タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/28
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人目を避けるようにして島に停船している甲板は暗く、タバコの火だけが揺らめいている。他のみんなは各々宿や飲み屋にでも行っていて、ひとりきりのはずだった。コツ、と軽やかな靴音がして、それが麗かなレディのものだとわかっているのに振り向けない。だっておれ、今、すごく情けない顔をしてる。見聞色に秀でたおれが気付けないフリなんてできるはずがなくて、レディがいるのに振り向かないのもおれらしくないのもわかっているのに、それでも振り向けない。
「サンジくん」
柔らかな声で優しく呼ばれて、まるで催眠術にかかったみたいに振り返る。タバコの火も消えて、本当に真っ暗で、おれがレディの表情を見れないように、レディもおれのこの情けない顔が見えなければいいと願う。声が震えそうで、情けなさのあまり返事ができなくて俯いたおれの懐に何かが飛び込んできて思わず抱きとめた。何か、なんてすっとぼけてしまうほど、胸の中に抱きかかえた存在が現実味がなくて瞬く。柔らかな体を押し付けられて、ぐり、とレディの額がおれの体にぴったりくっついて息を止めた。
「サンジくんが今、私の相手なんかする気力がなくて、ひとりになりたいのはわかってるの」
そんなことねェ、と言いたいのにひくつくだけの喉は何も音を返せなくて狼狽える。
「でも今のサンジくんをひとりにしたくないから。こうしてたら顔も見えないでしょ? 何も話さなくていいから、だから、わがままだけどそばにいさせて」
ぎゅう、と力強く抱きしめられて言われた言葉に目の奥が熱くなる。ただでさえ情けない顔が、更に情けなくなって、だけどレディの言葉通りおれのそんな情けない姿はこうしていればレディには見えない。覆い被さるように抱きしめ返して、柔らかな髪に頬を埋めた。
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