| サマーコード0829 |
※太刀川さん大学一年の夏
じりじりと地面を焦がすような太陽の光が容赦なく降り注ぐ。未だ残暑の続く夏の終わり、防衛任務に勤しむ太刀川隊の隊員たちは暑さに揺れる太陽を見上げた。
現在の身体はその暑さを本当に感じることはないのだけれど、ぎらつく日差しに無意識に目を細める。やっと傾いた太陽が赤く染まろうとしていた。
秋の気配は、まだ感じられそうにない。
無事に防衛任務を終え太刀川隊の隊部屋で行われようとしている細やかな誕生日会に、周はしみじみと感想を溢した。
「ああ、今年の誕生日はゆっくりできていい…」
「そうっすね」
今までは太刀川が溜め込んだ課題をひたすらやるのに精一杯で、祝う余裕が欠片もなかった。
彼が大学生になったことでこの問題は部分的に解消した。単に誕生日と被らなくなっただけで根本的な解決には至っていないのだが。
出水は某エナジードリンクと某目が覚めるドリンクをチャンポンしつつ辛いガムを噛みながら作業する、何連続徹夜したか判断のつかない窶れた周を何度も見てきた。
となりの周の本当に嬉しそうな顔につられて頬が緩んでしまう。
太刀川隊の部屋には周によって作られた数々の料理が並び、祝われる当の本人は待ちきれないといった視線を送り続けている。ついに我慢できなくなったのか、情けない声で名前を呼んだ。
「周〜」
「はい、じゃあ出水」
「りょーかいっす」
周がケーキに立てられたロウソクに火を灯し、そして出水が部屋の電気を落とした。国近が緩んだ顔でバースデーソングを歌い出し、皆がそれに同調する。
「太刀川さん、お誕生日おめでとうございます」
◇
無事に誕生日会を終え、自分のマンションの一室に戻ってきた。
隣で穏やかに微笑している周に珍しさを感じつつ、そのままリビングへと進んだ。即座にエアコンを付けて涼しい風が吹き出すのも待たずに、ソファへと押し倒す。
下から挑発的な視線が向けられて、思いがけず興奮した。シャツを肌蹴させ、露わになった白い首筋に唇を寄せる。
「ね、周」
「……太刀川さんのえっち」
少し掠れた囁き声。
薄い色素をもった瞳がすうと細められ、綺麗に唇が弧を描く。それを了承の合図だと解釈してかぶりつくようにキスをする。
「……はは、誕生日っていいな」
「おれはいつでも特別扱いしてるつもりですけど」
「それもそうか」
周はおれをどろりと溶かしてしまう。お互いにもう手遅れだと知りながら、逃げようなんて微塵も思わない理由は――
あれこれ考えるのはやめよう。せっかく自由に出来る誕生日なのだから、最後まで楽しまなければ。
2015/09/08
遅刻もいいところですね!!
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