タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/08/13


 あ、とレディが小さな声をあげたのを聞いて瞬時に振り向く。おれの俊敏な動きが面白かったのかほんの少し微笑んでおれと目を合わせてくれる姿が愛しくてへらへらしながらレディを眺める。太陽が出ているときに見るレディも綺麗で好きだけど、月が出ているときに見るリラックスしたレディを見るのもまた違った趣きがあって好きだ。共同生活をしている以上この可憐なギャップのある姿を見る権利を独占できないのはつらいところだけど、共同生活をしているから彼氏でもないのにその姿を見られることには感謝したりして、どうにも複雑な心境になる。

「寝る前の一服?」
「そうです。レディは喉でも乾いた?」
「うん、勝手に飲んじゃった、ごめんね」

 どうして謝るんだ、と思わず驚いたおれの顔を見てあそこはサンジくんのお城だからとはにかんだ笑顔を見せられてしまえばその謙虚な姿勢に胸を抑えることしかできない。かわいい。よくマリモと勝手に酒飲むなうるせえ好きに飲ませろという喧嘩をしているから遠慮をする考えになったんだろうか。それはそれこれはこれ。レディの喉を潤すためなら飲み物くらい自由に好きに飲んだっていいんです。

「いつもこんな時間まで起きてるの?」
「そんなことないよ」

 ほんの少し心配が滲んだ声だったから反射的に否定したけどレディはあんまり信じてなさそうでじっとりおれを見上げている。かわいい。別に疲れてたりしないし、こういう生活リズムだから心配してくれなくたって大丈夫なのに。優しいレディの心遣いに浮かれる元気だって有り余ってる。

「……いつもこの時間に寝る前の一服してるの?」
「うーん、まあだいたいそんな感じかなァ」

 ふー、と煙を吐き出しながら頷いて火を消した側からもう一本タバコに火をつける。まだ吸うの、みたいな顔をされたけど、でもだって、寝る前の一服ってバレちまってるし、吸い終わったら寝に行かなくちゃいけない。それが嫌で、だから少しでも引き伸ばそうと思って。なんて考えは秘密にしてゆっくり肺に煙を送った。