真の孤独
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当たりはもう真っ暗になって、
辺りの建物の明かりもポツポツ消え始めていた。
ぐぅぅぅ......
「(……お腹空いたな……)」
走り続けたのと、無意識のうちにずっと緊張状態だったんだろう。
住宅街に差し掛かったところで、身体が急にズンッと重くなった。
「......っ 」
ぐらんっと目の前の世界が回り出して、立っていられなくなる。頭もガンガンしてきた。
「(……もう……歩けない………)」
その場で倒れそうになるが、グッと堪えて道端の方に行き、座り込んだ。
辺りはもう街灯の明かりだけになった。
日中は気にならなかった外気温が一気に下がり始めた。
「(......これからどうしよう……)」
はぁ.....とため息をついて、自分の額に両手を組んで目を閉じた。
夢ならどうか覚めてくれ。そう願いながら。
それでも現状は変わらず、また深いため息をついた。ボーと今日起きた事を思い返す。
思えば今日は散々すぎた。
朝から冷水ぶっかけられて、頬を叩かれて、ハリーにひどいことも言われて、ローラに攻撃されて。
その上異世界ときた!
「(ホント、私が一体何したっていうのよ……)」
化け物が蔓延るような世界に飛ばされて、誘拐までされそうになった。
そう、化け物が蔓延る世界。
ここは異世界なのだ。
この世界で私を知っている人は誰もいない。
こんなに広い世界のどこにも私のことを知っている人なんかいなくて、まして行くところだってあるわけが無かった。
本当の、独りぼっちだ。
「(怖い......寒い.....寂しい...... )」
ホグワーツの比じゃなかった。
暗い道端で、孤独感を感じることが、こんなに恐ろしいものだったなんて。
今のこの状況を改めてゆっくり考え始めると、じわじわと実感が湧いてくる。
頭が1度そのことを理解した途端、堰を切ったようにどんどん込み上げてくる涙。
喉をついて出てくる声を抑え込むように、下唇を噛み締める。それでも止まらない溢れ出る嗚咽が、暗い静かな通りに響いて消えていった。
***
「......ぃ......」
何......?
「……ぉ…ぃ……」
誰......? あ、れ? 私、一体......
「……おい、起きろ! 」
「......ッ!!! 」
ハッと目を覚ますと知らない男の人の顔が鼻に触れてしまうほど近くに.....って近い!!!!
「き、きゃぁぅ...…ムグッ!? 」
「......叫ぶな、近所迷惑になるぞ。」
この世界の人たちはなんでこんなに強引なんだ......!!
片手で口を抑えられ、片手で両手を拘束される。
ジタバタ暴れて何とかその人から距離を置こうとするけど、力が強くてびくともしない。
14歳の女子が大の大人の力にかなうはずがなかった。
声も出せず、杖も出せず。
今日何回目なんだコレ......!!!
目の前の、ちょっと小汚い男をギッと睨みつける。
すると、後ろからもう1人、
......もうツッこまないぞ。
頭がエッフェル塔みたいに尖った男が笑いながらこっちに近づいてくる。
「おいおい、イレイザー。 そういう趣味か? 」
「......黙れ、マイク。家出だろ。補導対象だ。 」
「こいつぁシヴィー!! ......アー、ところでこいつ本当に家出かァ? 何か様子が...... 」
2人が話し始めた時、私の口を抑えていた方の手が離れた。
私はすぐに2人に向かって叫んだ。
「Hey!!! Get your hand off me!!! (ちょっと!!! 手を離して!!! )」
2人が驚いたように目を見開いて私を見た。
それでも手だけは緩まず、警戒したのか更に強く締め付けてきた。
「お前、外人か? 」
「こりゃまあ......ねぇ......」
手を押さえつけてる小汚い男がエッフェル塔男に目配せをした。
そしたらエッフェル塔男が近くまで来て、
しゃがみこんで目を合わせてきた。
「(......何をする気!? )」
後ろの壁にピッタリと背中を合わせ、やるもんならやってみろ、というかのようにギッと睨みつけた。
それでもじぃっと目を合わせてくるそいつ。
さっきまでのふざけた様子が嘘のようだった。まるで、開心術でもかけられているみたいな感覚。
その異様な威圧感にゾッとした。
私は睨み続けることもできず、目をそらすことも出来なかった。
「(……こ、殺される……? )」
多分、私の今の顔はすごく情けないだろう。
ピンと張り詰めた気まずい沈黙が3人の間に降りた。
そして、エッフェル塔男がゆっくり口を開いた。
「 Don't worry. We're not your enemy. (警戒するな。オレらはお前の敵じゃない。) 」
・・・は?
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