「楽しい楽しい体術の時間だよー」
めでたく呪術高専一年が出揃い初めての演習授業だ。今回は各々の地力を確認するべく一対一の勝負を行うこととなり、公平を期してくじ引きで相手を決めた。
その結果に悠仁はうげぇ、 と露骨に嫌な顔を見せた。
「どうしたの悠仁、君の得意分野でしょ」
「先生、俺伏黒とがいいです…」
「そんなに嫌がられると悲しいんですが悠仁くん」
悠仁は名前とのペアがどれだけ嫌かを悟に説明したが「でも僕が見たいから」とにべもなく申し出を退けた。
嫌がっている悠仁をよそに恵、野薔薇は二人の勝負を楽しみにしていた。悠仁の戦闘スキル、力は元一般人であるのに優れていることは二人も知るところである。そして名前の能力もそうだ。
近接を得意とする二人の優劣が純粋に気になった、興味本位である。しかし、悠仁の反応からするに優位なのは名前かもしれないと二人は思った。
「手合わせ久しぶりだね。手加減無用だから」
「名前相手にそんな余裕ねぇよ。やるからには本気だ」
「悠仁もやる気になったところで…始めようか」
□ □ □
「…虎杖、ドンマイ」
「だぁーーー悔しい!」
結果は名前の圧勝。悠仁は大の字になって天を仰いでいた。
「名前、ミルコクロコップの生まれ変わりより強いんだな」
「何それ、悠仁の二つ名?すご、私」
二人が拳を交えている間目隠しを外してまじまじと二人を見つめていた悟はだれている四人を呼び先生らしく授業を進めた。
「さて、講評を言わせてもらうよ」
「名前は最初見たときも思ったけど重心移動が上手い。躱してからトップスピードで拳が出る。純粋な力は悠仁の方が上だけど、効く場所にピンポイントで攻撃を入れている。動きに呪力を織り込むのも上手い」
「名前の動きは真似出来ないわね」
分析され“上手い”という評価を受けたのは初めてで名前は喜びを噛み締めた。
祖母は絶対に褒めてはくれなかったからだ。
「でも名前の一番の得意は近接じゃないと思うな」
初めての言葉に名前は一驚を喫した。祖母直伝のそれが、悠仁をものしてしまうそれが自分の得意ではないと呪術界最強が言うのだ。
「じゃあ何が得意なんですか」
尋ねたのは本人ではなく恵だった。共闘が多かった彼も気になったようだ。
「それは言わない」
「なんでよ、教えなさいよ」
「気付きを与えるのが教育だからね」
いつの間にかトレードマークのアイマスクをしていた悟は名前の嫌いな軽薄さを見せつけた。
「悠仁、大丈夫?」
「おう、へーき。名前また強くなった?」
「わかんないな、そうだったらいいな」
「俺、まだ名前に勝てないけど強くなるから見ててよ」