「今日は私からキスしたいから、赤井さん屈んでください!!」
「ホォー、なまえからしてくれるとは、今日は積極的なんだな」
彼女からそう言われることは珍しく、驚きつつも、ほら、と言って少しばかりかがんでやる。
「…届かない」
「ん?」
「じゃけん、たわんて…!」
「くくっ、少し意地悪しすぎたな」
頑張って背伸びをして、俺に顔を近づけてくるなまえが可愛くてつい意地悪をしてしまった。
望み通り、なまえでも十分に届く距離まで体を曲げ、顔を近づけてやる。
すると頬に可愛らしいキスが贈られた。
「俺はてっきり唇にくれると思っていたんだがな?」
そう言うと顔を真っ赤にしつつも、ちゅっと唇を重ねてくれた。
全く、本当に可愛いやつだ。
こんな愛らしいキスをもらえる俺は何て幸せ者だろうか…。
「それはそうと、なまえの本来の話し方はそれか?」
と聞くと、どうやら意味が通じなかったようで「どういうこと?」と聞き返された。
「先ほどキスをする前に"じゃけん"とか"たわん"とか言っていたじゃないか」
そういうとキスをした時と同じくらい顔を赤く染めて、
「恥ずかしい…無意識に出ちゃってたんだ…。赤井さんに似合う人になりたくて、ずっと隠してたのに…」
なんて言うものだから、俺の心臓が持たない。本当にこいつは俺の心をかき乱す天才だと思う。
「気にすることじゃないだろう。俺はなまえの方言、可愛いと思うぞ」
俺の知らない一面がまた増えた気がしてな。
また彼女の口から不意に放たれるであろう方言を楽しみにしていようじゃないか。
そんなことを思ったある日の昼下がり。
2017/05/06 rewrite