ルビーレッド

二ヶ月程経過頃には突然虚空を見つめたり不意に顔が曇ることもなくなった。単に隠すのが上手くなっただけかもしれないが、恵と野薔薇はようやく愁眉を開いた。

「三人一緒の任務なんて久しぶりだね。腕が鳴るわ」

本日の任務は名前の復帰戦である。閑散期が重なったこともあり実に二ヵ月半ぶりの共同任務だ。近場で補助監督もいないことから三人は電車に揺られていた。

「鈍ってないでしょうね」
「もちろん、鍛錬は怠ってませんよ」
「こいつ俺の部屋に来ると必ず腹筋するんだ」

名前の気が済むまで足を押さえる役をしなければいけないことが恵は不服だった。名前に対しては柔和な態度の恵も今回はうんざりした顔を向けていた。

「鍛錬ってそっち?」
「そう、フィジカル強くしたくて」

ちょっと割れてきた、触る? と言った名前に恵はいい、とぶっきらぼうに言い放った。当たり前だろう。
そんな恵を横目に女子二人は楽しそうに腹部を触りあって笑っている。

「そうだ、二人は交流会出るんだよね?」

名前は名字家当主からNGが出たため今年は不参加だ。元より一年生が出張るイベントではないが。
感想聞かせてね、 と目を輝かす名前に二人は各々のらしい答えを返した。

「次は出られるのよね?」
「多分…?今回なんで駄目なのかわかんないけど」

心底不思議だと言わんばかりの表情をする名前を見て二人は顔を見合わせた。



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