「広瀬さん今日はありがとう」
「いーえ、こちらこそ」
帰るふたりを見送った後、広瀬がリビングを片付けているとさつきから思わぬ礼を言われた。
手にはコーヒーをふたつ持っていて、一息入れるのに淹れてくれたらしい。
カップを受け取りローテーブルの前に座ってソファに凭れ掛かるとさつきが隣に座った。触れた肩から体温が伝わる。
「礼を言わないといけないのは俺の方だよ。楽しかったからまた一緒に飯でも食おうって、ふたりが」
今度から来る時は連絡を入れるようにするとも言っていた。
「本当に大丈夫だった?疲れただろう」
本当に普段通りではあったけど、広瀬がいるとはいえ初対面の男に囲まれるのは気の張る事だっただろう。
「ちょっと緊張したけどね。楽しかったよ。初めて広瀬さんと秋山さんとご飯行った時みたいな感じ」
「そうか」
安堵して息を吐けばさつきがカップを持ったまま顔を覗き込んでくる。
「それで事務所に問い合わせは行ったの?」
噎せそうになってぐぅとコーヒーを飲み下せば、さつきは気を悪くする様子もなく声を上げて笑った。
「本当に悪く思ってないから気にしないで。きっとその内聞かれたり話したりしてたと思うし」
「……向井も向井の口から話すべき事ではない話はしていない筈だよ。ただ……」
「ただ?」
「森山の件だけは筒抜けになってると思う」
他山の石として。
「たざ……あ、れは私も言い過ぎたんだよ。森山さんだけを責めるのは」
「八つ当たりでも言って良い事と悪い事がある」
珍しく強めの口調で広瀬はさつきの言葉を遮った。
前に秋山から聞かされたさつきを殴った言葉の羅列はそれは酷いものだった。
そして殴られた彼女が森山らに言い放った言葉は心底耳が痛いもので。
さつきと森山の間で早々に謝り合って解決したと聞いたから広瀬は口を出さなかったけれど、話を聞いてぐらぐらと腹が煮える思いはしたのだ。
ただ秋山が稀に見る怒り方をしたと聞いて少し救われたのだが。
それに森山だって別途広瀬に説明と謝罪に来てくれた。
だからそれで終わった話になっている。
「いいんだ。俺たち全員君の言葉に思うところがあった。森山の事はね、責めてるんじゃなくてもう少しフィルターを薄めて女の人を見るべきだっていう反省と共有」
そう言えばさつきはきょとんとこちらを見て苦笑いした。
「無くすんじゃなくて、薄くなの」
広瀬だって苦笑いだ。
「あのね、君や嘉月みたいに普通に接してくれる女の人ばかりじゃないんだよ」
秋山の合鍵事件がその際たるものだ。
仲の良い男女何人かで秋山の家に寄り集まって持ち寄りで食事をした時にあんな事が起こるなんて、誰が想像しただろう。
その女は見つけた鍵をそっと拝借してコンビニ行くとか何とか言って家を出て。合鍵なんて近所のスーパーに入っている靴修理屋で十分五百円で作れるのだ。
秋山曰く、本当に普通に仲の良い友人だった女がそれをやった。
後日そうとは知らぬ秋山が帰宅した深夜に、真っ暗の部屋で素っ裸の女がベッドで寝ていた、なんて。
当然警察沙汰の大騒動になった。
あれから秋山は合鍵を作れないカードキータイプのマンションに引越したし、二度と女を家に上げなかった。さつきに会うまでは。
秋山のみならず秋山の周囲の人間にも多かれ少なかれトラウマを与えた出来事だ。
だから秋山が女を家に上げたと知った時の、事情を知る仲間の驚きっぷりったらなかったのだ。
偏見と言われようとも自分と自分の周辺で今まであった事を思い起こすと、近付いてくる女性に対するフィルターを完全に外すのは難しい。
「本当にさつきさんみたいな人ばかりじゃないんだ。特に秋山や財部みたいな奴らにとっては」
「そうなの?」
「あのふたりは俺ら世代の出世頭。出身校も同じなんだが、財部は同期の、秋山は一期下の首席。超優秀」
「あ……それで職場の女の子が未来の重役夫人かもって」
「そうそう。聞いた?」
「前に向井さんがそんな事言ってた。大変だね……」
「……俺も秋山ももう君を見つけたからいいんだ」
忘れた頃に目を疑うような事が起こるから、元号が新しくなった今でもインペリオでは見合いで伴侶を得る男が意外と多い。
そんな風土だから、時々上から話が下りてくるのだ。
広瀬にも来るぐらいだから、秋山と財部にはもっと来ているだろう。竹下にだって。
とは言え自分たちの少し上の代から変わってきているらしいが、いまだ「結婚と恋愛は別」を地で行く雰囲気があるのは確かだ。
ただそれはさつきが知る必要のない事だと思うから、広瀬からは話さない。
徒に不安にさせたくない。
広瀬はさつきのコーヒーを取り上げてテーブルに置くと、そのまま彼女とソファの間に体をねじ込んだ。
膝を立てた両足の間にさつきを座らせ、閉じ込めるように腕を回すと広瀬の手にしっとりとした指先が触れる。
すりすりと甲を往復するそれを掠め取ると、広瀬は指と指を絡めてぎゅむぎゅむと握った。
「くすぐったい」
力を抜いて胸元に凭れ掛かってきたさつきが身を竦めて笑う。
さつきは鍛えている広瀬より随分と柔らかい上良い匂いがする。覗く首元に鼻先を埋めてすーっと息を吸えば、
「くすぐったーい」
さつきは一層笑って、体の向きを変えて広瀬を振り返った。
ぱちりと重なった視線、目の前の瞳がゆるりと細まって閉じていく。
誘われるまま唇にかぶりついて右手をさつきの後頭部に添えると、ゆっくりと一回りは小さい体をラグに押し倒した。
テレビから流れてくる芸人のけたたましい笑い声の中で、額、瞼、目尻、鼻先と顔中に唇を当てあって、頬や鼻を擦り付けあって笑いあう。
わざとらしいほどのリップ音を立てながら服の下へと手を這わせようとしてさつきが酒を飲んでいた事を思い出し、広瀬は思い止まった。
(女の子なんて後腐れなく遊んで終わりだったのになあ)
自分が作った料理とも言えない料理に喜んでくれる顔が見たいだとか、こんな子供のようなじゃれ合いが楽しいなんて。以前の自分の素行が信じられない。
タイミングが合わないという事もあったけれど、大事にし過ぎて広瀬はまだ数える程しかさつきを抱いていなかった。
「紳士ィ……って狭いよー」
「はあ、もう……」
腹の辺りで固まった手に揶揄いを含んだ声が掛かり、広瀬はソファとさつきの間に転がった。流石に狭い。狭すぎる。
行儀悪く足でテーブルを向こうに遠ざけるのと同時に、さつきが広瀬の身体に半身を乗り上げた。
「久しぶりに会えて私は広瀬さんに触れたいのに、広瀬さんはそうでもないみたい……」
「ああ、もう!」
「あはは」
心音を聞くようにして胸元に頬を当てるさつきの髪を梳きながら確認する。
「酒飲んでたけど、大丈夫?」
「うん、泊まるつもりでいたからあまり飲んでない」
「明日の予定は?」
「一緒にだらだらしよ」
「あー……抱いても?」
「ベッドがいいな」
「抱き潰す」
どれだけ会えなかったと思っているのか。
思わず漏れた本音に「こわーい」とくすくす笑いながら近付いてくる笑顔を迎えて唇を柔らかく食む。
はぁ……とうっとりと息を吐いて、猫の様に体を寄せてくるさつきに広瀬は堪らなくなった。
「私知ってる。広瀬さんそんな事しないもんね」
「……今君が出来なくしたんだが」
「えへ、予防措置は取っとかないと。私が大好きな広瀬さんはそんな事しないよね?ね?」
「はいはい、しないしない」
「ほらね」
勝ち誇ったような表情に絆されて広瀬の顔も綻んだ。
(……かわいいな)
付き合う前はしっかりした印象が強かったが、付き合い始めてからはかわいいと思う事が増えた。
甘えてくる様子が酷くかわいい。
しかも彼女がそうなるのは自分と秋山に対してだけという、この優越感。
長らく空いていた席をさつきで埋められた事実に浮かれている自覚はある。
付き合いたてとはこんなに楽しいものだっただろうか。最後に恋人がいたのはもう何年も前の話で思い出せなかった。
ただ広瀬が思うのは腕の中にあるこの温もりを手放したくないという事で。
付き合う相手にさつきは誠実で一途だ。恐らくそれを相手にも求める。
それだけにインペリオの男たち、引いては広瀬の素行を知っている彼女への対し方は慎重なものになった。
彼女と親友を引き合わせる前にまず彼らに話をしたかったのは、それがあったからだ。
平素なら恐らく彼女は自分も秋山も歯牙にも掛けなかった筈だ。
自分たちは出会い方が良かっただけ、運が良かっただけで。
自分たちは偶々選ばれただけと肝に銘じて付き合わなければ、彼女はきっと指の隙間から砂が零れ落ちるようにいなくなる。
(相応の努力がいる……)
財部に告げたように。
相応の努力、それは彼女の愛情に釣り合うようにという本音とは別に、彼女を逃がさない為という打算でもあった。
「先に風呂入っておいで」
「うん」
頭を撫でる手を止めずに風呂を勧めたが、起き上がったさつきは返事とは裏腹に仰臥する広瀬の腰の上に跨った。
「こら、あまり」
煽らない、と続く言葉を唾液と共にごくんと飲み込む。
さつきは柔く笑いながら少し屈んで、顔に掛かる髪を耳に掛けて、広瀬を見つめながらこてんと頭を傾けて――
「一緒に入る?」
「フーーーッ……」
広瀬は腹筋を使って跳ね起きた。
「わ、きゃあっ!」
反動で後ろに倒れ掛けたさつきの背中にさっと手を添えて対面座位になり、
「ほら、しっかり掴まって。よい、しょっ……と」
勢いをつけて立ち上がれば、「落とさないでね」、さつきがきゃあきゃあ言いながら両足を広瀬の腰に巻き付ける。
それを軽く抱え直すとさつきは両腕で広瀬をしっかりホールドして、頬にはちゅっちゅっと音を立てて唇を寄せてくる。これはもう確信犯だ。
「はは、さつきさん、酔ってるの」
「えー?酔ってないよぉもっとくっついてたいだけー」
その言葉に広瀬は行先を変更して足早に寝室へと向かった。
(鈍すぎる)
自分の鈍感さに頭が痛くなる。
彼女は言っていたじゃないか。言葉にして誘っていた。
はっきりと「触れたいのに」「ベッドで」と。ついでに言えば抱き潰すような乱暴はしないでと。
さつきを抱えたまま寝室のドアを器用に開けて、一直線に向かったベッドに彼女を寝かせるとその勢いでつんのめるように覆い被さった。
手探りでベッドサイドテーブルに置いてあるリモコンを探し当て常夜灯を点けると、笑みを湛えた恋人が両手で広瀬の頬を包む。
「そんな壊れ物を扱うみたいにしなくても大丈夫だよ」
「ん?」
「大事にしようとしてくれてるの分かってるから大丈夫。ご飯作ってくれたりもすごく嬉しい。でも無理に私に合わせようとしないでね」
お見通しだったかと思いきや。
「……無理して相手に合わせてると続かないって、知ってるから」
それは彼女の実体験だとピンと来て、広瀬は頷いた。
「これからも一緒にいたいの」
「…………」
だからさつきも広瀬に合わせようと誘っていたのかと、ふとそんな事を思う。
単純に誘われていたのではなかった事に今更ながら背中がひやりとして、浮ついた気持ちがきゅっと引き締まった。
(この子、本心を隠すのが上手いのでは)
これは怖い。
言われなければ恐らく気付かなかっただろう。しかも誘い方も自然で上手い。
「……一緒にいたいから、俺もさつきさんに合わせたいんだ」
広瀬も本音を告げれば、今度はさつきの口からえっと細い声が漏れる。
意外だったらしい。
人に合わせる事が普通になり過ぎて、合わせてもらう事に慣れていないらしい事も分かった。
「だから、そんな理由で抱かれようとしないで」
そんな事をしなくても離れないから、身体で繋ぎ留めようとしないで欲しい。
一瞬さつきの表情が固まって、広瀬は自分の思いが正解だったと悟る。
ふっと息を吐き出すと広瀬はさつきを安心させるように破顔した。
さつきの横に寝転がり、肘枕で彼女を見下ろす。
「あまり触れてこないから不安になった?」
「……広瀬さんインペリオの人だし……」
「あー……うん、そうか」
「…………ごめんなさい……」
「いや、分かるよ。さつきさんが謝る事じゃない。これは俺が悪かった」
言い辛そうに口にしたさつきに広瀬も同意した。
今まで散々遊んできた男が中々触れてこない。久しぶりに会っても自制の方が勝っている。
色々な意味で不安になる気持ちは分かる。
「好きだよ。だからちゃんと大切にしたいんだ。無理もしてない」
遊んではいたが広瀬は漁色でも色狂いでもない。セックスはお互いが本当にしたいと思った時でいい。特に今は。
それに愛情表現はセックス以外にもある筈だし、何より広瀬は自分の異性関係の品行についての信用を積み上げたいのだ。
ただそれは広瀬ひとりで決める事ではなかったし、しかもその思いは現状、完全に裏目に出ていた。
「え……」
「ごめんな。俺たち、もう少し話さないといけないね」
離れている時間が長いから余計に。
そう言い足せば、眉尻を下げたさつきが広瀬にすり寄りぎゅうとその胸元のシャツを握り締めた。
「……広瀬さんを好きになってよかった」
そしてぽつりと零された「ありがとう」に表現し難い想いに駆られ、広瀬は腕を回すとさつきを抱き込んだ。
ぴたりと寄り添う腕の中の熱が堪らなく愛おしい。心が酷く温かくなる。
これは本当に大事にしないといけないものだと、疑いなくそう思う。
(礼を言いたいのは俺の方だ)
眼下のつむじにキスをひとつ落として背中をさすれば、さつきは小さく身じろぎして体を離し広瀬と顔を合わせた。
「今日はもう寝ようか。疲れただろう」
指でさつきの頬の丸みを確かめながらそう伝えたが、肝心の彼女は口を噤んだまま広瀬のシャツへと手を掛けてくる。
「さつきさん?」
困惑を込めて名を呼んでも彼女は黙りこくったまま幾つかボタンを外し、シャツの下へと手を滑り込ませた。
見ている間に鎖骨にちゅくと赤い唇が吸い付いて、上げられた視線と広瀬の視線がかち合う。
薄暗がりの中でも分かる程熟れた唇が薄く開いて、今彼女が何を言おうとしているのかは流石に分かった。
先程までの誘い方とは比べ物にならない程甘く濃く艶めかしい、しかし何かに焦がれるような雰囲気。
常夜灯の暖色の煌めきを閉じ込めたさつきの双眸は濡れて輝く宝石のように蠱惑的で、広瀬は思わず喉を鳴らした。
「合わせてるとか、無理にとかじゃ、ないの」
「…………うん」
「今すごく好きな人に触れたい」
広瀬の手になめらかな手が重なり胸のふくらみに導かれる。
「好きな人にちゃんと触れて欲しい」
……だめ?
吐息混じりの懇願に抗い切れず、広瀬は目の前にある唇をもう遠慮なく奪った。
そのまま圧し掛かってさつきをベッドに沈めながら、どこで彼女のスイッチが入ったのだろう、そう思い、
(ああもうこれはダメだ丁寧に抱く)
そうも思いながら、やはり自分たちにはもう少し話をする時間が必要だ強く思う。
付き合い始めてからまだそんなに経っていない。数ヶ月かそこらで、しかも広瀬は出張が多い。
広瀬だってさつきだってまだ互いの機微を読み取れるほどの時間を過ごしてはいないのだ。
恋人になるまでに共に過ごした時間を担保に、好きという気持ちだけに支えられている。
(もっと分かりあいたい)
切実にそう思う。
今の広瀬には何が彼女の琴線に触れたのかさえ分からなかった。
しかしその何かは彼女にとっては重要な事だったのだ。こんなにも強く反応するくらいだったのだから。
(一緒にいる為に理解しないといけないのはそこなんだろうな)
服の下の柔らかな肢体に手を這わせながら頭の片隅で冷静に考える。
相互理解なんてそんな事、今まで関係を持った女たちにはついぞ思わなかったのに。
変われば変わるものだと広瀬はさつきといる自分の変化に驚いてしまう。しかし悪い気はしない。
「……広瀬さん考え事だめ……」
「ん、ごめん、君の事」
「ダメ、ちゃんとこっち見て」
心ここに在らずを咎められて意識を戻すと、潤んでとろけそうな瞳に随分と締まりのない男の顔をが映っている。
「さつきさん…………さつき」
肌と下着の境界を指でなぞりながら、敬称を捨てた名を耳朶に吹き込めばさつきは微かに震えてあえかな嬌声を上げた。
ごく偶にしかしない呼び捨ては効果絶大らしい。
それは幾度かの夜を通じて広瀬が知った数少ない明白な事実だ。
ただ広瀬が知りたいのはそういうところだけではなく、もっと本質的な、心の奥に触れるようなところで。
「……見てる、ちゃんと見てるよ。それにもっと君の事を知りたい、教えて欲しい」
「俺の事ももっと知って」
「俺が君をどれだけ好きか知って」
もっと心も身体も重なりあえたらと思う。
言葉のたびに小さく頷くさつきの顔は薄明かりの下でも分かるくらいに赤くなっていて、含羞と共に隠し切れない嬉しさが滲み出ているのが分かる。
自分が彼女の事を知りたいと思うのと同様に、彼女も広瀬の事を知りたいと思ってくれている、と自惚れてもいいらしい。
広瀬は微かに笑うとさつきの目尻に唇を当てた。
はっきりと愛情を伝えられる事は喜びだ。
たださつきはそうされる事に慣れていないようだった。
元彼に家政婦扱い、その上人に合わせる事を優先し特段その見返りも求めない性分では不慣れでも仕方ないかもしれない。
だからこそ。
(もっと伝えてやりたい)
思っていることを口にするだけで好きな女がこんなにも喜ぶのなら。
そして広瀬が思っている事も、想っている事も知って欲しい。
分かりあう事はきっとその延長線上にある。
と、そう、何気なく思い、
(…………)
そこにさつきとの付き合い方の答えをひとつ見つけた気がして広瀬は目を細めた。
多分、間違っていない。
「さつきさん、――」
耳元で今まで何度も告げた言葉を囁けば、消え入りそうな声で「私も」と返ってくる。
ゆるりと微笑うと広瀬はさつきを檻に囲うように覆い被さり、両手でその頬を包んだ。
鼻先と鼻先をちょんと触れ合わせて口付ける。
誘い込むようにうっすらと開いたさつきの唇に、そのまま愛しいと思う気持ちも余さず流れ込めばいいのにと思いながら広瀬は舌を差し込んだ。
20220605
意思疎通もできたりできなかったり、分かっているようでまだ分からないところだらけ。広瀬さんお誕生日おめでとうございました(大遅刻)