最初の一歩

「では、また細かな連絡は改めてしますし、こちらでも情報が分かり次第、お伝えします。こちらの紙袋に、今わかっている情報や刀剣についてのマニュアルが入っているので、また時間のあるときに目を通してくださいね」

「あ、はい」

桜庭さんの冷静な一声がなければ、私は固まったまま動けなかっただろう。

渡された紙袋を両手持ちながら、そっと正面を向きなおる。

「これからよろしくな。主殿?」

「あ、うん。こちらこそ、よろしく」

そういって右手を差し出す目の前の美しい人と握手をしながら、改めてそのご尊顔を見つめる

…あまりの美しさに、神様と言うのも納得だ。

「ああ、そうそう。こちらをわたしておきますね」

「これは…イヤリング?」

桜庭さんに差し出されたのは、金色のシンプルなイヤリングだ。

「この耳飾りは付喪神様を連れて外出する際にご使用ください。付喪神様の顔や姿が記憶に残りづらくなるという、特別な品です」

「ほう。俺が着けるのかい?」

鶴丸国永様も近づいてきて、掌の中のイヤリングを覗き込む。

「はい。お願いします」

「…ふむ。これはどうやって着けるんだ?きみ、わかるかい?」

「ああ、はい!」

鶴丸国永様に促され、耳飾りを着ける。彼の装束には金色の装飾が多いから全く違和感がない。

「では、松田千尋さん。これから調査員として、よろしくお願いしますね」

「はい!お願いします」



そうして、私は鶴丸国永様と、兄の未来を取り戻す最初の一歩を踏み出すこととなる。