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01/11≫
オメガバース(供養)
─────
私たちには男性、女性という性別の他に第二の性とも称されるバース性というものが存在しています。
支配者とされるα性、過半数を占めるβ性、そして支配される立場にあるΩ性です。
Ω性の人口は減少傾向にありますが、政府の発表によりますと今年のΩ性発症率は過去最低を記録しました。
そこで本日はバース性に詳しい山田先生にお越しいただきました。
山田先生、Ω性の減少にはどんな背景があるとお考えでしょうか───プツン
「あーもう!見てたのに」
テレビを消した張本人である真一郎くんに抗議すれば適当に頭を撫でられ誤魔化された。
「お前はこんなん見なくていいの」
「もー」
世間一般的にはΩは歓迎されていない。さっきのだって解説の人がΩに対して肯定的な意見を述べるとは思えなかった。だから多分真一郎くんはΩである僕に気を使って消したんだと思う。もう僕はそんなのとっくに慣れてるのに。
「綴は周りのこととか気にしなくていいから。大人しくオレらに囲われとけって」
αの万次郎に言われると妙に説得力がある。けど素直に納得する僕じゃないのだ。
「今は万次郎たちが守ってくれるけど、先のことは分かんないでしょ?僕だって自衛できることもあると思うし…」
「は?これから先も離す訳ねぇじゃん」
「分かんないじゃん。運命もあるし」
先のことは分からない。たまたま身近に僕しかΩがいないけれど、きっと万次郎には素敵な出会いがあるはずだ。万次郎だけじゃない。普段から僕を守ってくれる東卍の皆だって運命の相手が見つかるかもしれない。
Ωだと分かった日、僕の日常は一変した。
シングルマザーの母は落胆し酷く罵った。僕を大手企業に入れ安定した生活を夢見ていた母からしたら、期待外れもいい所だったのだと思う。Ωは就職でも差別されるから、大手企業なんて夢のまた夢だ。それから何故か母と一緒に住むことは出来なくなった。捨てられたのだと思う。
友人関係も大分変わった。皆良くも悪くも過保護になった。過保護筆頭の真一郎くんは僕をお姫様か何かのように大事にするし、万次郎たちだってなるべく危険なことから遠ざけようとする。もう一人で外出なんてさせて貰えない。何かあったら危ないからだそうだ。
それからはずっと劣等感と罪悪感で押し潰されそうだった。αとβの皆は自由で楽しそうで、Ωな僕だけ大事に大事に守られて退屈とまでは言わないけれど、ただ窮屈だった。
だから少しの反抗心のつもりだった。
皆に守られなくても僕は生きていけるんだって証明したかった。
大人しく家にいるように言われたがその言いつけを破って飛び出した。万次郎の誕生日プレゼント買うのに本人がいたらつまらない。それくらいできると思っていた。
✼✼✼✼✼
─────
先日、東京都新宿区の路地裏でΩの男子中学生が暴行された状態で発見されました。強制的にヒートを起こされた跡が残っており、警察は強姦事件とみて捜査を続けています。犯人は未だわかっていません。
男子中学生の項に噛まれた形跡はありませんでした。
この事件についてバース犯罪に詳しい───プツン
綴が襲われた。テレビでは連日綴のニュースばかりを取り上げている。コメンテーターの中にはΩは無意識に人を誘惑するから仕方ないとか言う奴もいた。未だ目を覚まさない綴を前にしたら、そんな言葉吐けもしないくせに!
見舞いに行っても面会謝絶の文字だけしか見られなかった。綴が病院に運ばれてからずっとそうだ。オレはあの日から綴に会えていない。
あの日、綴は何を思って家を抜け出したんだろう。
オレや場地たちに言えばどこにだって付き合うのに。シンイチローだって1日くらいなら店を閉めて付き合うだろうし。
綴はシンイチローと一緒にシンイチローの店で暮らしている。普段は暇なくせに、その日は珍しく朝から忙しかったらしい。シンイチローは綴が抜け出したことに気付かなかった。シンイチローは悪くないとわかっているけど、ちゃんと見ていればこんなことにはならなかったのにと思わずにはいられなかった。
犯人が捕まっても未だ綴は目を覚まさない。
面会謝絶の札は無くなったけど、行ったところで会えるのは青い顔で眠っている綴だけだ。オレは綴と話したいのに。
綴が眠っている間にオレの誕生日が過ぎた。祝ってもらう気にはなれなくて、アイツらも綴抜きで祝う気にはなれなかったらしく、綴が起きるまで誕生日は延期になった。もしかしたら綴が襲われたときに持っていたラッピングされた袋はオレ宛だったのかもしれない。オレの誕生日を祝おうとして、だからオレに声を掛けてくれなかったのだ。
私たちには男性、女性という性別の他に第二の性とも称されるバース性というものが存在しています。
支配者とされるα性、過半数を占めるβ性、そして支配される立場にあるΩ性です。
Ω性の人口は減少傾向にありますが、政府の発表によりますと今年のΩ性発症率は過去最低を記録しました。
そこで本日はバース性に詳しい山田先生にお越しいただきました。
山田先生、Ω性の減少にはどんな背景があるとお考えでしょうか───プツン
「あーもう!見てたのに」
テレビを消した張本人である真一郎くんに抗議すれば適当に頭を撫でられ誤魔化された。
「お前はこんなん見なくていいの」
「もー」
世間一般的にはΩは歓迎されていない。さっきのだって解説の人がΩに対して肯定的な意見を述べるとは思えなかった。だから多分真一郎くんはΩである僕に気を使って消したんだと思う。もう僕はそんなのとっくに慣れてるのに。
「綴は周りのこととか気にしなくていいから。大人しくオレらに囲われとけって」
αの万次郎に言われると妙に説得力がある。けど素直に納得する僕じゃないのだ。
「今は万次郎たちが守ってくれるけど、先のことは分かんないでしょ?僕だって自衛できることもあると思うし…」
「は?これから先も離す訳ねぇじゃん」
「分かんないじゃん。運命もあるし」
先のことは分からない。たまたま身近に僕しかΩがいないけれど、きっと万次郎には素敵な出会いがあるはずだ。万次郎だけじゃない。普段から僕を守ってくれる東卍の皆だって運命の相手が見つかるかもしれない。
Ωだと分かった日、僕の日常は一変した。
シングルマザーの母は落胆し酷く罵った。僕を大手企業に入れ安定した生活を夢見ていた母からしたら、期待外れもいい所だったのだと思う。Ωは就職でも差別されるから、大手企業なんて夢のまた夢だ。それから何故か母と一緒に住むことは出来なくなった。捨てられたのだと思う。
友人関係も大分変わった。皆良くも悪くも過保護になった。過保護筆頭の真一郎くんは僕をお姫様か何かのように大事にするし、万次郎たちだってなるべく危険なことから遠ざけようとする。もう一人で外出なんてさせて貰えない。何かあったら危ないからだそうだ。
それからはずっと劣等感と罪悪感で押し潰されそうだった。αとβの皆は自由で楽しそうで、Ωな僕だけ大事に大事に守られて退屈とまでは言わないけれど、ただ窮屈だった。
だから少しの反抗心のつもりだった。
皆に守られなくても僕は生きていけるんだって証明したかった。
大人しく家にいるように言われたがその言いつけを破って飛び出した。万次郎の誕生日プレゼント買うのに本人がいたらつまらない。それくらいできると思っていた。
✼✼✼✼✼
─────
先日、東京都新宿区の路地裏でΩの男子中学生が暴行された状態で発見されました。強制的にヒートを起こされた跡が残っており、警察は強姦事件とみて捜査を続けています。犯人は未だわかっていません。
男子中学生の項に噛まれた形跡はありませんでした。
この事件についてバース犯罪に詳しい───プツン
綴が襲われた。テレビでは連日綴のニュースばかりを取り上げている。コメンテーターの中にはΩは無意識に人を誘惑するから仕方ないとか言う奴もいた。未だ目を覚まさない綴を前にしたら、そんな言葉吐けもしないくせに!
見舞いに行っても面会謝絶の文字だけしか見られなかった。綴が病院に運ばれてからずっとそうだ。オレはあの日から綴に会えていない。
あの日、綴は何を思って家を抜け出したんだろう。
オレや場地たちに言えばどこにだって付き合うのに。シンイチローだって1日くらいなら店を閉めて付き合うだろうし。
綴はシンイチローと一緒にシンイチローの店で暮らしている。普段は暇なくせに、その日は珍しく朝から忙しかったらしい。シンイチローは綴が抜け出したことに気付かなかった。シンイチローは悪くないとわかっているけど、ちゃんと見ていればこんなことにはならなかったのにと思わずにはいられなかった。
犯人が捕まっても未だ綴は目を覚まさない。
面会謝絶の札は無くなったけど、行ったところで会えるのは青い顔で眠っている綴だけだ。オレは綴と話したいのに。
綴が眠っている間にオレの誕生日が過ぎた。祝ってもらう気にはなれなくて、アイツらも綴抜きで祝う気にはなれなかったらしく、綴が起きるまで誕生日は延期になった。もしかしたら綴が襲われたときに持っていたラッピングされた袋はオレ宛だったのかもしれない。オレの誕生日を祝おうとして、だからオレに声を掛けてくれなかったのだ。