03

私が知らない愛の告白

相談しようか考えた。もし相談してそれが間違いだった時、私はどうすれば良い?口が軽い女のレッテルを貼られるかもしれないのだ。そうなった時の周りの反応は?考えただけで戦慄できる。

「、翠!」
「えっ!あ、はい!……あれ?もしかして、呼んでた…?」
「呼んでた。」
「ごめんね、少し考え事してた。どうしたの?」
「最近何かあったのか?」

心配そうに覗きこんでくる兵助くん。その横では勘ちゃんも不思議そうにしている。

「ううん、何もないよ。最近眠れないから疲れてるだけ。」

そう言っても、二人は納得してないようだ。
眠れないのは事実で、どうしても目を閉じると嫌なことを思い出してしまう。あの日のことを。

「疲れてるならチョコあげる!」
「ありがとう、勘ちゃん。」

そう言って笑いながらチョコをくれる勘ちゃんを見て私も笑顔になった。
やっぱり心配かけるのは悪いな、と思って私は暫くこの話題を思い出さないようにすることに決める。よーし、今日から頑張ろー、と心のなかで小さく意気込んだ。





→ →


「あ、あの……急に呼び出してすみません…。ずっと前から好きでした。よかったら付き合ってください…!」

私はこの光景を見て、慌てて目を反らした。これはあれだ、こくはく、だ。
うわあぁ、初めてみた…!流石兵助くんだなぁ、と少し感心した。

告白している女の子は顔が真っ赤で、足も震えている。素直に、可愛いな、と思った。
頑張れ…!と心のなかではいつのまにか彼女を応援していた。それなのに、

「………ごめん…。気持ちは嬉しいけど、好きな人居るから……。」
「わ、わたしのほうこそ、す、すみません、でしたっ…。」

泣き出ししまった女の子に、私が一番慌てた。久々知くんはよくあることなのか、冷静でいる。

「すきなひと、って……碧緑さんのことです、か…?」
「………それは、……言えない。」

その言葉で、私は一つ、最悪の結末を思い浮かべていた。もしかして、と奥歯がガタガタと震えはじめる。
この一年、彼の視線の先を私は知っていた。よく、見ているな、とは思ったのだ。でも、そんなことは無いと思っていた。この間までは。

その間に、女の子は帰ったようで、気を抜いていた私は彼に見つかってしまった。

「………翠。」
「へいすけくん…………、……!あ、!あの、これは、あの、たまたま、で……。でも見てしまったのには変わりないね……。ごめんなさい…。」
「えっ?いや、全然怒って無いから!吃驚しただけだ。まだ帰って無かったんだな。一緒に帰らないか…?」
「、うん…!」


そうだ。こんな確信も無いことは忘れよう。



兵助くんが雷蔵を好きなわけ無いんだから。




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