タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/05


 ────おめでとうございます。
 牢獄の中でふと思い出す。国を乗っ取るために英雄ごっこをしていた頃、部屋中に溢れかえるほど花やらプレゼントやらが詰め込まれていて辟易していたおれの背中に呟かれた言葉。余計なことを何一つ言わずおれの命令に忠実に従う女の初めての余計な言葉に眉を顰めた。処分しておけと吐き捨てれば、かしこまりました、と機械的な返事にさっきのは幻聴だったかなんて考えるくらい珍しいことだった。それこそ、こんな牢獄の中でふと思い出してしまうくらいには。
 このおれの本性を知っていてどうしてあんな言葉を吐いたのか考えても答えは出ない。余計なことを言えば即座に砂にされる可能性だってあったはずなのに、なぜわざわざ。