タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
これのサンジくん視点
2021/08/23


 両手に抱えた食糧の整理を終えたらおれは賭けをする。いつもより手際が悪いのは少しでもその賭けを遅らせようと往生際悪く足掻いていて、そんなみみっちい自分に嫌気がさす。だからこそ、もうこんなみっともないことを考えたくなくて賭けをすることにした。
 終わってしまった食糧整理に腹を括る。一本タバコを吸い食糧庫を出れば日が落ちていてため息ごと煙を吐き出して目当ての人物の気配を探った。のんびりした足取りで久々ののどかな島を散策しているのがわかって緊張がほぐれて頬が緩む。タバコの火を消して甲板から地面に飛び降りて、その気配のもとへ足を向けてまたばくばくと心臓が動いた。
 今日で最後。今日で決まる。
 ぴた、と足を止めて俯く。レディは少し離れた場所にいて、まっすぐこっちに向かってきている。おれがレディにそういう対象として見られていないことはわかってる。仲間として好かれてるのも十分理解してる。それで我慢できるはずだった。するはずだった。だけど日に日に想いは膨らんでどうにも手がつけられなくなってしまった。このままじゃだめだ。だから、レディに決めてもらう。責任転嫁にも程があるのはわかってる。それでも自分じゃけじめをつけられなかった。情けない男だ。
 レディの視界にはもうおれの背中が映ってるはず。レディの行動でおれのこれからが決まる。レディがこのままおれを見て見ぬ振りをしてひとり自由行動を満喫するなら、もう、諦める。きっとレディを好きなことはやめられない。それは当然だ、気持ちなんてどうにかできるもんじゃない。ただ心の奥底に大事に大事に仕舞い込むだけ。ほんの少しの接触や甘い言葉に浮かれないようにするだけ。そんなの諦めてるって言えないかもしれない。でもおれにはこれが精一杯。
 レディが声をかけてくれたら一歩を踏み出す。別に声を掛けてくれたからって脈があるなんて馬鹿な勘違いは絶対にしない。レディは優しいから、きっとここに立つ人間がおれじゃなくて別のクルーだったとしても変わらない対応を取るはずで。わかってる。レディの優しさにつけこんだ賭け。