∵neta∵

01/11
転生もの(供養)
パァンと乾いた音とともに胸に銃弾が貫通した。
意識が落ちる瞬間、俺はまた失敗したことを悟った。





俺は何故か強制リスタートの輪廻に巻き込まれていた。死んだらリセットやり直し。また一からスタートだ。
初めの人生は27歳まで生きることができた。そのあと電車に轢かれてやり直しさせられたが。俺と一緒に轢かれた奴もいたなぁと薄ら覚えている。

で、またおぎゃあと生まれて同じように生きた。ただ大人であった記憶がある為、視野が広くなったのか様々なことに気がつくことが出来た。この辺はとある不良の溜まり場だとか、ここは暴走族の通り道だとか。とにかく治安が悪いってことだ。
2回目は確か15歳で死んだ気がする。告白を断ったら刺されたのだ。でも普通年少上がりの同性に告られてすぐさまOK出せないって。

3回目は享年18歳だったか。この人生ではガキの頃火事のあった家に飛び込んで人を助けたから、顔に火傷の跡が残ったまま成長した。この時の死因は何だったっけ。付き合いの長い友人に殺された気がする。王の命令だとかで泣きながら首を絞めてきたな。

4回目は早かった。火傷は変わらないけど、というかもうあそこで火事が起こるの分かってたから助けないという選択肢はないよな。ま、それはさておき、そうだ、そうだった。俺は12で死んだんだ。8代目黒龍のヤツらに嬲り殺された。ヤクにレイプに散々だった。青ざめた顔の青宗くんには悪い事をしたな。いや俺なんも悪くねえけど。


それからもずっと俺は死に続けた。幼馴染を庇って刺されたり、アイツの妹と歩いてる時に中に頭を殴られたり、DV野郎に撲殺されたり、嫌いなアイツを庇って撃たれたり、我ながら可哀想だな。



で、今回は上手くいったと思ったのだが駄目だったみたいだ。最初を除いて記録更新、24歳で死んだ。
最後に見たのは俺を撃った男、半間修二でその目に涙が浮かんでいた。アイツとも付き合い長かったからな。



■■…■RESET□


またやり直しだ。せっかく上手くいったと思ったのに。

でも何かがおかしい。周りの俺を見る目がいつもよりも甘ったるい気がする。どこか過保護で真綿で首を絞められているようなそんな閉塞感。

どこに行っても幼馴染であるマイキーと場地が着いてきたし、というか一人でどこかに行かせてくれなかった。真一郎くんは泣き笑いみたいな顔で俺を見てそっと側頭部を撫でてくる。まるで怪我をいたわるような手付きだ。
それにエマだけでなく、イザナまで佐野家の仲間入りをしていた。
イザナにされたことがことだから嫌いだけど、あのイザナと今回のイザナを同じとして扱うのは違うから我慢するしかない。でもその我慢もすぐに必要なくなった。
今回のイザナは俺に優しいし、甘いし、嫌いじゃなくなった。たまに俺の胸に耳を当てて何かを確かめるような素振りを見せるけど。

イザナは人を殺さなかったから勿論少年院にも行ってない。でも蘭や竜胆たちや鶴蝶とは出会ってるみたいだし、その辺のバタフライエフェクトに困惑する。
そういえば東卍も結成年こそ変わらないけど、それぞれの出会いが早かった気がする。小3くらいで創設メンバー全員集合していた。
乾家で火事は起きなかったし、様子を見に行ったら赤音さんと青宗くんに暖かく歓迎された。今回は初めましてのはずなのに名前を呼ばれたけど、どうしてだろうか。


イザナはやっぱり黒龍を継いだけど、あの頃の横暴さはなかった。真一郎くんの時代と同じようにかっこよくて皆の憧れのようなチームだった。それをマイキーに言うと東京卍會もカッコイイだろと威張ってくるけど、どっちもかっこいいと思う。




夢を見ているようだった。前までは一つ釦を掛け違えただけで、転がり落ちるように地獄へ一直線だったのに今では皆がそれを阻止しようと動いているように見えた。
性格が変わった、生まれが変わったとか、そんなことは無いはずなのに何かが違う。
ずっと喉に刺さった小骨のような違和感はあるけど、それを取り出せるほど器用じゃないし現状に不満はなかった。

ターニングポイントの一つである、15歳のとき。タケミチが東卍に加入した。やっぱり初めましてのはずなのにタケミチは俺を見て号泣した。困惑しているのは俺だけで、周りは仕方ないみたいな顔をしてタケミチを慰めていた。
理解できないけど、ついていけてないのは俺だけらしいから概ね問題ない。




知らない不良に殴られた。速攻殴り返して勝ったけど、頬が赤く腫れているのがダサすぎる。
その不良曰く「東京卍會幹部と対等にツルんでいて」「黒龍を支配下にしていて」「天竺を言いなりにしている」らしい。それが本当なら俺は最強だと思う。東卍云々はまあタメだし、幼馴染だし、おかしくないけど、それ以外は出鱈目すぎる。今の黒龍はかつてのDV野郎の大寿くんが総長だが、あの頃の暴力性は何故か無い。不器用で素直じゃなくて、でも妹弟思いの優しい兄貴分だ。で、天竺というのが2回目の時、俺を刺し殺した蘭やその他強者が所属しているイザナのチームだ。三チームとも同盟があるのか揉め事は未だ聞かない。

それはともかく、殴られてダサい俺を真っ先に見付けたのがかつて泣きながら俺の首を絞めた春千夜だった。
そういえば今回の春千夜は猫被りをしていない。変わらず伍番隊の副隊長を務めながらムーチョに終始ガルガルしていた。何故だろうか。
そんな春千夜に見つかった
「誰にやられたんだ!?」とか「マイキーは知ってるのか!?」とか煩いけど、小さく「いっそ閉じ込めればいいのか」と呟いているのも聞こえてるから。

春千夜が言いふらしたせいでとんでもない事になった。たかが学校の送迎に東卍幹部または黒龍幹部、時には天竺幹部を寄越そうとするのだ。ちなみに黒龍幹部の中には初代も入るとだけ伝えておく。
あの不良の話が本当になってしまうところだった。嘘から出た実にするには恐ろしすぎる。
何とか言いくるめてそれを阻止したが、それにしても俺への過保護に拍車がかかっている。
バグか?
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