タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/26
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買い出しに行くと言うサンジくんに無理矢理ついてきた。無理矢理、なのは、コックさんの仕事に誇りを持つサンジくんにとって買い出しはある種の戦場で、私を構えないから。レディにつまんない思いなんてさせたくないよ、買い出しが終わってからデートしようよ、ばっちりきっちりエスコートするから、えとせとらえとせとら数々の私のための断り文句を言われた。だけど私が一言、迷惑は絶対かけないからお願い、と涙を滲ませて言えば即座に頷いてくれる。まあ、つまりは、ただの脅迫をした結果で。
金色の綺麗な髪の毛を風にたなびかせながら軽やかな足取りでいくつか同じ商品を売っている店があるのにもかかわらずとても初めて来る市場とは思えないほどにまっすぐ一直線に迷わず商人に話しかける姿に驚いて。サンジくんが男の人相手にもあからさまに愛想が良いのにまた驚いて。マダム相手にメロリンしつつもいつもなら女性にいいようにされるサンジくんがマダムを手玉に取って素人の私にも分かるほどこちらにとって得しかない値段での取引になってまたひとつ驚いて。あの黒いスーツに包まれている華奢に見える体のどこにそんな力があるんだろうと悩んでしまうほどの食料を難なく抱える姿に驚いて。そして何もかも手際良く買い出しを終えて魅惑的な唇を上げて商品を受け取るサンジくんに思わず胸が高鳴った。
サンジくんがレディにつまらない思いをさせたくないからと断ろうとした買い出しがこんなに驚きの連続になって全くつまらなくなんてなかったことをどうすれば伝わるんだろうかとうんうん考える。だってたぶん、これはサンジくんにとって日常でしかなくて、すごいねと伝えたところでなにが?と首を傾げられてしまう。
「……ほら、つまんなかったでしょ? ごめんね、レディ。この荷物置いてからにはなるけど仕切り直しさせてくれないかい?」
うんうん唸る私を見て勘違いしたらしいサンジくんにまた驚く。
「つまらなくなんてなかったよ。すごくかっこよかった」
予想通りいつも通りの日常をただこなしただけのサンジくんは私の言葉をお世辞と受け取ったのか困ったように微笑むだけで歯痒くなる。本当にかっこよかったのに。
「また今度買い出しする時も一緒に行きたい。……荷物持ちも何も、役に立てないけど」
かっこいいサンジくんを特等席で眺めていたくてねだる。眉を垂れさせて困るサンジくんに邪魔でしかないのはわかってるから申し訳なく思うけど、でも、また見たくて。
「おれだってレディが一緒にいてくれるのは嬉しいけどさァ……」
無理矢理ついてきた時みたいにお願いと瞳を潤ませてお願いすればすぐに済む問答なのはわかっていて、口をつぐむ。だって、こんなにかっこいいサンジくんを見るのに脅迫はもうしたくない。サンジくんも同意の上でかっこいい姿をひたすら眺めたい。
「……うぐぅ、そんな可愛い顔でおれを見ないで……」
脅迫するつもりなんてないのにサンジくんが勝手に呻くから拗ねてしまう。拗ねた私を見て、拗ねたレディもかわいい、だなんて大量の食材を抱えながら体をくねらせるからきっともう何を言っても堂々巡りにしかならないだろう今日はもう諦めることにする。いつか、いいよ、とすぐに頷いてもらえるように作戦を練らないと。
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