
「やだ!やだ!おろして!」
「ジゼル」
ぴしゃりと兄の声が落ちる。
けれど、怖くない。
だって、ノゼル兄様は誰よりもジゼルを大事にしてくれるから。
「じゃあ、俺がお前を見てやる。だから泣くな」
「……ほんと?」
「嘘をつくと思うのか」
ノゼルが、ジゼルの手をぎゅっと握る。
「母様も召使いたちも忙しいのだろう。だが、俺はまだ子供だからな」
「……にいさまも、こども?」
「そうだ」
「じゃあ、にいさまとあそぶ!」
さっきまで泣いていたのに、ぱあっとジゼルは笑った。
ノゼルがいるなら、寂しくない。
ノゼルが一緒にいてくれるなら、ジゼルは幸せ。
ノゼル兄様は、誰よりも優しくて、かっこよくて、大好きな兄様だから。
だから、ジゼルは泣くのをやめた。


あさぼらけと一等星