タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/08/01


 人外じみた戦闘能力ばかり持つこの船の中であまり秀でた才能もない私はいつも後方支援でひっそり逃げ回っている。けれど敵からすれば後方でちょこまか動く弱そうな女なんてネギを背負ったカモでしかなくて、パチン、と目があった瞬間いつもいつも嗚呼素晴らしい人生だった……なんて走馬灯が流れるほどみなさん素敵な笑顔をなさる。やめてほしい。それでも近距離の武器を持つ敵だったら、ゾロやサンジくんたちが後方の私たちに敵を近付けさせることなんてないのだけど、その手に持っているのが銃だったら、なす術もなく。だけどこの海一番の狙撃手はうちのウソップで、ウソップが敵じゃない限り揺れる海上で急所に命中なんてそうそうない。ウソップがうちの狙撃手で本当に良かったなあ、なんて思いながら撃たれた脇腹を抑えながら甲板に倒れ伏した。チョッパー!と誰かが叫んだ声が聞こえて、ああ、うちには心優しくて優秀な船医もいた。チョッパーがいれば、どんな怪我だって、どんな病気だって治るんだから。本当に私はこの船に乗れて良かったなあ。そう思って意識が途切れた。

  ▼▼▼

「ろび、んちゃん?」
「あら、目が覚めたのね」

 ゆらゆら揺れるランプの小さな光でなんだか小難しそうな題名の本を読んでいるロビンちゃんが真っ先に目に入って名前を呼ぶ。良かったわ、と柔く微笑みながら重たい音を立てて本を閉じたロビンちゃんにベッドに寝転んだまま私も自然と頬を緩ませる。

「もう、夜? 私、そんなに気を失ってた?」「あら、どうして?」
「だって真っ暗、」

 だからランプを持ってきて本を読んでいたんでしょ、と呟こうとして瞬く。寝惚けてぼやけていた視界だったせいでそう思ったけれど、この暗闇は陽が落ちた暗さじゃない。
 私とロビンちゃんだけを囲う、みっちりとした腕、腕、腕。腕の鳥籠で。

「こうしておけば、もう撃たれる心配はないでしょう?」

 褒められることを待つ幼い女の子のような笑顔で言われて小さく息を吐く。そんな私の反応に悲しそうにほんの少し眉が動いたけれど笑みを絶やすことのないロビンちゃんに腕を伸ばした。不思議そうにしながらも私の手に手を重ねてくれて、思いのほか弱々しくなってしまったけれど私がこっちに来て欲しいことを悟ったロビンちゃんは手を繋いだまま私の寝転ぶベッドの端にお尻を移動してくれた。

「心配してくれてありがとう」
「大好きな人の怪我を心配するのは当然のことよ」

 ふるふると綺麗な黒髪を揺らしながら私の言葉に謙遜するロビンちゃんに苦く笑う。そこまでわかってくれているなら、

「私だってロビンちゃんが撃たれたら嫌だよ」

 私のこの気持ちもわかってほしい。今度こそ困ったように眉を下げて私を見下ろすロビンちゃんに握る手の強さを強くする。この腕の鳥籠は、確かに私をいろんなものから守ってくれる。だけど私の心は不安でたまらなくなるから。

「大好きな人が私を庇って怪我する姿なんて見たくないよ。お願い」

 しゅる、とロビンちゃんの腕が引いて、ランプの光じゃない陽が保健室に差し込む。困ったような、悲しそうな、戸惑うような、複雑な表情をするロビンちゃんは納得はしていなさそうだけど、だけど私の心を汲んでくれたことに頬を緩めた。