タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/07/23


「えー……たぶんキャプテン自分のこと棚上げでブチ切れるの目に見えてるから言いたくない」
「あ?」

 なんでも願い事が叶うなら何を願う?だなんて食事時に誰かが言い出してくだらねェ話してんな、と思いながらも好いた女の番が来て耳をすませた瞬間、渋る言葉に思わず顔も声も上げた。散々興味ねェ聞こえてねェ体裁を取っていたにも関わらず声を上げてしまったからクルー全員の視線が突き刺さって眉間の皺が増えた。

「……なんでてめェの願い事におれがケチつけんだよ、そんな心狭いように見えんのか」

 今更なんの話だ、なんて白々しいことは言えないから向かいの席に座る女を睨め付けながら唸る。好いた女じゃなかったとしても、おれに散々協力してくれているクルー全員の願いくらい力を貸すに決まってんだろ。自分のことばかり協力させて捨て駒のように使い捨てにする、そんなクズなキャプテンだと思われてんのかおれは。

「え〜……」

 まさか本当にそんなクズなキャプテンだと思われてるのかおれは。じゃあなんでそんなおれについてきてんだよ。恋愛感情じゃなかったとしてもおれに多少なりとも好感があるからついてきてるんだろ。

「言え」
「絶対キレないって約束してくれます?」
「そんなもん聞かなきゃわかんねェよ」
「じゃあ言わないです」
「……キレねェから言え」

 そもそもこの問答に付き合ってるだけ心が広いと自分でも思うんだが。

「キャプテンと私の命の交換」
「あ゛?」
「ほらキレるじゃないですか」

 まっすぐな笑顔で叩きつけられた言葉に反射的に音が体から飛び出たのは仕方がない。それほど訳のわからないことを言われた。

「キャプテン自分の命大事にしないから。まあ私の命と交換したからって大事にしてくれそうもないけど、私はキャプテンの命大事にするし」
「あ゛ァ゛?」
「だから言いたくなかったんですよも〜怖。約束したんだからキレないでください」

 怖、だなんて言いながら呑気に茶を飲む姿にこめかみがぴくぴく動く。大事にしてるだろうが。大事にしてるから単独行動をしてお前らを待機させて、大事にしてるからちゃんと迎えに行って面倒を見てキャプテンとしての勤めを果たしているだろうが。お前のことを好きなのはおれの勝手な気持ちだから気付かなくていい。でも、仲間として大事にしていることすら理解してなかったことに憤りを感じる。目の前の馬鹿な女と違ってきちんと理解していた他のクルーたちがじりじり逃げを打とうとする気配を察せられるが、そんなことはしなくていい。おれと、こいつだけが移動する。

「確かにキレねェ約束はした」

 約束を取り付けておいてよかったと綻ぶわかっていない姿にまたこめかみがひくりと動くのと同時に青い膜をはって手を動かした。ぶん、と鈍い音がして宙に浮く感覚。

「てめェにするのは説教だ」