「俺、名前が好きだ」
「えっ」
名前は思ってもみなかった言葉に感嘆詞が口をついて出た。動揺で目を泳がせている名前の顔をじっと見つめて続けた。
「俺まだ名前より弱くて呪術師として未熟だけど名前を守れるくらい強くなるから、…だから俺の側にずっといてくれませんか」
長年片想いをしていた相手からの思いもよらぬ告白に名前は喜びより先に戸惑いを感じていた。
「私は呪術師だし…」
「俺もそうだよ」
「ジェニファーローレンスとは似ても似つかないし」
「あくまで理想の話だよ、俺が本当に好きなのは名前」
悠仁は今すぐにでも抱きしめたいのだがその衝動を抑えて名前の抱えている不安を一つでも減らせるように問いに答え続けた。
「あっ!一番大事なこと言ってない!名前、俺の彼女になってください」
告白など人生で初めての経験だ、気恥ずかしさと一抹の不安から少し視線を外しはにかんで見せた。
「私、ずっと悠仁のこと好きだったよ。だから…彼女にしてください」
悠仁は名前を抱きしめて喜びを噛み締めた。ああなんて愚かだったのだろう、気付かなかっただけできっとずっと昔からこの女の子が一番大切で一番大好きだった。それを自覚して思いが通い合うことがこんなにも幸せなことなのだとやっとわかったのだ。もっと早く伝えていたらよかった、 と悠仁は思った。
「悠仁、緊張してる?」
「えっわかる?はじー」
でも私もドキドキしてるからどっちの音かわからないね。名前は満足そうに顔を綻ばせ悠仁の大好きな笑顔を浮かべた。
二人の未来に幸があるように、ハナショウブに精一杯の呪いを込めた。

20210201 end
20211210 加筆修正