あとがき





コメディに流れない、昼メロ展開のような何か酷い話を書いてみたいと思いまして。
初めは日露で考えていたのですが、西南の方がやりやすいかと途中でルート変更した話です。

桐野と夢主の始まりですが、池波正太郎『人斬り半次郎』に同じ話があり、そこで桐野は女中(志麻ちゃん的立場)に手をつけていました。
その子は喜んでいたのですが、私は「幾ら好きでもちょっと」と引いてしまい…ただ、言ってしまえば彼女には好き嫌いを別にして喜べるだけの時代的な背景や環境がある。
そういう環境では全くない、そしてそんな考え方もしない現代人の女性で、この始まり方だとどうなるかなというのが書き始めた切欠でした。

夢主は書いている内にかわいそうな位我慢しすぎな女性になってしまいました。書いている私は当然あそこまで殊勝ではなく、我ながら書きながらこの子なんでこんなにMなんだと(秘かにSM小説と呼んでいた)。
こう見えても一応ハピエン派なので、こんな始まりの話が果たしてハピエンで終わるのかという不安もあったのですが、思いつくまま書いた割には纏まったかなと。読んで下さった方にとってもハピエンであればと思います。

注釈的なものはその都度書いてきましたが、書き忘れたと思った事がひとつ。
十話辺りで夢主が人斬り半次郎云々と考える所がありますが、あれは一般的にそう言われているから、通り一遍の知識しか持たない彼女もそう思っているのであって、書いている管理人はそうは思ってません…為念。
もうひとつ、殆ど触れなかったさとちゃんの事ですが、桐野との実際の結末は桐野ひでえという話で終わっています(長くなるので割愛)。ちなみに桐野との写真は実在です。

Roundaboutですが、これは回り道とか遠回りのという意味。
遠回りと回り道を繰り返した人たちなので、自分ではそこそこ合う題になったかと思います。
書いている時に聞いて合うかなと感じたのが、夢主=May'nの「swan」、「シンジテミル」、「My Lovely Thing」とかその辺り。桐野=B'zの「HOME」英語バージョンでした。

夢主の方は雰囲気という感じでしたが、桐野の方は題をHOMEに変えるか悩むほど歌詞がドンピシャだった。(別窓:HOME Eng.ver.)そしてこのページの入り口にしているのはサイモン&ガーファンクルの「セシリア」です。女の子に跪いて帰ってきてくれと請う男の子の歌。爽やかなメロディになんとも似つかわしくない詞です。笑。切り取った歌詞そこだけをそのまんま取ると「あなたは私の心をズタズタにして、平安な日々をゆるがせにする」といった感じですか。久々に歌を聞いた時この話の 夢主だなと。

後は各話の題が大変でした。本当にこれは止めときゃよかったと思った。苦し紛れで動詞的な使い方をしない言葉を無理矢理「〜する」にしてたものもあり、その辺りは笑って頂ければ幸いです。ボキャ貧が残念。
しかし45話。自分では信じられない話数です。20話で終わればいいな → あれ?30話?→ 40…話だと…はい。昨年4月から書き始め、連載を始めたのが5月。そこそこの長丁場でしたが、なんとか最終話まで漕ぎつけることができました。お付き合い頂いた皆さま、ありがとうございました。少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです。

(2012/3/31)/(2012/2/2)

その後、いっとく?