タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/08/20


「あっ、見て見てサンジくん」

 忙しなく給仕に勤しんでくれていたサンジくんがようやく一息つけるのはみんなが食事に満足して散り散りに部屋へ戻ったり寝落ちたりしてから。私はそんなサンジくんをひとりじめしたくて宴中はあんまりハメを外さないように気を付けて(なんて言いながら一流のコックさんが勧める飲み物や料理は全て最高で美味しいからたまにお腹いっぱいになっちゃって普通にナミちゃんやロビンちゃんと部屋に戻ってしまうことも多々あるけれど)ひっそり気配を消してみんながいなくなってからそっとサンジくんの城へと足を踏み入れて後片付けをする姿を覗き見るのが好き。本当は隣に立ってお手伝いできればもっと良いんだけど、レディ至上主義の彼がそんなことを許すわけもなく、私はカウンターでサンジくんを眺めるだけ。それでも十分楽しくて幸せだからいいのだけど。
 そんなサンジくんがようやく全ての後始末を終えて私の隣に立った瞬間、グラスに張る水面に映ったそれに思わず声をあげてしまった。不思議そうに上半身を屈めて私に近付いてくれるからグラスをほんの少し持ち上げてサンジくんにも見えやすいようにする。

「ん? なんだい?」
「ほら見て、お月様」

 さっき気付いた時には小さかった丸い金色が、サンジくんとの距離が近づいた事によって大きくなる。きらきらした金色の髪の毛が水面に反射してお月様のようでとても綺麗。

「ね? きれ、」

 いでしょ、と呟こうとグラスからサンジくんへ視線を移せば視界が金色でいっぱいに占められて瞬く。視界の端で綺麗な月が溢れて慌ててぎゅっとグラスを握る。ぱちん、とまた瞬けば宝石みたいな目とくるんとした眉毛がまた視界いっぱいに広がってぎゅっと目を閉じた。ふにゅ、と柔らかい何かが下唇に触れて息を呑んで、目を開く。一瞬で遠ざかったそれはサンジくんで、サンジくんの唇、で。触れた唇にそっと手を当てて体を起こしてまっすぐ立ったサンジくんを見上げた。

「きれいなのはレディだよ」