タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/30
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ごめんね、と笑う姿に腹が立った。髪を乱暴に掴まれて無理やり引き寄せられ人質に取られているというのに敵の方に見向きもせずおれに笑う姿は異様で、諦めが滲んだ笑顔だと思った。ぶわりと怒りに体が震える。なに諦めてんだ、てめェ。
ルフィが腕を伸ばすより、コックが宙に浮くより、おれが斬撃を繰り出すより、先に動いたのは乱暴に髪を掴んでいた男で、予備動作もなにもなくその手が命を刈り取ろうとしてナミの悲鳴が聞こえた気がした。
だけど何より早く動いたのは諦めの滲んだ笑みを浮かべたままの女で、乱暴に掴まれていた髪の毛を切って自由になった体がおれたちの方へ駆けてきて、瞬間、何も考えずに斬撃を飛ばした。
コックの“レディの美しい御髪が!!”という悲痛で間抜けな声が聞こえた。倒れ行く男の手にはざんばらになった髪が掴まれたままで、眉を顰める。倒れ切る前に事切れたのか、ふわりと風に乗って髪が飛んでいくのが視界の片隅に見えて、安全を確信したのか走りを止めたその髪の持ち主に歩み寄る。
「ごめんね」
またその笑顔。なんなんだ。生きるのを諦めた笑顔なのかと思った。だけどこの女は確かに麦わらの一味として名を連ねるに相応しい強さを持っていて、捕まっても自ら生き延び逃げてきた。じゃあさっきから何を謝ってるんだ。苛立ちに鯉口を鳴らして刀を収めて睨み付ける。
「ごめんってば」
「何に謝ってるんだ」
何度も謝る姿に苛立ちを隠さず問い詰める。申し訳なさそうな顔でおれを見上げる姿をじっと見る。乱暴に掴まれて、逃げるためとは言え乱暴にナイフで千切った髪はがたがたで、眉間の皺が深まる。
「ゾロ、私の髪の毛、好きそうだったから」
無意識に伸びた手がそのばらついた髪に触れそうになった瞬間告げられた言葉に呆れて、その手を腰に回して抱き寄せた。丸く見開いた目がおれを見ようとしていたが、肩口に顔を埋めてため息を吐く。
「……ちげェよ、髪はどうでもいい。お前が好きなだけだ。お前が無事なら、それでいい」「ゾ、」
ロ、と耳元で声がして今更ほっとする。間に合わねェかと思った。誰も、間に合わなくて、お前がおれの前からいなくなるのかと。よかった、と抱きしめる力を強くして、痛みに呻く声に溜飲を下げる。変な勘違いするからだ、馬鹿。
「ロビンちゃんレディの髪の毛がァ!」
「あらあら」
「はー焦った髪の毛切るとかやるなァお前」
「思い切り良すぎるのよ馬鹿、もう、せっかく綺麗だったのに」
「お前らうっせェんだよ黙ってろ馬鹿!」
「ゾ、ゾロ、ごめんね、わかったから、離して」
「お前も黙ってろ馬鹿」「なんで?!」
ちっとも安堵感に浸るなんてことができない騒がしい外野に抱きしめ続けたまま怒鳴り散らした。
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